【完結】何んでそうなるの、側妃ですか?

西野歌夏

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16 俺の心はリジーのものだ ※

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 ゆっくりとネグリジェを脱がされて、アラン王子の舌が胸の先を愛撫した。

 私は悶えて喘ぐ。
 アラン王子の手が私の両胸を揉んだ。


 膝を大きく開かされて、あそこを愛撫され、私はのけぞって思わず腰が動いてしまうのを止められない。


 あぁんっあっあぁっんっ

 彼が逞しい体を密着させてきて、優しいキスをした。体中が優しさに包まれ、淫靡な快感の波に喘ぐ。

 ひだの奥から蜜が溢れ出て、絡み合う私達はお互いの肌の体温で何もかも溶け合うようなエッチをしていた。


 ふわふわの触り方なのに。
 鍛えあげられた胸筋と腹筋。
 その先にアラン王子の美しい顔がある。

 私は色っぽい目線で見下ろされて。
 もうたまらないといった表情で見つめられていた。
  

 私はどんな風にみえているのか分からない。

 アラン王子に求められるがまま。
 淫らに乱れて翻弄されていた。
 

 悶えて喘ぐ私は快感の波に包まれて、のけぞる。

 いやらしい音を立て始めたあそこに、指を入れられて、私は自分の声じゃないよう嬌声を漏らした。


「リジー、可愛いぃよ」


 あっやぁっんっあっあぁんっ


 手を伸ばしてアラン王子の聳り立つものを撫でた。

 燃えるような瞳を閉じて、アラン王子が声を漏らして悶える番だった。


 私を見下ろす視線と、甘く喘ぎながらアラン王子を見上げる私の視線が絡み合う。


 互いの両手の指を絡めて私は組み敷かれた。グッとアラン王子のものが私の奥深くまで入ってきた。

 私は耐えきれずに甘い嬌声をあげた。


 あぁっんっあっ


 キスをされ、腰を熱烈にうちつけられて、私の体は弾んで胸が揺れた。どんどん激しさを増していく腰の動きに、一気に高みに持っていかれる。


 あぁっんっあぁっあぁっあぁっんっあぁっなぁったぁぁぁっんっ


 快感に包まれてわななく私の体に、アラン王子も喘いだ。


「持っていかれそう、リジー…ごめん…」


 胸にキスをされて、恥ずかしがる私。
 胸の先を指で刺激されて、甘く喘ぐ私。
 

「愛しているんだ。本気なんだ。俺から逃げな……いでくれる?今までこんな気持ちになったことがない。だから、リジー、俺のそばにいて」


 私はそう囁かれて、また打ち付けられる腰の動きの激しさに喘いで、ぴんと高まる興奮状態になった。蕩け合い、一つになり、突かれて…。


「リジーは俺が守るから」


 逞しい胸板はびくともせず、私の奥深くを突くアラン王子のそれは太くて、私は余裕もなく全身で快感に飲み込まれて、2回目の高みに達した。

 髪を汗で濡らしたアラン王子もその瞬間に声を漏らして喘ぐ。煌めく瞳が私を愛おしそうに見つめている。


 最高だよ。
 リジー、何度でもいかしてあげる。
 

 唇にキスが落ちてきて、優しく髪と頬を撫でられて、胸の先をきゅっと刺激された。


 あぁっんっ
 

 舌と指と、彼自身と、私は全てで愛された。


 あぁっんっあぁっあぁんっやぁっんあぁあぁんっ

 

 その夜は何度も何度も優しく強く、アラン王子に抱かれた。


「リジーしか見えない。愛している。分かってる?」

「あなたしか見えない。愛してるの」


 アラン王子の胸の中で、私は告白した。

 ぎゅーっと抱きしめられて、汗に濡れて色気の増したアラン王子に、ちゅっとキスをされた。


「じゃあ、リジーは俺と別れない」


 アラン王子は煌めく瞳に涙を溢れさせ、私の手の甲に恭しくキスをして囁いた。


「未来の王妃は、リジーだから」


 はっ?
 なんで?


