異世界アンチ~性悪部長の転生者粛清記録~

教祖

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垣間見る地獄2

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 「はぁ!?」
 兜に覆われた男の顔が驚愕の色に染まっているのは明らかであった。
 無理もない。男の大剣は賢司の肩に触れる紙一重のところで見えない何かに阻まれ止まっているのだ。
 「立場――――分かってくれたかな」
 「なっ!? 死ねえええ!」
 男は剣を振り続けた。その度に音もなく刃は阻まれ賢司に傷をつけることは適わない。
 太刀筋が十を数えた時、男は動きを止めた。息を切らさずにいるのはさすが聖騎士というべきか。しかし、斬撃の前後で賢司の身体には何一つ変化はない。
 「あんた、ほんとに何者だ? 転生者なのか?] 
 「間違いではないけど、正解からは遠いかな。あと敬語使おうか。次は怒るよ?」
 「ぐっ……。貴方は一体……」
 「よろしい。そうだね、一言で言うならば君のような子の矯正係かな――――れい君」
 「矯正……?」
 「転生者としての本分――――この世界の平和維持とその象徴たる存在でいること。それを忘れてる子が多くてね。それを思い出させてあげるのが僕の仕事」
 「……そうですか」
 零は剣を収めた。重々しい兜に手を掛け脱ぎ去ると、先の映像の少年の大人びた表情があった。
 「おや、イジらなかった・・・・・・・んだね。最近はステータスよりもビジュアルを最大値にしたがるって聞いてたけど」
 「神様にお願いし忘れたんです。ここに来てから気づきました。仕方ないので認識変換のユニークスキルを後付けしてもらって、この世界の人間にはそれなりの美青年に見えるようにしてます」
 「そっかそっか。――――無様だね」
 「っ!?」
 「てっきり、元の世界の顔でも実力でなんでも手に入れてやる、っていう意気込みあってのことかと思って少し見直そうかと思ったのに。見通し不足で? 後追いで貰い物の力で? その力の最大値も使わず、使えず? しまいにはその中途半端な環境で胡坐掻いて放蕩生活? 無様以外になんて言えばいいのかな?」
 「そんな、俺だって頑張って――――」
 ――――頑張るって何? 
 無常にも零の言葉は、賢司によって遮られる。
 「頑張ったらなんなの? 結果が今の状態でしょ。――――あーあれか」
 何か悟ったように賢司は気味の悪い笑みを浮かべた。
 零は賢司に歩み寄る。なぜ自分が目の前の嫌味な男にわざわざ近づいているのか零にも分からない。ただ本能が告げている。次の言葉は自分の決して触れられてはならぬ場所を鷲掴みにしてくるものであると。
 
 「初体験の為に頑張った? 遅咲きの青春って感じ?」
 
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