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第二章
愛のきらめきと約束
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洗濯、冒険、恋のときめき、恋のぎこちなさ、恋のすれ違い。
それが私がこの旅の出発前に思い描いたイメージだ。辺境の伯爵領は大陸の果てにあると思っていた。その旅路はワクワクするような冒険と淡い恋が待っている旅路だと思っていた。
雪が降る前に私たちは大陸の果ての領地に向けて、ピンク色や白色のマーガレットの花が咲き乱れる野を馬車で通った。最初は、咲き進むに連れて色が変化するマーガレットシンプリ―コーラルのような素敵で控えめな恋が夫と私の間に生まれることを予感していた。
雪がはらりはらりと降りつもる中で、私はラファエルの腕の中で息たえる自分を見つめていた。死神が私の隣に立ち、私を優しい目で見つめた。私は間違っていた。これはとてつもない大冒険と熱烈な恋が待っている旅路だったのだ。
「死神さまはマクシムス皇帝ですか?」
私は隣に一緒に立ってくれている若い男性に尋ねた。その美しい男性は私を見つめて闊達な笑い声をあげた。いつもの仕立ての良さそうなゆったりとした服を纏っている。金髪の髪を短く刈り込んでいて、目の色は青かった。
「とうとう、僕の正体に気づいたか」
彼は私の顎をそっと持ち上げて、私の瞳をのぞき込んだ。
「君はうまくやるんだ。いいね?」
私は死神さまにそう言われてうなずいた。この死を回避するためにやり直すのだ。
死の5分前の世界は、私と死神さまだけの世界のはずだった。5分前の契約のために証文を死神さまが取り出そうとしたとき、私の目の端にプラチナブロンドの天使のように美しいレティシアが駆け寄ってくるのが見えた。プラチナブロンドの髪が私の目の前をゆっくりと過ぎり、私の隣に立つ死神さまに抱きついた。
「マクシムス!」
レティシアは確かに震える声でそうつぶやくと死神さまに抱きついた。死神とレティシアは熱い抱擁を交わして、唇を重ねた。
私は心底驚いて二人をただただ見つめた。昔、レティシアも死神さまと契約したのかと昨日チラリと思ったことを思い出した。しかし、二人は恋人同士のマクシムス皇帝とその恋人のレティシアそのままのように見える。
死神さまはレティシアのプラチナブロンドの髪をときほぐし、レティシアは死神さまの胸で泣き崩れていた。何度も何度も二人は唇を重ねた。温かい涙が二人の頬を濡らし、死神さまの美しくも生気の感じられない頬があからみ、唇はふっくらと色づき、血の気が感じられる生身の人間のようになった。
「レティシア、君にまた会えて良かった」
「マクシムス、愛しているわ。あなたを失ってしまうなんて私はなんてバカなことをしたのでしょう。本当にごめんなさい」
レティシアは声を震わせて泣いた。
「いや、僕は後悔はしていないよ。君と幸せな夢を見られた。とても満ち足りた幸せな時間を過ごせたから。それは僕にとってはとてつもない幸運だった」
死神さまはレティシアを瞳を見つめて、彼女のほつれた髪をそっと撫でて優しい口付けをした。彼の青い瞳が涙で漣のように煌めく。
「いいね?僕はロザーラが君に繋げるバトンを僕は見届けるつもりだ。僕なりにこの大陸を治める力を持つ者として貢献するつもりだ。これは僕にとって素晴らしい仕事なんだよ、レティシア」
死神さまは私にはよく理解できない話をレティシアにしていた。
だが、二人が過去に素晴らしく幸せな時間を送ったことはわかった。二人を見ていると、可憐なかすみ草が頭をよぎる。ランヒフルージュ城に二人で一緒にあの可憐な花を植えたのかもしれない。甘いときめきがマクシムス皇帝とレティシアの間には漂っている。
「いつか、僕らはまた一緒になれる。それにはまずケネスと幸せになって、君の使命を果たすんだ。君には大勢の命を救う使命がある。それを果たす手伝いを僕はしている。僕はやっぱり皇帝なんだよ。その形で僕の使命を果たす」
力強く低い声で、死神さまはレティシアにささやいた。愛をささやいているかのようだ。瞳は煌めいていて、首を傾げてレティシアの顔をのぞきこむようにして甘く微笑んでいるさまは、心を完全に許した恋人に対するものだ。
雪がはらりはらりと落ちてきて時が止まっている世界で、私と死神さまとレティシアと真っ白い雪だけが動いていた。
「わかったわ。必ず幸せになるわ。そして私の使命を果たすから、その先で必ずあなたに再会するわ。きっとよ、約束よ」
「約束だ」
二人は固く抱き合って唇を重ねた。そして死神さまはレティシアから体を離した。私を真っ直ぐに見つめて宣言した。