 甘い雰囲気で微笑んで私を抱きしめたアラン王子は、そのままスースー眠ってしまった。


 私はそれにつられて一気に眠くなり、意識を手放した。体が満たされて、幸せだ。

 最後の意味不明なアラン王子の言葉は、よく分からないけど…。





 翌朝、朝食の席にヨナンは欠席した。

 ヨナンは我が国に来て以来、一度も朝食の席に来ていない。

 だが、ヨナン妃はいつものようにアラン王子と腕を組んで現れた。

 イザーク扮するヨナン妃だ。


「おぉ、2日ぶりじゃな。ヨナン、体調は大丈夫なのか?」

 国王に心配そうに気遣われて、ヨナン妃は恥ずかしそうに恥じらい、うつむき加減にうなずいた。
  

「そうか、そうか。大丈夫なら安心だ。無理をせず、慈愛なさい」


 そう言われてヨナン妃は嬉しそうにうなずいた。


 朝食の席は穏やかに過ぎた。
 私が昨晩の夕食の席を欠席したはずだが、街にお忍びでアラン王子とヨナン妃と出かけて一緒に食べたことになっていた。


「そう言えば、昨晩、ペジーカから早馬がヨナンのところに来たな。あ……」
 

 キャッ!!

「うわっ!ご……ご……ごめん!」


 アラン王子が突然お茶をこぼした。
 私がびっくりしたところで、アラン王子が口をはさんできた。


「その件で、サプライズがあります。朝食のあと、一緒に庭の薔薇でも見に行きませんか。朝の散歩は体に良いといいますから」


 アラン王子はヨナン妃に微笑み、国王と王妃を誘った。


 昨晩のうちに、ノーザント子爵家のクリフのところには使者が向かい、本日宮殿に招待する手紙を渡してあった。


「朝の散歩か。良いな。ヨナンとエリザベスと一緒というのも楽しそうだ。王妃、行こう」
 

 王妃と連れ立ち、国王はどこか楽しげな雰囲気で立ち上がった。


 いよいよだ。

 侍女のルーシーがアラン王子にうなずいて合図をした。


「リジー、ヨナン、いいね?」


 イザーク扮したヨナン妃と私は仲良く連れ立って、アラン王子と歩き始めた。


 アラン王子とヨナン妃は手を繋いで歩いている。

 仲睦まじく、絵になる2人だ。
 
 その姿を眺めながら、後から向かう国王と王妃と私。

 私たちは花や、庭園の木の実をついばみにやってきている小鳥の様子を見ながら、たわいもない会話していた。
 

 爽やかな朝の庭園。
 清々しい空気。


 美しく手入れの行き届いた、バラを初めとして色とりどりの花が咲き誇っている。

 小鳥があちこちで鳴いている。
 

「エリザベス、アランととてもその……仲が良いらしいではないですか。毎晩のようにアランがあなたの部屋を訪れていると聞きますよ」
 

 王妃が話し出し、国王も微笑んだ。


「良いことだ。エリザベスはヨナンとも仲良くしてくれていて嬉しい。この国を3人で支えて欲しい」


 私は胸が痛んだ。

 これから衝撃のシーンを2人は目の当たりにするのだ。


「あら?あの女性は…」
 

 王妃が指差した。
 国王はその方向を見て、立ち止まった。


「誰だ?ノーザントの倅に見えるぞ。あれは遊び人の噂が絶えないクリフじゃないか?隣にいるのは……」


 私はイザーク扮するヨナン妃の腕をしっかり取り、国王と王妃の後ろに連れてきた。


「偽物ですか?」


 王妃がクリフにしなだれかかって笑っているヨナンを見つめて言った。


「なんじゃと……?おぉ、ヨナン。そなたはここにいる」


 国王と王妃は振り返り、さっきからアラン王子と仲睦まじい様子で手を繋ぎ、私と腕を組んでいるヨナン妃を見つめた。


「私が知っているヨナンはここにいて、あそこにいるそっくりの女性は誰だ?なぜクリフにしなだれかかっている?宮殿で何をしているんだ?」


