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春の宵の恋煩い編
さよならのあとで ※夜々の家の邑珠姫Side
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御咲の国より南に位置する秦野谷国の宮廷には、既に春が訪れていた。
淡い桃色の桜が咲き誇り、ちらちらと舞って落ちてくる桜の花びらは心浮き立つ私の心を表しているかのようだ。
私は花武皇子に結婚を申し込まれて、承諾した。
隠法術使だった私は、鷹宮妃選抜の儀から除外された。
御咲の国の極華禁城の桜も、まもなく咲くだろう。私の生まれ育った西の夜々の家は既に桜は満開かもしれない。
桜の花びらが舞うこの春、秦野谷国の豪華な宮中に私はいた。贅沢な布団の中では私と花武皇子の合体の儀が執り行われている最中だ。
なぜ、こうなるのでしょう?
花武皇子に胸を揉みながら口づけをされた。胸の頂きを刺激されて、耐えられずに甘い嬌声がもれ出た。
あっんっ
いやぁんっあぁんあぁっんっんっ
濡れたあそこに指を入れられて私は甘く自分ではない声が漏れ出るのを聞いた。
あぁんっんあぁっんっ
「ゆじゅ、君を抱きたいと思った男は大勢いると思う」
でも、なぜいきなり合体の儀!?
「そなたのような今世最高美女を妻に迎えるには、これが一番早いのだ」
そう懇々と説得されて、花武皇子に甘い言葉を囁かれ続けて、私は身も心も蕩けてしまった。
「私は揶揄ってなどいない。私が本気なのは伝わっただろう?邑珠に本気で惚れたのだ。愛しているんだ。邑珠無しでは生きられない。私と共に秦野谷国で生きてほしい」
「あ、な、た…邑珠もでございます…」
たまらない幸せに喘ぐ私に花武皇子は甘く囁いた。
「いい?」
私の素晴らしい刺繍が施された薄い衣は今宵は特別仕立てのものだ。それが乱れるさまにたまらないといった表情で私を見つめて、花武皇子は頬を上気させて「最高だよ」と甘く囁いた。
銀髪で鷹宮さまそっそくりの透き通った瞳で、私を愛おしそうに見つめながら花武皇子は囁いた。
「私の妻になってくれると言ってくれて、本当にありがとう。一生大切にするよ、邑珠」
御咲の国の皇帝一族をお守りしたために、わたくし今世最高美女は御咲の国の名誉姫に選出された。鷹宮さまの妃にはなれなかったが、とても光栄なことだった。
茉莉姫は美梨の君を殺めようとした咎が残ってはいるが、大幅に減刑された。身を挺して御咲の国を守ろうとしたからだ。
そうだ。
冥々の茉莉姫は生き残った。死んだのは奏山の方で、楊飛皇子はこの世から去った。
かなり危ない橋ではあったが、私たちは生き残った。ただ、私を前宮の青桃菊棟から拉致して荷車に押し込んで激奈龍の雅羅減鹿の元に連れ込んだ、あの若い秀麗な顔の男も生き残ったはずだ。彼は、磨崖で縛り上げられたのに逃げおおせたのだから。
蓬々の家の璃音姫がことのほか熱心にあの男の行方を探していた。あの時、梅香が結局気づいてくれて美梨の君に知らせてくれ、私を助けに花武皇子と共に美梨の君が現れたという経緯が分かった。蓬々の家の璃音姫はあの若い男を絶対に許さないと息巻いていた。
あの秀麗な顔つきの男が、楊飛皇子亡き後の激奈龍の皇帝の椅子に座ったという知らせが届いたのは、私が出発する前夜のことであった。
そうだ。
私の敵はまだ生き残っている。
だが、指を伸ばせば、私に口付けを繰り返す花武皇子の髪の毛にも逞しい肩にも触れられる。
私は初めての経験に我を忘れて気が遠くなりそうだった。
「考えるのをやめて」
優しく透き通った瞳で私に囁く花武皇子は、私の気位の高いところが大好きだと言う。
「法術が使えても、秦野谷国は妃になれるのね?」
私は思わず聞いてしまった。
「我々はもっと高度な秦の術の使い手だからね。皇族も全員使える」
彼はくぐもった声で私の耳元で囁いた。
天蝶節の花火はとても美しかった。だが、私の目の前にいる花武皇子と私は、秦野谷国でもっと素晴らしい景色を目にするだろう。
明日の朝、「合体の儀完了!」という掛け声と共に私の妃としての人生が幕を開ける。
秦野谷国という異国で。
初めて来た秦野谷国での最初の夜は、世継ぎの皇子との合体の儀であった。
私の胸は高鳴り、心は蕩け、優しく愛おしい花武皇子の妻となる喜びに溢れている。
今宵、春の月は桜の花びらと共に美しいだろう。
私の人生における最上の日は、とても美しい夜だった。
私の入内は、素晴らしくも予期せぬ展開になったのだ。
淡い桃色の桜が咲き誇り、ちらちらと舞って落ちてくる桜の花びらは心浮き立つ私の心を表しているかのようだ。
私は花武皇子に結婚を申し込まれて、承諾した。
隠法術使だった私は、鷹宮妃選抜の儀から除外された。
御咲の国の極華禁城の桜も、まもなく咲くだろう。私の生まれ育った西の夜々の家は既に桜は満開かもしれない。
桜の花びらが舞うこの春、秦野谷国の豪華な宮中に私はいた。贅沢な布団の中では私と花武皇子の合体の儀が執り行われている最中だ。
なぜ、こうなるのでしょう?
