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第2話 秘書の秘密
しおりを挟むひろみは社長の好物のコーヒーをテーブルの邪魔にならない所に置いた。
「あら。社長、また株価ですか? もう見方は慣れました?」
ひろみは馴れ馴れしく慶次の横に来て、慶次が見ているノート・パソコンの画面を見つめた。その丸い尻を、いつものようにさり気なく慶次の手が撫で回す。
(いやん……)と言いながらひろみは尻を揺らすが、慶次の顔は画面を見つめたままである。
「そうだよ。ひろみ、お前に教わった我が社の株価があまりぱっとしないんだ」
慶次の手は、ひろみの尻から、太股に移動していた。
「もー社長ったら……相変わらずエッチなんですから。でも株価で一喜一憂しないほうがいいですよ。コーヒーを飲んだら、そろそろ会議が始まります。社長」
「おお、そうだったな。ところで今夜もどうかね?」
ひろみは顔を横に振り、イヤイヤという仕草をしてやんわりと慶次の手を太股から外した。
「また逃げられたな、ひろみ。しかし、今日はいやとは言わせんぞ」
その目は経営者と言うよりも一人の欲望に燃えた男の目だった。
「もう社長、ここは会社の中ですよ。先週末にしたばかりじゃありませんか。お仕事はお忙しいんでしょう」
「いや、男という生きものは、忙しいときほど、なんていうか欲しくなるんだよな」
「そういうものなんですか? でも、相変わらずタフなんですね。どうしようかしら……」
ひろみはちょっとばかり首を傾け、右手の人差し指を笑窪の頬に当てながら、可愛さを演出している。
「では、今度は何が欲しい?」
「そうですね、フランス製のバーキンのバッグが欲しいですぅ」
「この間も、そんな物を買ってやったじゃないか、それはいくらする?」
「ええと、一〇〇万円、くらいかしら……」
「だめだ! そんな高いのは、もっと安いのにしなさい」
「まぁ、けちですねえ。じゃあ良いです。おおまけしてプラダのバッグにしちゃいます!」そう言いながら唇をアヒル口にしてひろみは可愛い子ぶっている。
「それはいくらくらいする?」
「三〇万円、くらいかしら……」
「まあ、それならいいだろう。で、今夜は良いな」
「はーい、慶次さん」
社長の部屋だというのに、秘書のひろみは慶次に抱きついた。こりこりとしたひろみの柔らかい乳房を胸で感じながら、いつも社員には厳しい顔をしている彼は相好を崩し、その夜を想像していた。
自分の娘よりも若いひろみを今度は後ろから抱き寄せ、服の上から胸の辺りを揉んで耳を優しく噛んだ。
「あん……」と拒否するでもなく、ひろみは慶次に身を任せていた。(このまま服を脱がせ……といきたいところだが、流石にそれは出来ない。これが限度だな。会議の時間も迫っているし)と思いながら慶次はようやくひろみから身体を離した。
ひろみが部屋に入ってくるときには、いつも部屋の入り口のドアをロックするので心配は要らない。
一度だけ、ひろみが部屋のノブをロックするのを忘れたときに、たまたま急ぎの用事があって入ってきた総務課長に見られたことがある。
課長はそのとき慶次に叱りつけられ口止めをされてはいたが、しかし、それはすでに複数の人達には知られているようだった。
妻がいながらベッドで執拗に求めてくる老獪な慶次に戸惑いながらも、最近のひろみの身体は彼無しにはいられなくなってきている。彼女には、先週末の慶次との情事の余韻がまだ身体の中に残っていた。
「そういうことで、そろそろお時間ですよ、慶次社長さん」
「そうだな、じゃあ行ってくるか」
「あっ! 社長、唇が……」そう言ってひろみは慶次の唇に着いている赤い口紅をハンカチで拭き取った。
「はい、取れました」
「そうか、じゃあいってくるか」
ひろみとの約束を取り付けた慶次はにやりとして、ぽんとひろみの尻を軽く叩いて、社長室から出て行った。
「いってらっしゃいませ」
その慶次の後ろ姿を見ながらひろみはすぐに忠実で神妙な秘書の顔になり深々と頭を下げていた。
慶次がひろみのマンションを訪れ、睦言を交わしていても、会社では、仕事は仕事として割り切りたいひろみだが、見識が低い慶次はそんなことには頓着をしていなかった。
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