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第二章
焼きたてのパンと屋台のお菓子(2)
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私はまっすぐに歩きながら、周囲を素早く見渡した。誰も私が危機に瀕しているとは気づいていないようだ。
――落ち着くのよ。敵は剣を抜いているわけではなさそうだわ。今私の背後で敵が剣を抜いていたら、もっと周りが騒ぐでしょう。
歩くと、微かに敵のソードベルトの音がカチャカチャと鳴る音がした。敵は剣を腰から下げているようだ。ならば……!
私はとっさに後ろに立つ敵のソードベルトに狙いをすました。敵の剣のグリップに手をかけ、一気に剣を抜いた。
――やった!成功したわ!
以前に、二階の窓から地上の馬の背に飛び降りる練習をしていた頃、ラファエルと練習を繰り返していた、背後の敵の剣を奪う技が功を奏したようだ。
「キャッ!」
「なんだよっ!」
一瞬で周囲に大きなどよめきが起こったが、私は構わずに敵を振り返り、振り翳した剣の先を敵の首筋に当てた。
「イネべガエトガワシエガモン!」
いちかばちかで私はお腹の底から声を出して、古代語で命令を下した。
途端に、周囲から皇帝の騎士とラファエルの騎士団が姿をサッと現して、私が剣を首筋に当てている男に飛びかかった。周りは騒然となった。
皇帝の騎士が現れたことで、私が皇帝の世継ぎの妻だと周囲にバレたようだった。
「『皇帝の孫の花嫁を狙うものを始末せよ』と聞こえたよな」
「皇帝の騎士がこんにたくさんいるわ。となると、あの方がラファエル様の花嫁なのかしら?」
「それにしてもすごい剣幕だったな。隣国で生まれ育った人を妻にしたと聞いたが、まるで皇帝の妻であるかのような威厳だった」
周りの人々の多くが私の言葉の意味を理解したようだった。騎士たちには最初、私を脅した者が私に何かをしでかそうとしているとは気づいていなかったようだ。
その時、人混みの中からガッチリと鍛え上げられた上腕二頭筋がスッと伸びてきて、私を抱きしめた。
私は彼の胸にすっぽりとおさまったまま、驚いて彼の顔を見上げた。ラファエルだった。
「無事でよかった。通りで古代語で命令を下す君の声が、ベッドのところまで聞こえてきたんだ。慌てて走ってきたら、騎士団が対処してくれていて助かったよ」
たくし上げたシャツの袖から、ラファエルの逞しい腕の血管がチラリと目に入った。日に焼けて筋ばった男性らしい腕に私は抱き抱えられた。私は彼の色気にくらっときてしまった。危機に瀕したばかりだからか、胸の鼓動の高鳴りが止まらない。
「ロザーラ、部屋に戻ってしようか」
首筋に顔を埋められて、そっと囁かれて、私は体が溶けそうな程の熱を感じた。
「ダメなのよ。あなたのおばあ様のお使いで屋台までお菓子を買いにきていたの。おばあ様がお待ちなので、このお菓子を持って行くわ」
「おばあさまは気づかれて目を覚ましたのか?」
「そうなの。先ほど焼きたてパンと菓子パンを食べられて、美味しいとおっしゃるので、また買いにきたの」
「そうか。本当によかった……!僕も一緒におばあ様の部屋に行くよ」
ラファエルが皇帝の騎士団と自分の騎士団に合図をすると、彼らはサッと挨拶をした。まるで皇帝に挨拶をするかのように。自国ジークベインリードハルトでは、騎士団の動きがまるで違った。
皇帝の騎士団がひれ伏した途端に、周りの群衆もはっとした様子で腰を下げて、膝を地面についた。まるで皇帝への挨拶のようだ。
「陛下、よくぞご無事で」
「まあ、何年振りでしょう」
人々が口々にささやきあうのを、私は呆然として聞いていた。
「未来の皇后と皇后陛下に万歳!」
誰かが言い出して、群衆が一気に声を揃えて祝福の声を上げ始めた。
ラファエルは軽く手を上げて人々に挨拶をすると、私を連れて広場を後にした。私の心臓はドキドキと高鳴り、生まれて初めて群衆に歓声を上げられて歓迎されたことにとても戸惑っていた。
私が皇后が泊まる部屋にチラリと目をやると、窓辺に皇后が立っていた。宿屋の窓から通りの様子をじっと見つめているようだ。
――皇后のお許しをいただく前に、群衆の前にラファエルの妻であると正体をばらしてしまったことで、またお怒りになるのではないだろうか。