 国王と王妃は驚いて2人に声をかけた。


「ノーザントのクリフだな。ここで何をしている?一緒にいるのは誰だ?」
 

 クリフはハッとして顔を上げて、国王と王妃に話しかけられていることに驚愕したようだ。彼は座っていたベンチから転がり落ちそうになった。


「陛下っ!これはご……誤解ですっ!」


 クリフは必死だ。


「お前が一緒にいるのは誰かな?」


 青ざめたのはクリフだけではない。ヨナンもクリフにしなだれかかっていたのを、さっと態度を改めて立ち上がった。


「陛下っ……!ヨナンでございます」


 ヨナンは顔色が真っ青だ。


「違うっ!そなたはヨナンではない。ほら、ペジーカから来てくれたヨナンはずっと私たちのそばにいてくれた。アランとエリザベスと一緒にいる彼女がヨナンだ。嘘をつくのではない!」


 国王は「ヨナン」と名乗られたことで激怒した。
 

「ノーザントの倅とこんなところでいちゃついて、第一妃の名誉を汚すような噂にでもなったらどうするつもりだっ!?はて。そなたはわざとやっているのだな?第一妃の名誉を下げる噂を流すため……そういうのは断じて許さん!」


 ヨナンはオロオロとした態度になった。
 まさか、イザークは身代わりだったと告白するわけにも行かない。
 

 クリフはすっとんきょうな間抜け声を出した


「偽物っ!?」


 でかした、クリフ!
 期待する動きだ。

 とことん間抜けだ。

 あなたの間抜けっぷりが嬉しい。
 元婚約者……殿ですがね。


「宮殿からつまみ出しなさい。これっ!皆、このヨナンを語る不届者をつまみ出しなさい!」


 国王はヨナンを捉えさせて、宮殿の外に追い出した。
 

 捉えられて暴れるヨナンに、アランがそっと耳打ちした。


「ヨナン、さらば。外にペジーカの使者が待っている。ペジーカも君に国外に出られるとまずいから、連れ戻すってさ」

 アラン王子はグッと声のトーンを落とした。


「間違えないでくれる?俺の心はリジーのものだ。君が何をしようと、君には俺の心は戻らない。残念だ。君より俺にとってはイザークの方が大切なんだよ」


 美しいヨナンは、最後は毅然とした態度になり、大人しく宮殿の裏門に連れて行かれた。私は見送った。


 アランは侍女のルーシーがペジーカまでヨナンに付いて行くようにお願いしていた。
 

 アラン王子の初恋の相手だったわけだし。

 彼女がアラン王子を弄んで捨てなければ、私はアラン王子に出会えなかったわけですが。

 彼女が最後に私に囁いた言葉には傷ついた。


「ブス。太っっちょ。勘違いしないでくださる?アランがブス専、デブ専だっただけですから」


 迎えの馬車に乗るヨナンにそう耳打ちされて、グサリときた。
 

 ひどくないですか。

 裏門の所で落ち込む私に、そっとイザーク扮するヨナンがそばにきた。妖艶な微笑みを浮かべて、私に耳打ちした。
 

「リジー、間に受けちゃだめだよ?俺が慰めてあげよっか?」


 いやぁっんっ

 耳に息を吹きかけられて、私は悶えた。

 
 イザークはこのままヨナンでいなければならなくなったのに。

 どんな気持ちなんだろう?
 
 横に立つイザークことヨナン妃の顔を私は見つめた。少し憂いを帯びて、ますます美しかった。


 私が男なら、こんな美女がいたら放っておけないかも。


 やだっ、私、変なことを想像しないっ!



 私のワンナイトは、予期せぬ展開へ。
  

 
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