花武皇子に胸を揉みながら口づけをされた。胸の頂きを刺激されて、耐えられずに甘い嬌声がもれ出た。
あっんっ
いやぁんっあぁんあぁっんっんっ
濡れたあそこに指を入れられて私は甘く自分ではない声が漏れ出るのを聞いた。
あぁんっんあぁっんっ
「ゆじゅ、君を抱きたいと思った男は大勢いると思う」
でも、なぜいきなり合体の儀!?
「そなたのような今世最高美女を妻に迎えるには、これが一番早いのだ」
そう懇々と説得されて、花武皇子に甘い言葉を囁かれ続けて、私は身も心も蕩けてしまった。
「私は揶揄ってなどいない。私が本気なのは伝わっただろう?邑珠に本気で惚れたのだ。愛しているんだ。邑珠無しでは生きられない。私と共に秦野谷国で生きてほしい」
「あ、な、た…邑珠もでございます…」
たまらない幸せに喘ぐ私に花武皇子は甘く囁いた。
「いい?」
私の素晴らしい刺繍が施された薄い衣は今宵は特別仕立てのものだ。それが乱れるさまにたまらないといった表情で私を見つめて、花武皇子は頬を上気させて「最高だよ」と甘く囁いた。
銀髪で鷹宮さまそっそくりの透き通った瞳で、私を愛おしそうに見つめながら花武皇子は囁いた。
「私の妻になってくれると言ってくれて、本当にありがとう。一生大切にするよ、邑珠」
御咲の国の皇帝一族をお守りしたために、わたくし今世最高美女は御咲の国の名誉姫に選出された。鷹宮さまの妃にはなれなかったが、とても光栄なことだった。
茉莉姫は美梨の君を殺めようとした咎が残ってはいるが、大幅に減刑された。身を挺して御咲の国を守ろうとしたからだ。
そうだ。
冥々の茉莉姫は生き残った。死んだのは奏山の方で、楊飛皇子はこの世から去った。
かなり危ない橋ではあったが、私たちは生き残った。ただ、私を前宮の青桃菊棟から拉致して荷車に押し込んで激奈龍の雅羅減鹿の元に連れ込んだ、あの若い秀麗な顔の男も生き残ったはずだ。彼は、磨崖で縛り上げられたのに逃げおおせたのだから。
蓬々の家の璃音姫がことのほか熱心にあの男の行方を探していた。あの時、梅香が結局気づいてくれて美梨の君に知らせてくれ、私を助けに花武皇子と共に美梨の君が現れたという経緯が分かった。蓬々の家の璃音姫はあの若い男を絶対に許さないと息巻いていた。
あの秀麗な顔つきの男が、楊飛皇子亡き後の激奈龍の皇帝の椅子に座ったという知らせが届いたのは、私が出発する前夜のことであった。
そうだ。
私の敵はまだ生き残っている。
だが、指を伸ばせば、私に口付けを繰り返す花武皇子の髪の毛にも逞しい肩にも触れられる。
私は初めての経験に我を忘れて気が遠くなりそうだった。
「考えるのをやめて」
優しく透き通った瞳で私に囁く花武皇子は、私の気位の高いところが大好きだと言う。
「法術が使えても、秦野谷国は妃になれるのね?」
私は思わず聞いてしまった。
「我々はもっと高度な秦の術の使い手だからね。皇族も全員使える」
彼はくぐもった声で私の耳元で囁いた。
天蝶節の花火はとても美しかった。だが、私の目の前にいる花武皇子と私は、秦野谷国でもっと素晴らしい景色を目にするだろう。
明日の朝、「合体の儀完了!」という掛け声と共に私の妃としての人生が幕を開ける。
秦野谷国という異国で。
初めて来た秦野谷国での最初の夜は、世継ぎの皇子との合体の儀であった。
私の胸は高鳴り、心は蕩け、優しく愛おしい花武皇子の妻となる喜びに溢れている。
今宵、春の月は桜の花びらと共に美しいだろう。
私の人生における最上の日は、とても美しい夜だった。
私の入内は、素晴らしくも予期せぬ展開になったのだ。
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