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第1話 社長と秘書の甘い関係
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今、株式会社・浦島機器製造の社長室で、社長の浦島慶次が机の上でノート・パソコンの画面を見つめていた。
数年前から秘書の青木ひろみからその見方を教わったのである。
その画面には株価のチャート図が示されており、ローソク足チャートは一日のなかの始値、終値、高値、安値を示していた。
こうして数字でなくチャートという形でビジュアル化することで、今までの株価の動きをわかりやすく見ることができて、なかなか都合が良い。
この株価は常に変動しているので、瞬時にその正確な判断は難しいが、馴れてくると前後の株価の動きでおおよその目安は付く。かといって、慶次は株で儲けようと思っているわけではない。
彼は最近になって憶えたその株価を見ることで、業績の判断材料にしていた。それは自社と関連会社の株価を知ることで、ある程度の判断が出来るからだ。経営者としては、やはり自分の会社の評判が気になるようである。
昔はこんなことなど考えられなかったのだが、IT関連の会社を傘下にしたことで、そういう知識が入ってくるのだ。今までは順調だったのだが、ここのところ彼の会社の業績があまり良くない。
それを見て慶次は溜め息を付き、ノート・パソコンの画面をにらんでいた。
(ふーむ。最近はあまり思わしくないな。我が社の業績は……)
その時、ノックをして社長室に隣接した秘書室から、秘書の青木ひろみが盆に載せた慶次特製の褐色で甘めのコーヒーを持ってきた。
「失礼します、社長。いつものコーヒーをお持ちしました」
「おお、そうか、有り難う。そこに置いてくれたまえ」
「はい。でもあまり甘すぎるのもお体にはよくありませんよ」
「いいんだよ。この歳になって、好きなものを我慢してでも長生きをしたいとは思わんよ。ひろみ」
「だめですよ。そんなことをおっしゃっては、いけません!」
ひろみは笑いながら、わざと頬を膨らませ睨むような顔をした。
「おや、お前でもわしのことを心配してくれるんだね」
「あたりまえです! もう、そんなことを言って私を悲しませないで下さい」
そう言いながら、わざとひろみは手の甲を丸め、それを目の下にして大袈裟に泣くそぶりをみせた。
「おやおや、いつもの『泣きのひろみ』でわしをたぶらかせようとしているなぁ」
「いやん。ばれちゃいました?」
二人の会話を聞いていると、とても社長とその秘書の会話とも思えない。それほどにこの二人は親密な関係なのだろうか。
社長の慶次は髪の毛には白い物が混じってはいるが、まだ高齢者の域には達してはいない。年齢の割には若く見られ、体力は若さでみなぎっていた。その顔は若いころは相当なハンサムだったろうと思わせるが、今はロマンスグレーとして渋さを漂わせている。
仕事はさることながら、若いころからそのバイタリティーでそうとう女性との関係では浮き名を流したようである。
そして社内一の美人と言われるひろみは、豊かなバストの上にピッチリとした上着を着て、よく似合うミニスカートを身につけていた。 そのすらっとした細い足で社内では珍しく高めのハイヒールを穿いている。
彼女のように派手な服と、高めのヒールを穿いている女性社員は社内には彼女しかいない。それを意識してか、彼女は秘書室と関係している課以外にはあまり部屋から出ることはない。
食事も広い食堂があるのにそこへは行かず、持参の弁当を黙々として食べている。
それは人には言えない好奇の目で見られることに、彼女自身に耐えがたい羞恥の気持ちがあるからである。
現に男子社員からは色目で見られ、女子社員達からは『いけ好かない女』と見られていることもひろみは知っていた。
ゆえに秘書室だけが青木ひろみの城であり、生き甲斐の部屋でもあるのだ。
そうさせた原因は彼女自身ではなく、社長である慶次にあった。後で分かることだが、これらは派手好みの慶次の強いリクエストでもある。そのリクエストをひろみには拒否することが出来ない訳がある。
数年前から秘書の青木ひろみからその見方を教わったのである。
その画面には株価のチャート図が示されており、ローソク足チャートは一日のなかの始値、終値、高値、安値を示していた。
こうして数字でなくチャートという形でビジュアル化することで、今までの株価の動きをわかりやすく見ることができて、なかなか都合が良い。
この株価は常に変動しているので、瞬時にその正確な判断は難しいが、馴れてくると前後の株価の動きでおおよその目安は付く。かといって、慶次は株で儲けようと思っているわけではない。
彼は最近になって憶えたその株価を見ることで、業績の判断材料にしていた。それは自社と関連会社の株価を知ることで、ある程度の判断が出来るからだ。経営者としては、やはり自分の会社の評判が気になるようである。
昔はこんなことなど考えられなかったのだが、IT関連の会社を傘下にしたことで、そういう知識が入ってくるのだ。今までは順調だったのだが、ここのところ彼の会社の業績があまり良くない。
それを見て慶次は溜め息を付き、ノート・パソコンの画面をにらんでいた。
(ふーむ。最近はあまり思わしくないな。我が社の業績は……)
その時、ノックをして社長室に隣接した秘書室から、秘書の青木ひろみが盆に載せた慶次特製の褐色で甘めのコーヒーを持ってきた。
「失礼します、社長。いつものコーヒーをお持ちしました」
「おお、そうか、有り難う。そこに置いてくれたまえ」
「はい。でもあまり甘すぎるのもお体にはよくありませんよ」
「いいんだよ。この歳になって、好きなものを我慢してでも長生きをしたいとは思わんよ。ひろみ」
「だめですよ。そんなことをおっしゃっては、いけません!」
ひろみは笑いながら、わざと頬を膨らませ睨むような顔をした。
「おや、お前でもわしのことを心配してくれるんだね」
「あたりまえです! もう、そんなことを言って私を悲しませないで下さい」
そう言いながら、わざとひろみは手の甲を丸め、それを目の下にして大袈裟に泣くそぶりをみせた。
「おやおや、いつもの『泣きのひろみ』でわしをたぶらかせようとしているなぁ」
「いやん。ばれちゃいました?」
二人の会話を聞いていると、とても社長とその秘書の会話とも思えない。それほどにこの二人は親密な関係なのだろうか。
社長の慶次は髪の毛には白い物が混じってはいるが、まだ高齢者の域には達してはいない。年齢の割には若く見られ、体力は若さでみなぎっていた。その顔は若いころは相当なハンサムだったろうと思わせるが、今はロマンスグレーとして渋さを漂わせている。
仕事はさることながら、若いころからそのバイタリティーでそうとう女性との関係では浮き名を流したようである。
そして社内一の美人と言われるひろみは、豊かなバストの上にピッチリとした上着を着て、よく似合うミニスカートを身につけていた。 そのすらっとした細い足で社内では珍しく高めのハイヒールを穿いている。
彼女のように派手な服と、高めのヒールを穿いている女性社員は社内には彼女しかいない。それを意識してか、彼女は秘書室と関係している課以外にはあまり部屋から出ることはない。
食事も広い食堂があるのにそこへは行かず、持参の弁当を黙々として食べている。
それは人には言えない好奇の目で見られることに、彼女自身に耐えがたい羞恥の気持ちがあるからである。
現に男子社員からは色目で見られ、女子社員達からは『いけ好かない女』と見られていることもひろみは知っていた。
ゆえに秘書室だけが青木ひろみの城であり、生き甲斐の部屋でもあるのだ。
そうさせた原因は彼女自身ではなく、社長である慶次にあった。後で分かることだが、これらは派手好みの慶次の強いリクエストでもある。そのリクエストをひろみには拒否することが出来ない訳がある。
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