「君をこれから連れ去る5分前で一旦時を止めよう。君がこの死を回避できる選択を過去に戻ってできれば、5分の間に結果が変わる。そうすれば君はここで死なない。この証文に手をかざしてくれ」
私は死神さまがポケットから取り出した紙を見つめた。これまでの3回の契約の時と同じように『死まで5分』と大きく書いてある。私はその紙に手をかざした。
私とレティシアは互いに顔を見合わせて力強くうなずいた。
死神が差し出した『死まで5分』と書かれた紙に私が手をかざすと、紙は炎を出して燃え尽きた。
私はシャン・リュセ城で目が覚めた。死を回避するためには行動を変える必要がある。
私は素早く『生の王冠』を取り出した。そして左手にはめていたロレード家のシグネットリングを上から押して小さな宝石を取り出した。小さな石の輝きは燦然と煌めいている。私はその石を9番目の穴にはめた。
隣で寝ているラファエルを急いで起こして、王冠が完成したことを告げた。
「セルドに行く前にジークベインリードハルトの都に立ち寄りましょう。王冠が完成したことを敵と皇太子に告げましょう」
ラファエルは王冠が完成したことが分かるととても喜んで私を抱きしめた。
「君が俺のそばにいてくれるなら、どこへでも行くよ。俺のそばにいてくれ」
耳元でささやかれ、私は嬉しくてくすぐったくて身をよじった。甘いささやきに心がときめく。
「レティシア、ジークベインリードハルトの都に華々しく凱旋しましょう。王冠が完成したのよ」
私はその時、部屋に飛び込んできたレティシアに伝えた。
「いい考えだわ。こちらに雪が降る前に急がないとね」
レティシアも賛成してくれて、私たちはセルド行きを今回はやめた。結局、私はたちは昨晩まで考えていたこととまるで違う選択をした。
皇太子と敵の両方に、皇帝選抜は終わったと高らかに凱旋報告するのだ。
レティシアは私が死にいたった記憶も、死神さまとの記憶も、全て残っているようだ。なぜなのかは分からない。
ランヒフルージュ城のかすみ草の花言葉は、マクシムス皇帝からレティシアに捧げられた言葉だった。
「永遠の愛」
レティシアはシャン・リセ城の豪華な客間の窓辺に飾られたかすみ草を見て、小さな声でつぶやいた。
「マクシムス、当分あなたに会えないけれど、あなたの代わりにこの花を都の凱旋に連れて行くわ」
私は朝食を食べるために身支度を整えた。私たちの豪華な客間の窓辺には、昨晩飾ったかすみ草が可憐な白い花を咲かせていた。
今日の私たちの凱旋に、この花も連れて行こう。
それが私がこの旅の出発前に思い描いたイメージだ。辺境の伯爵領は大陸の果てにあると思っていた。その旅路はワクワクするような冒険と淡い恋が待っている旅路だと思っていた。
雪が降る前に私たちは大陸の果ての領地に向けて、ピンク色や白色のマーガレットの花が咲き乱れる野を馬車で通った。最初は、咲き進むに連れて色が変化するマーガレットシンプリ―コーラルのような素敵で控えめな恋が夫と私の間に生まれることを予感していた。
雪がはらりはらりと降りつもる中で、私はラファエルの腕の中で息たえる自分を見つめていた。死神が私の隣に立ち、私を優しい目で見つめた。私は間違っていた。これはとてつもない大冒険と熱烈な恋が待っている旅路だったのだ。
「死神さまはマクシムス皇帝ですか?」
私は隣に一緒に立ってくれている若い男性に尋ねた。その美しい男性は私を見つめて闊達な笑い声をあげた。いつもの仕立ての良さそうなゆったりとした服を纏っている。金髪の髪を短く刈り込んでいて、目の色は青かった。
「とうとう、僕の正体に気づいたか」
彼は私の顎をそっと持ち上げて、私の瞳をのぞき込んだ。
「君はうまくやるんだ。いいね?」
私は死神さまにそう言われてうなずいた。この死を回避するためにやり直すのだ。
死の5分前の世界は、私と死神さまだけの世界のはずだった。5分前の契約のために証文を死神さまが取り出そうとしたとき、私の目の端にプラチナブロンドの天使のように美しいレティシアが駆け寄ってくるのが見えた。プラチナブロンドの髪が私の目の前をゆっくりと過ぎり、私の隣に立つ死神さまに抱きついた。
「マクシムス!」
レティシアは確かに震える声でそうつぶやくと死神さまに抱きついた。死神とレティシアは熱い抱擁を交わして、唇を重ねた。
私は心底驚いて二人をただただ見つめた。昔、レティシアも死神さまと契約したのかと昨日チラリと思ったことを思い出した。しかし、二人は恋人同士のマクシムス皇帝とその恋人のレティシアそのままのように見える。
死神さまはレティシアのプラチナブロンドの髪をときほぐし、レティシアは死神さまの胸で泣き崩れていた。何度も何度も二人は唇を重ねた。温かい涙が二人の頬を濡らし、死神さまの美しくも生気の感じられない頬があからみ、唇はふっくらと色づき、血の気が感じられる生身の人間のようになった。