私は震える思いで、別れなさいと言われたことを思い出して気持ちが沈むのを感じた。手に持った菓子パンを入れたカゴが小刻みに揺れるほど、私の手は震えていた。
ラファエルと私がそっと皇后の部屋をノックすると、「お入りなさい」と声がしたので、ラファエルと私は皇后の部屋に入った。
皇后はまだ窓辺に立って、通りの様子を見下ろしていた。
「もう起き上がられて大丈夫なのですか?」
ラファエルは慌てた様子で皇后に駆け寄った。
「大丈夫よ。あなたの花嫁に焼きたてのパンとお菓子をいただいて、生まれて初めて街のパンとお菓子を食べることができました。おかげですっかり元気になりましたわ」
皇后はにっこりとして微笑んだ。私は何を言い出されるかとうつむいた。
「どうやら、私が間違っていたようだわ。フランリヨンドのオットー陛下の方が目が高いということね。最適な人選よ。あなたは、この国の皇后にふさわしいわ。先ほど、あなたが屋台に行ったところからここで様子を見ていたのよ。敵が現れたのは、私の落ち度でもあります。危険を冒してあなたを買いに行かせたのですから」
皇后は幾分か優しい声で私に言った。
「敵に対処した時のあなたは立派だったわ。ここまであなたの古代語は聞こえてきました。あなたはまるで生まれながらにこの国を治める側の人間であるかのように、堂々と振る舞っていたわ。とても立派でした。合格よ」
私はポカンとして皇后の瞳を見つめた。私の様子に皇后は少しイラッとしたような、恥ずかしそうな様子になった。
「だから、あなたのことをラファエルの妻として認めますと言っています」
その言葉を聞いて、ラファエルは皇后をギュッと抱きしめた。ラファエルの目から涙が溢れた。
「さすが、おばあさま。わかってくれると思っていたよ」
皇后はラファエルの背中をよしよしと軽く撫でながら、励ました。
「あなたは妻と一緒に、この旅を必ずやり遂げなさい!」
ラファエルは嬉し泣きの顔を私にも見せて、真っ白い歯を見せて笑った。
「もちろん!ロザーラが一緒にいてくれるならきっとできます。おばあ様」
「ありがとうございます、皇后様」
私も肩を震わせて泣いた。ラファエルと別れなくて済むと思ったら、張り詰めていたものが緩んで、涙が止まらなくなった。
――必ず、私はコンラート地方に無事に辿りついて見せますわ。
冬は本格的に雪を降らせようと、すぐ近くまでやってきていた。
――落ち着くのよ。敵は剣を抜いているわけではなさそうだわ。今私の背後で敵が剣を抜いていたら、もっと周りが騒ぐでしょう。
歩くと、微かに敵のソードベルトの音がカチャカチャと鳴る音がした。敵は剣を腰から下げているようだ。ならば……!
私はとっさに後ろに立つ敵のソードベルトに狙いをすました。敵の剣のグリップに手をかけ、一気に剣を抜いた。
――やった!成功したわ!
以前に、二階の窓から地上の馬の背に飛び降りる練習をしていた頃、ラファエルと練習を繰り返していた、背後の敵の剣を奪う技が功を奏したようだ。
「キャッ!」
「なんだよっ!」
一瞬で周囲に大きなどよめきが起こったが、私は構わずに敵を振り返り、振り翳した剣の先を敵の首筋に当てた。
「イネべガエトガワシエガモン!」
いちかばちかで私はお腹の底から声を出して、古代語で命令を下した。
途端に、周囲から皇帝の騎士とラファエルの騎士団が姿をサッと現して、私が剣を首筋に当てている男に飛びかかった。周りは騒然となった。
皇帝の騎士が現れたことで、私が皇帝の世継ぎの妻だと周囲にバレたようだった。
「『皇帝の孫の花嫁を狙うものを始末せよ』と聞こえたよな」
「皇帝の騎士がこんにたくさんいるわ。となると、あの方がラファエル様の花嫁なのかしら?」
「それにしてもすごい剣幕だったな。隣国で生まれ育った人を妻にしたと聞いたが、まるで皇帝の妻であるかのような威厳だった」
周りの人々の多くが私の言葉の意味を理解したようだった。騎士たちには最初、私を脅した者が私に何かをしでかそうとしているとは気づいていなかったようだ。
その時、人混みの中からガッチリと鍛え上げられた上腕二頭筋がスッと伸びてきて、私を抱きしめた。
私は彼の胸にすっぽりとおさまったまま、驚いて彼の顔を見上げた。ラファエルだった。
「無事でよかった。通りで古代語で命令を下す君の声が、ベッドのところまで聞こえてきたんだ。慌てて走ってきたら、騎士団が対処してくれていて助かったよ」
