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第二章 二度目の人生 リベンジスタート
アイテム入手 ヴァイオレットSide
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サンル・デ・カルマラ王立修道院に着くと、サミュエルに手伝ってもらって私は胡椒の大袋とコリアンダーの大袋とナツメグと砂糖とサフランの中袋を運んだ。この時代、金や銀より価値の高い香辛料だ。これを使って前回の人生ではしなかった事をするのだ。
修道院との取引だ。良くはないかもしれないが、背に腹はかえられない。死に戻った私には必要なものがある。
「これはこれは、バリドン公爵令嬢!」
穏やかな笑みを浮かべた白髪の王立修道院長が現れた。魔導師ジーニンも既に到着していた。私の聖女としての鍛錬に魔導師ジーニンも立ち会うのだ。この国の聖女になるのだから。
「こちらは贈り物ですわ。これからお世話になりますから、バリドン公爵家からの差し入れでございます。こちらが胡椒、そしてコリアンダー、サフラン、砂糖でございます」
私の言葉に年老いた王立修道院長は目を見張った。
「な、なんと!?」
私はうなずきつつ、「ステータスオープン」と唱えた。
私の頭上に数百のスキルが出現して、王立修道院長は驚きの表情を浮かべて後ずさった。
「わたくしはこの力をこの国に捧げる所存です。つきましては、お願いがございます。私が聖女に選ばれたという噂が広まると、私のスキルを狙う諸国の者が現れると思います。こちらにある聖フランセーズの防御の盾と、聖ヴィクトワールの剣を貸し出していただけないでしょうか」
私がスマホ以外に集めるアイテムの2つ目と3つ目だ。前回の人生では、私はそんな物は不要だと思っていた。しかし、前回の人生で私は罠にはめられて冤罪で処刑された。
用心するに越したことはない。前回の人生と違う行動をする必要がある。私が王立修道院に持ちかけたのは、5世紀以上も前の聖女たちの遺品の貸し出しだ。聖女が他国や有力者に狙われて、自分の権力の道具にされる歴史は確かにあるのだ。聖女は自分の身を守る必要がある。私は前回の人生でそれをないがしろにし過ぎていたのかもしれない。
王立修道院長の目は目の前に置かれた胡椒、コリアンダー、サフラン、ナツメグ、砂糖の袋と、私の頭上に現れた数百のスキルとを交互に忙しく見比べた。
――お願いっ!
――私は自分の命を守りたいの。
「私としてはこれほどのスキルを有する者はこの国にはいない、他国にもいないと自負しております。わたくしは自分でも自身の身を守る必要がございます」
私はキッパリと言い切った。魔導師ジーニンは私の表情をじっと見つめていた。
「王立修道院長、ここは貸し出しましょう。確かにこれほどのスキルの持ち主は私も見たことがございません。我が国としてはバリドン公爵令嬢を守る必要がございます。こちらの香辛料は食糧庫に運びますよ」
魔導師ジーニンは紫のマントを翻して胡椒の大袋を抱えた。ジーニンはそばに控えていたサミュエルに合図をした。サミュエルはコリアンダーの袋を王立修道院の食糧庫に運ぼうと抱えた。私はナツメグと砂糖とサフランの中袋を抱えて、にっこり微笑んで魔導師ジーニンに従って歩き始めた。
「おぉ、私も運びますよ」
王立修道院長は私の手からサフランとナツメグの中袋を受け取った。
「おおーい」
馬車の中で目を覚ましたらしい父が慌てて後ろを追ってきた。
「取引成立ですわね?」
私は父に聞こえないようにそっと王立修道院長にささやいた。
「はい、貸し出しましょう。あなたの身を案じるのは私も同じですから」
王立修道院長は白髪を風に靡かせて歩きながら、私に答えた。
私はほっとした。前回の人生と違って、私は聖フランセーズの防御の盾と、聖ヴィクトワールの剣を手に入れた。聖女は自分でも身を守る必要があると言われてきた過去の聖女たちの訓戒が、やっと私の中で身になりそうだ。