「レティシア、君にまた会えて良かった」
「マクシムス、愛しているわ。あなたを失ってしまうなんて私はなんてバカなことをしたのでしょう。本当にごめんなさい」
レティシアは声を震わせて泣いた。
「いや、僕は後悔はしていないよ。君と幸せな夢を見られた。とても満ち足りた幸せな時間を過ごせたから。それは僕にとってはとてつもない幸運だった」
死神さまはレティシアを瞳を見つめて、彼女のほつれた髪をそっと撫でて優しい口付けをした。彼の青い瞳が涙で漣のように煌めく。
「いいね?僕はロザーラが君に繋げるバトンを僕は見届けるつもりだ。僕なりにこの大陸を治める力を持つ者として貢献するつもりだ。これは僕にとって素晴らしい仕事なんだよ、レティシア」
死神さまは私にはよく理解できない話をレティシアにしていた。
だが、二人が過去に素晴らしく幸せな時間を送ったことはわかった。二人を見ていると、可憐なかすみ草が頭をよぎる。ランヒフルージュ城に二人で一緒にあの可憐な花を植えたのかもしれない。甘いときめきがマクシムス皇帝とレティシアの間には漂っている。
「いつか、僕らはまた一緒になれる。それにはまずケネスと幸せになって、君の使命を果たすんだ。君には大勢の命を救う使命がある。それを果たす手伝いを僕はしている。僕はやっぱり皇帝なんだよ。その形で僕の使命を果たす」
力強く低い声で、死神さまはレティシアにささやいた。愛をささやいているかのようだ。瞳は煌めいていて、首を傾げてレティシアの顔をのぞきこむようにして甘く微笑んでいるさまは、心を完全に許した恋人に対するものだ。
雪がはらりはらりと落ちてきて時が止まっている世界で、私と死神さまとレティシアと真っ白い雪だけが動いていた。
「わかったわ。必ず幸せになるわ。そして私の使命を果たすから、その先で必ずあなたに再会するわ。きっとよ、約束よ」
「約束だ」
二人は固く抱き合って唇を重ねた。そして死神さまはレティシアから体を離した。私を真っ直ぐに見つめて宣言した。
「君をこれから連れ去る5分前で一旦時を止めよう。君がこの死を回避できる選択を過去に戻ってできれば、5分の間に結果が変わる。そうすれば君はここで死なない。この証文に手をかざしてくれ」
私は死神さまがポケットから取り出した紙を見つめた。これまでの3回の契約の時と同じように『死まで5分』と大きく書いてある。私はその紙に手をかざした。
私とレティシアは互いに顔を見合わせて力強くうなずいた。
死神が差し出した『死まで5分』と書かれた紙に私が手をかざすと、紙は炎を出して燃え尽きた。
私はシャン・リュセ城で目が覚めた。死を回避するためには行動を変える必要がある。
私は素早く『生の王冠』を取り出した。そして左手にはめていたロレード家のシグネットリングを上から押して小さな宝石を取り出した。小さな石の輝きは燦然と煌めいている。私はその石を9番目の穴にはめた。
隣で寝ているラファエルを急いで起こして、王冠が完成したことを告げた。
「セルドに行く前にジークベインリードハルトの都に立ち寄りましょう。王冠が完成したことを敵と皇太子に告げましょう」
ラファエルは王冠が完成したことが分かるととても喜んで私を抱きしめた。
「君が俺のそばにいてくれるなら、どこへでも行くよ。俺のそばにいてくれ」
耳元でささやかれ、私は嬉しくてくすぐったくて身をよじった。甘いささやきに心がときめく。
「レティシア、ジークベインリードハルトの都に華々しく凱旋しましょう。王冠が完成したのよ」
私はその時、部屋に飛び込んできたレティシアに伝えた。
「いい考えだわ。こちらに雪が降る前に急がないとね」
レティシアも賛成してくれて、私たちはセルド行きを今回はやめた。結局、私はたちは昨晩まで考えていたこととまるで違う選択をした。
皇太子と敵の両方に、皇帝選抜は終わったと高らかに凱旋報告するのだ。
レティシアは私が死にいたった記憶も、死神さまとの記憶も、全て残っているようだ。なぜなのかは分からない。
ランヒフルージュ城のかすみ草の花言葉は、マクシムス皇帝からレティシアに捧げられた言葉だった。
「永遠の愛」
レティシアはシャン・リセ城の豪華な客間の窓辺に飾られたかすみ草を見て、小さな声でつぶやいた。
「マクシムス、当分あなたに会えないけれど、あなたの代わりにこの花を都の凱旋に連れて行くわ」
私は朝食を食べるために身支度を整えた。私たちの豪華な客間の窓辺には、昨晩飾ったかすみ草が可憐な白い花を咲かせていた。
今日の私たちの凱旋に、この花も連れて行こう。
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