たくし上げたシャツの袖から、ラファエルの逞しい腕の血管がチラリと目に入った。日に焼けて筋ばった男性らしい腕に私は抱き抱えられた。私は彼の色気にくらっときてしまった。危機に瀕したばかりだからか、胸の鼓動の高鳴りが止まらない。
「ロザーラ、部屋に戻ってしようか」
首筋に顔を埋められて、そっと囁かれて、私は体が溶けそうな程の熱を感じた。
「ダメなのよ。あなたのおばあ様のお使いで屋台までお菓子を買いにきていたの。おばあ様がお待ちなので、このお菓子を持って行くわ」
「おばあさまは気づかれて目を覚ましたのか?」
「そうなの。先ほど焼きたてパンと菓子パンを食べられて、美味しいとおっしゃるので、また買いにきたの」
「そうか。本当によかった……!僕も一緒におばあ様の部屋に行くよ」
ラファエルが皇帝の騎士団と自分の騎士団に合図をすると、彼らはサッと挨拶をした。まるで皇帝に挨拶をするかのように。自国ジークベインリードハルトでは、騎士団の動きがまるで違った。
皇帝の騎士団がひれ伏した途端に、周りの群衆もはっとした様子で腰を下げて、膝を地面についた。まるで皇帝への挨拶のようだ。
「陛下、よくぞご無事で」
「まあ、何年振りでしょう」
人々が口々にささやきあうのを、私は呆然として聞いていた。
「未来の皇后と皇后陛下に万歳!」
誰かが言い出して、群衆が一気に声を揃えて祝福の声を上げ始めた。
ラファエルは軽く手を上げて人々に挨拶をすると、私を連れて広場を後にした。私の心臓はドキドキと高鳴り、生まれて初めて群衆に歓声を上げられて歓迎されたことにとても戸惑っていた。
私が皇后が泊まる部屋にチラリと目をやると、窓辺に皇后が立っていた。宿屋の窓から通りの様子をじっと見つめているようだ。
――皇后のお許しをいただく前に、群衆の前にラファエルの妻であると正体をばらしてしまったことで、またお怒りになるのではないだろうか。
私は震える思いで、別れなさいと言われたことを思い出して気持ちが沈むのを感じた。手に持った菓子パンを入れたカゴが小刻みに揺れるほど、私の手は震えていた。
ラファエルと私がそっと皇后の部屋をノックすると、「お入りなさい」と声がしたので、ラファエルと私は皇后の部屋に入った。
皇后はまだ窓辺に立って、通りの様子を見下ろしていた。
「もう起き上がられて大丈夫なのですか?」
ラファエルは慌てた様子で皇后に駆け寄った。
「大丈夫よ。あなたの花嫁に焼きたてのパンとお菓子をいただいて、生まれて初めて街のパンとお菓子を食べることができました。おかげですっかり元気になりましたわ」
皇后はにっこりとして微笑んだ。私は何を言い出されるかとうつむいた。
「どうやら、私が間違っていたようだわ。フランリヨンドのオットー陛下の方が目が高いということね。最適な人選よ。あなたは、この国の皇后にふさわしいわ。先ほど、あなたが屋台に行ったところからここで様子を見ていたのよ。敵が現れたのは、私の落ち度でもあります。危険を冒してあなたを買いに行かせたのですから」
皇后は幾分か優しい声で私に言った。
「敵に対処した時のあなたは立派だったわ。ここまであなたの古代語は聞こえてきました。あなたはまるで生まれながらにこの国を治める側の人間であるかのように、堂々と振る舞っていたわ。とても立派でした。合格よ」
私はポカンとして皇后の瞳を見つめた。私の様子に皇后は少しイラッとしたような、恥ずかしそうな様子になった。
「だから、あなたのことをラファエルの妻として認めますと言っています」
その言葉を聞いて、ラファエルは皇后をギュッと抱きしめた。ラファエルの目から涙が溢れた。
「さすが、おばあさま。わかってくれると思っていたよ」
皇后はラファエルの背中をよしよしと軽く撫でながら、励ました。
「あなたは妻と一緒に、この旅を必ずやり遂げなさい!」
ラファエルは嬉し泣きの顔を私にも見せて、真っ白い歯を見せて笑った。
「もちろん!ロザーラが一緒にいてくれるならきっとできます。おばあ様」
「ありがとうございます、皇后様」
私も肩を震わせて泣いた。ラファエルと別れなくて済むと思ったら、張り詰めていたものが緩んで、涙が止まらなくなった。
――必ず、私はコンラート地方に無事に辿りついて見せますわ。
冬は本格的に雪を降らせようと、すぐ近くまでやってきていた。
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