夫である伯爵に裏切られましたが、王家に輿入れすることになりました

ジョージ・ブルーデネル目線（１）

　私はジョージ・ブルーデネル。文士だ。曾祖父の前の高祖父の代から歴代王の側近として使えており、文士の中では骨の随まで各世代の最高学問を納めてきた一問の出だ。私は生粋の世襲文士と言っても過言ではない。幼い頃から王につかえるべく学問を極めることを厳しく推奨されて育った。妹はお妃教育の専門家だし、我々ブルーデネル一門は王家に仕えることが生まれ落ちた瞬間に決まった者の集まりだ。　

　今日は視察の日だ。命令は昨日突然にくだった。子供用の無料配給所を増設したいと王太子からは相談された。王太子妃が計画の発案者らしい。他にも子供用の学校や、職業訓練教室や、農業教室などがあったが、まずは生きるための食べ物優先ということで、子供用の無料配給所の増設を最優先事項とすると聞かされた。

　昨日言われたのは、過去に伯爵夫人だった時代に王太子妃が計画していた候補の村がいくつかあるらしく、そこの視察と人繰りに関して、現地訪問したいので付いてきてほしいとのことだった。習うより慣れろのお方らしく、すぐに視察に行きたいとのこと。

　私が朝早くにハイベリー宮殿前に到着すると、既に準備が整っていた。