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第5話 貧しい二人
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慎介はまるで駄々っ子のように美子を困らせていた。彼は優しい美子の胸で抱かれていた。実は彼等の年齢は美子の方が慎介よりも二歳ほど上であり、二人はまるで姉と弟のようだった。慎介には弟が一人いたが姉はいなかった。彼の母親は慎介に冷たかったし、そういう関係からも彼は年上の優しい女性に憧れていた。それをシスターコンプレックスとでも言うのだろうか。それを美子に求めていたのかも知れない。
美子は自分の膝を枕にしている慎介の髪の毛を優しく撫でていた。貧しくても、辛くても夜になれば彼等なりに愛し合うことが出来る。こういう時間こそ、美子の大切な癒しになるのだ。
美子は先程、愛し合った余韻で肩をはだけていた。
官能の余韻が残る気怠い身体で、愛しい慎介を母親のように見つめていた。美子の身体の芯には、まだその熱い感触が残っている。
「ねえ、美子ぉ……」慎介は柔らかい美子の乳房を弄びながら言った。
「じゃあ、どうすれば良いの? 慎介」
「あのね……実は整形という手があるんだ、その為に調べておいたんだ」
慎介はそういって、美子の膝から起きて机から何かを探して美子の前に並べた。いつ集めたのか、彼はいくつかの整形手術のパンフレットの束を持ってきた。
「ええぇ、こんなに?」
流石の美子もあきれて驚いた。しかし優しい彼女はそれ以上は言わなかった。自分も女として綺麗になりたい美しくなりたいという気持ちはある。しかし、整形までしてそうなりたいとは思っていなかった。だが、好きな慎介の言うことも理解できなくはない。
美子は何としても慎介の願いを叶えてあげたいと思っていた。
彼が好きで心から愛していたからだ。
「いつか有名になったら、ちゃんと結婚しよう」
美子はそう言った慎介の言葉を信じていた。
その年の夏は暑かった。二人は安アパートを借りていて、その部屋は冷房が無く、安い扇風機がコトコトと音を立て廻っている。まだ売れない劇団員に整形手術の大金を工面することは出来ない。美子は彼のために仕方なく決めた。
「いいわ、慎介……何とかするわ、安心して」
美子は思っていた、もし整形をして彼が成功する事が出来て、元気で舞台で頑張ってくれればそれで良い。いつか、そんな彼と結婚してささやかな家庭を築くことが出来れば……と。
ちゃんとした充てもあるわけでは無いのに美子は決心をした。好きな彼のためその費用をなんとかしなければならないと思い、模索をする中でその為に彼女は、昼間は劇団で稽古をし、夜になると稼ぎが良い水商売に出ることを決めた。
慎介はその言葉を聞いて喜び、その夜は美子が狂うほどの女の喜びを与えた。だが、そんな生活が続く中でも、健気な美子に対し慎介は相変わらず昼間の稽古だけで働かずにぶらぶらしていた。怠け者の慎介は、優しい美子に頼りきっていて、次第にその稽古の回数さえも少なくなっていた。
美子は自分の膝を枕にしている慎介の髪の毛を優しく撫でていた。貧しくても、辛くても夜になれば彼等なりに愛し合うことが出来る。こういう時間こそ、美子の大切な癒しになるのだ。
美子は先程、愛し合った余韻で肩をはだけていた。
官能の余韻が残る気怠い身体で、愛しい慎介を母親のように見つめていた。美子の身体の芯には、まだその熱い感触が残っている。
「ねえ、美子ぉ……」慎介は柔らかい美子の乳房を弄びながら言った。
「じゃあ、どうすれば良いの? 慎介」
「あのね……実は整形という手があるんだ、その為に調べておいたんだ」
慎介はそういって、美子の膝から起きて机から何かを探して美子の前に並べた。いつ集めたのか、彼はいくつかの整形手術のパンフレットの束を持ってきた。
「ええぇ、こんなに?」
流石の美子もあきれて驚いた。しかし優しい彼女はそれ以上は言わなかった。自分も女として綺麗になりたい美しくなりたいという気持ちはある。しかし、整形までしてそうなりたいとは思っていなかった。だが、好きな慎介の言うことも理解できなくはない。
美子は何としても慎介の願いを叶えてあげたいと思っていた。
彼が好きで心から愛していたからだ。
「いつか有名になったら、ちゃんと結婚しよう」
美子はそう言った慎介の言葉を信じていた。
その年の夏は暑かった。二人は安アパートを借りていて、その部屋は冷房が無く、安い扇風機がコトコトと音を立て廻っている。まだ売れない劇団員に整形手術の大金を工面することは出来ない。美子は彼のために仕方なく決めた。
「いいわ、慎介……何とかするわ、安心して」
美子は思っていた、もし整形をして彼が成功する事が出来て、元気で舞台で頑張ってくれればそれで良い。いつか、そんな彼と結婚してささやかな家庭を築くことが出来れば……と。
ちゃんとした充てもあるわけでは無いのに美子は決心をした。好きな彼のためその費用をなんとかしなければならないと思い、模索をする中でその為に彼女は、昼間は劇団で稽古をし、夜になると稼ぎが良い水商売に出ることを決めた。
慎介はその言葉を聞いて喜び、その夜は美子が狂うほどの女の喜びを与えた。だが、そんな生活が続く中でも、健気な美子に対し慎介は相変わらず昼間の稽古だけで働かずにぶらぶらしていた。怠け者の慎介は、優しい美子に頼りきっていて、次第にその稽古の回数さえも少なくなっていた。
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