食糧庫に近づくと、ハーブの畑の向こうに白いハナアネモネの花や、黄色いキバナイチゲが咲き、白いマツユキソウも咲いている野が見えた。
3年後も、きっと春を謳歌し始める野の花を私は眺めるのだ。私は胸いっぱいに大気の空気を吸い込んだ。生き残るために何でもしよう。
修道院との取引だ。良くはないかもしれないが、背に腹はかえられない。死に戻った私には必要なものがある。
「これはこれは、バリドン公爵令嬢!」
穏やかな笑みを浮かべた白髪の王立修道院長が現れた。魔導師ジーニンも既に到着していた。私の聖女としての鍛錬に魔導師ジーニンも立ち会うのだ。この国の聖女になるのだから。
「こちらは贈り物ですわ。これからお世話になりますから、バリドン公爵家からの差し入れでございます。こちらが胡椒、そしてコリアンダー、サフラン、砂糖でございます」
私の言葉に年老いた王立修道院長は目を見張った。
「な、なんと!?」
私はうなずきつつ、「ステータスオープン」と唱えた。
私の頭上に数百のスキルが出現して、王立修道院長は驚きの表情を浮かべて後ずさった。
「わたくしはこの力をこの国に捧げる所存です。つきましては、お願いがございます。私が聖女に選ばれたという噂が広まると、私のスキルを狙う諸国の者が現れると思います。こちらにある聖フランセーズの防御の盾と、聖ヴィクトワールの剣を貸し出していただけないでしょうか」
私がスマホ以外に集めるアイテムの2つ目と3つ目だ。前回の人生では、私はそんな物は不要だと思っていた。しかし、前回の人生で私は罠にはめられて冤罪で処刑された。
用心するに越したことはない。前回の人生と違う行動をする必要がある。私が王立修道院に持ちかけたのは、5世紀以上も前の聖女たちの遺品の貸し出しだ。聖女が他国や有力者に狙われて、自分の権力の道具にされる歴史は確かにあるのだ。聖女は自分の身を守る必要がある。私は前回の人生でそれをないがしろにし過ぎていたのかもしれない。
王立修道院長の目は目の前に置かれた胡椒、コリアンダー、サフラン、ナツメグ、砂糖の袋と、私の頭上に現れた数百のスキルとを交互に忙しく見比べた。
――お願いっ!
――私は自分の命を守りたいの。
「私としてはこれほどのスキルを有する者はこの国にはいない、他国にもいないと自負しております。わたくしは自分でも自身の身を守る必要がございます」
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魔導師ジーニンは紫のマントを翻して胡椒の大袋を抱えた。ジーニンはそばに控えていたサミュエルに合図をした。サミュエルはコリアンダーの袋を王立修道院の食糧庫に運ぼうと抱えた。私はナツメグと砂糖とサフランの中袋を抱えて、にっこり微笑んで魔導師ジーニンに従って歩き始めた。
「おぉ、私も運びますよ」
王立修道院長は私の手からサフランとナツメグの中袋を受け取った。
「おおーい」
馬車の中で目を覚ましたらしい父が慌てて後ろを追ってきた。
「取引成立ですわね?」
私は父に聞こえないようにそっと王立修道院長にささやいた。
「はい、貸し出しましょう。あなたの身を案じるのは私も同じですから」
王立修道院長は白髪を風に靡かせて歩きながら、私に答えた。
私はほっとした。前回の人生と違って、私は聖フランセーズの防御の盾と、聖ヴィクトワールの剣を手に入れた。聖女は自分でも身を守る必要があると言われてきた過去の聖女たちの訓戒が、やっと私の中で身になりそうだ。
食糧庫に近づくと、ハーブの畑の向こうに白いハナアネモネの花や、黄色いキバナイチゲが咲き、白いマツユキソウも咲いている野が見えた。
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