御伽噺のその先へ

雪華

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第五章 酷い夢 

第34話 「嘘でしょう?」

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 次に目を開けた時、石膏ボードの天井と規則正しく並んだ蛍光灯が見えた。紗良は瞬時に保健室のベッドにいることを理解し、東雲が来てくれたのだとホッと息を吐く。
 首を少し動かしたら、暗い表情の東雲と目が合った。

「気分はどう? 真宮から連絡を貰えて助かった。ありがとう」
「御堂くんは?」
「隣で寝ているよ」

 カーテンで仕切られていて姿は見えなかったが、御堂が無事だと聞いて一気に緊張が解ける。
 紗良はまだ少し朦朧とする頭で、先程の場面を思い出していた。
 真っ白い髪に狐耳。
 まるで百鬼夜行のステージ衣装だと思ったが、もしかしたらあの状態が本来の御堂なのかもしれない。だとすると、東雲や鈴音もそうなのだろうかと考え浮かぶ。

「もしかして、先生も白狐……? 人の魂を食べたんですか?」

 紗良の突然の問いかけに、東雲は目を見開いた。その反応だけで、予想は当たっていたのだなと確信する。

「君はどこまで知っているんだろう。誰に聞いたのかな。……俺はね、人の魂を食べてはいない。正確には、食べなくてもいい。東雲家は代々稲荷神に仕える家系でね、生まれながらの白狐なんだ。俺も妹の鈴音も、魂を喰う必要がない」
「御堂くんは?」

 東雲はカーテン越しに御堂の方をちらりと見た。それから悲しそうに力なく首を横に振る。

「禅はただの妖狐だ。だから、なるべく寿命を引き延ばそうと、人の多い所で少しずつ霊力を貰っていた。でも、誰の霊力でも良い訳じゃなくてね。自分に好意を持った人からじゃないと意味がない。学校に行かせたり、百鬼夜行の活動をして人目に触れる機会を増やしたけれど、それでもとうとう追いつかなくなってしまったよ。このまま人の魂を喰わなければ、死を待つばかりだ」

 紗良は東雲の話を静かに聞いていた。東雲は『人の魂』と曖昧に言っているが、それはつまり、紗良の魂を食べなければ御堂が死ぬという事なのだろう。

「深く想い合っていないと餌にならないって聞きました。先生、私は餌の条件を満たしていますか?」

 目を伏せたまま、東雲は静かに「ああ」と答えた。
 紗良はそれを聞いて、ははっと乾いた笑いを漏らす。
 自分でも意外だった。
 ショックが大きすぎて、どこか他人事のように感じているのかもしれない。

「可笑しいですよね。こんな時なのに、条件を満たしてるって聞いて嬉しいと思うなんて。御堂くんは、ちゃんと私を想ってくれてるんだ……。でも私、死にたくない。御堂くんにも死んでほしくない。先生、私はどうしたらいいの」
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