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春の宵の恋煩い編
恋の経緯② 花武皇子Side
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また、茉莉姫が激奈龍と手を組んだとみせかけて、激奈龍を裏切ろうとしていることまではまるで分かっていなかった。
ただ、昨秋、済々の家の花蓮姫が三絃崇に酔っ払わされて入っていくのは物陰から見ていた。
私は救うために、一応彼女の後ろをつけて行ったのだ。
だが、心配はまるで要らなかった。酔った本人は気づいていないが、赤い竜がしょっちゅう現れては姫と侍女と護衛の者を守っていたのだから。
あぁ、これが鷹宮が花蓮姫にこだわる理由か。
俺は納得できた。
朝になって私もヨロヨロになった頃、泥だらけの鷹宮本人が登場した時は心底驚いた。
噂通り、私にそっくりだったからだ。花蓮姫は鷹宮の気持ちなどまるで分かっていない要するだったが、鷹宮側は花蓮姫しか愛せない様子で彼女にゾッコンなのはよく分かった。
少々変わった組み合わせの2人だが、敵国に無闇に攻め入るようには思考の持ち主には見えなかった。
俺と鷹宮はなぜあれほど似ているのか?
似過ぎて怖いのだが、その疑問の答えはまだ分からない。
鷹宮も福千竜の主だと直感的に分かった。当の本人はまるで気づいていなそうだったが。
結局、今世最高美女の姿を初めて見たのは、彼女が蘭飛に運ばれてきた酒楼でだった。屋根裏に隠れて彼女を救出する時を伺っていた私はひっくり返りそうになった。
一目見て、胸が熱くなった。
おぉ……!
やっと会えた!
なんて可愛いのだ!
なんて綺麗なんだ!
この世のものとも思えないほど美しい!
声にならない声が体の奥から出て、ひっくり返った。心拍数も上がり、身体中がカッと熱くなった。
俺は舞い上がってしまった。
顔が上気してしまった。何がなんでも彼女を妻にしたくなった。
俺の妃は彼女しかいないと思った。
話せば話すほど、彼女のツンとした態度から伝わる気位の高さと内面との差に心惹かれた。
***
そして、全てが片付いたいま、私は御咲の国で天蝶節の宴に招かれていた。
奏山が楊飛皇子だとは見抜けなかった。そして、ここにきて大きな誤算が生まれた。
蘭飛皇子が蓬々の家の璃音姫にご執心だという。
異母兄弟同士は、無意識に同じ人に惹かれるのか……!?
私はそのことについては、放置しておこうと思った。
彼女は美梨の君であるのだし、私が世話を焼かなくても自分で処理できるだろう。何より、美梨の君を殺めようとした茉莉姫は、激奈龍の次の皇帝が美梨の君の本当の姿である蓬々の家の璃音姫にご執心としれば、身を挺して美梨の君である蓬々の家の璃音姫を守ろうとするのではないか。
冥々の家の茉莉姫はそういう類の人間だろう。
私の出る幕では無いだろう。
今宵の天蝶節の花火はとても美しかった。御咲の国の皇帝に感謝された柳武と私は、天蝶節を祝う宴に招待されていた。
花火を見ながら、邑珠姫に結婚の申し込みをするならば今だという自覚が私にあった。
隣で花火に瞳を輝かしている今世最高美女の手を私はそっと取った。
ひざまずいた。真剣な眼差しで邑珠姫を見つめた。
心臓が破裂しそうなほどドキドキしていた。
「あなたに結婚を申し込みたい。邑珠姫」
私の見上げる今世最高美女は、頬が真っ赤になった。少しお酒に酔っていたので目がトロンとしているが、驚きで何度も目をしばたいている。
可愛い……!
邑珠姫……!
