異世界アンチ~性悪部長の転生者粛清記録~
大手貿易会社の営業部長梶原賢司は、その厳しさから部下から恐れられる鬼上司。
ある日、社長室へと呼び出された賢司は衝撃の事実を告げられる。
「我が社の商品はこの世界の代物ではないのだ」
これまで取引先として連絡を取り合ってきた相手は、異世界の貿易商だという。
どうしてその事実を自分に開示したのか問うた賢司に社長はタブレットを手渡す。
起動したタブレットに表示された動画アイコンをタップすると、写し出されたのはコスプレ姿としか思えない青髪の女性。画面の女性は鈴を転がすような声で賢司へ向けたメッセージを語りだした。
それは、賢司の能力を見込んでとある仕事を頼みたいというものだった。
その仕事とは――――転生者の更生員。
どうやら、賢司たちの住む世界から画面の先にある異世界に転生という形で姿を移す人間が一定数存在し、それを転生者と呼ぶ。転生者は元の世界から移る条件として力を与えられ、それを使って異世界での活躍を求められるのだという。
はじめこそ、自らの使命を全うせんと意欲的に動いていた転生者たちだったが、強大な力には賞賛が与えられる。それはこれまでただの一般人であった者にとってはあまりにも甘美で、やがては力に溺れるようになった。これでは転生者としての役割を果たさぬまま生涯を終えてしまう輩が蔓延してしまう。
賢司にはそれを更生させる職員として、異世界に転生してほしいとのことだった。
賢司はためらうことも無く首を縦に振った。あまりの即決に社長は理由を問う。
賢司は作った笑顔で答えた。
「私は異世界に憧れていましたので」
その言葉は嘘ではない。が、完全な正解ではない。
意外にも賢司は転生ものの小説を愛読していた。理由は一つ。主人公の多くに賢司の好きな共通点があるからだ。ご都合主義に疑問を抱かず、力を誇示し、そこに自信と誇りを見出している。
賢司が最も得意とするのは社員教育。それも成果を上げて天狗になった人間の教育。
賢司は自信に満ち溢れた人間の伸びた鼻をへし折ることが何よりも愉悦に浸れる行為だった。
小説の楽しみ方も、活躍する主人公を自分ならどうやって屈服させるかを妄想するという、屈折したものだった。
そんな男が愉悦が具現化したような仕事を断るわけなど無かった。
異世界主人公の蹂躙物語が幕を開ける。
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意外にも賢司は転生ものの小説を愛読していた。理由は一つ。主人公の多くに賢司の好きな共通点があるからだ。ご都合主義に疑問を抱かず、力を誇示し、そこに自信と誇りを見出している。
賢司が最も得意とするのは社員教育。それも成果を上げて天狗になった人間の教育。
賢司は自信に満ち溢れた人間の伸びた鼻をへし折ることが何よりも愉悦に浸れる行為だった。
小説の楽しみ方も、活躍する主人公を自分ならどうやって屈服させるかを妄想するという、屈折したものだった。
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