「え、え……そ……の、わた、しは……!」
「私と結婚をしてください。あなたは秦野谷国の時期皇帝である私の妃となっていただけますか。私と共に秦野谷国で生涯を過ごしてください。あなたをどうしようもなく愛しているのです」
邑珠姫は泣き出した。
「私のことをお好きなのですか?」
「もちろん、大好きだ。私の妃はあなた以外に考えられない」
「そんなことが許されるのですか?私は法術を使います……」
「秦野谷国はそんなあなたを妃に迎えたいと考えています。法術を使おうと、あなたはあなただ。邑珠」
邑珠姫は泣きながら、小さな声で「はい」と答えた。
「いいのですね?私の妃で」
「はい、私は花武皇子の元に嫁ぎます」
私たちは口付けをかわした。
温かく柔らか唇に私は何もかも放り出したいほど心奪われた。
私の胸は震えた。
この特別な日を無事に彼女と迎えられて、本当に幸せだった。
私の御咲の国への潜行は、予想もしない冒険と愛を手にいれる展開となった。
ただ、昨秋、済々の家の花蓮姫が三絃崇に酔っ払わされて入っていくのは物陰から見ていた。
私は救うために、一応彼女の後ろをつけて行ったのだ。
だが、心配はまるで要らなかった。酔った本人は気づいていないが、赤い竜がしょっちゅう現れては姫と侍女と護衛の者を守っていたのだから。
あぁ、これが鷹宮が花蓮姫にこだわる理由か。
俺は納得できた。
朝になって私もヨロヨロになった頃、泥だらけの鷹宮本人が登場した時は心底驚いた。
噂通り、私にそっくりだったからだ。花蓮姫は鷹宮の気持ちなどまるで分かっていない要するだったが、鷹宮側は花蓮姫しか愛せない様子で彼女にゾッコンなのはよく分かった。
少々変わった組み合わせの2人だが、敵国に無闇に攻め入るようには思考の持ち主には見えなかった。
俺と鷹宮はなぜあれほど似ているのか?
似過ぎて怖いのだが、その疑問の答えはまだ分からない。
鷹宮も福千竜の主だと直感的に分かった。当の本人はまるで気づいていなそうだったが。
結局、今世最高美女の姿を初めて見たのは、彼女が蘭飛に運ばれてきた酒楼でだった。屋根裏に隠れて彼女を救出する時を伺っていた私はひっくり返りそうになった。
一目見て、胸が熱くなった。
おぉ……!
やっと会えた!
なんて可愛いのだ!
なんて綺麗なんだ!
この世のものとも思えないほど美しい!
声にならない声が体の奥から出て、ひっくり返った。心拍数も上がり、身体中がカッと熱くなった。
俺は舞い上がってしまった。
顔が上気してしまった。何がなんでも彼女を妻にしたくなった。
俺の妃は彼女しかいないと思った。
話せば話すほど、彼女のツンとした態度から伝わる気位の高さと内面との差に心惹かれた。
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そして、全てが片付いたいま、私は御咲の国で天蝶節の宴に招かれていた。
奏山が楊飛皇子だとは見抜けなかった。そして、ここにきて大きな誤算が生まれた。
蘭飛皇子が蓬々の家の璃音姫にご執心だという。
異母兄弟同士は、無意識に同じ人に惹かれるのか……!?
私はそのことについては、放置しておこうと思った。
彼女は美梨の君であるのだし、私が世話を焼かなくても自分で処理できるだろう。何より、美梨の君を殺めようとした茉莉姫は、激奈龍の次の皇帝が美梨の君の本当の姿である蓬々の家の璃音姫にご執心としれば、身を挺して美梨の君である蓬々の家の璃音姫を守ろうとするのではないか。
冥々の家の茉莉姫はそういう類の人間だろう。
私の出る幕では無いだろう。
今宵の天蝶節の花火はとても美しかった。御咲の国の皇帝に感謝された柳武と私は、天蝶節を祝う宴に招待されていた。
花火を見ながら、邑珠姫に結婚の申し込みをするならば今だという自覚が私にあった。
隣で花火に瞳を輝かしている今世最高美女の手を私はそっと取った。
ひざまずいた。真剣な眼差しで邑珠姫を見つめた。
心臓が破裂しそうなほどドキドキしていた。
「あなたに結婚を申し込みたい。邑珠姫」
私の見上げる今世最高美女は、頬が真っ赤になった。少しお酒に酔っていたので目がトロンとしているが、驚きで何度も目をしばたいている。
可愛い……!
邑珠姫……!
「え、え……そ……の、わた、しは……!」
「私と結婚をしてください。あなたは秦野谷国の時期皇帝である私の妃となっていただけますか。私と共に秦野谷国で生涯を過ごしてください。あなたをどうしようもなく愛しているのです」
邑珠姫は泣き出した。
「私のことをお好きなのですか?」
「もちろん、大好きだ。私の妃はあなた以外に考えられない」
「そんなことが許されるのですか?私は法術を使います……」
「秦野谷国はそんなあなたを妃に迎えたいと考えています。法術を使おうと、あなたはあなただ。邑珠」
邑珠姫は泣きながら、小さな声で「はい」と答えた。
「いいのですね?私の妃で」
「はい、私は花武皇子の元に嫁ぎます」
私たちは口付けをかわした。
温かく柔らか唇に私は何もかも放り出したいほど心奪われた。
私の胸は震えた。
この特別な日を無事に彼女と迎えられて、本当に幸せだった。
私の御咲の国への潜行は、予想もしない冒険と愛を手にいれる展開となった。
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