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3ー愛の着地
56 76歳のわたしの告白 53年後
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さて。
わたしは綺麗に掃除が終わった部屋で、最後のお茶を飲んでいた。
気持ちの良い風が開け放した窓から吹き込み、清々しいまでに何もない部屋を吹き抜けていく。
今日は76歳のわたしの誕生日だ。
お妃になるのを断ったあの日以来、わたしは令和の方だけで生きていた。多分、ナディアが亡くなったからだ。
わたしが帝のプロポーズを断って、泣きながら走り去ってしまった。感情に任せて行動してはならないとあれほど言われていたのに、一時の感情でゲームプレイヤーのナディアから目を離してしまった。
まさみの悲鳴が聞こえてわたしが振り返った時には遅かった。ナディアが地面に倒れ込む姿しか見えず、わたしの心臓は激しい痛みに襲われて、わたしも地面に倒れ込んだ。
目の前には、センジロガハラに咲く可憐な花の花弁が見えた。綺麗だなと思ったら、わたしは意識が遠のき、令和の戦場ヶ原で目が覚めた。
最初は同じ場所にいるのかと思ったけれど、違った。
「映えるー。インスタアップするからちょっと待って」
「きゃっ、人が寝てる!」
「だ、大丈夫ですか?」
「具合悪いですか?救急車呼びます?」
わたしと同じくらいの女の子たちの声で、分かった。令和側だ。数億年先の地球で、ナディアは亡くなったのだ。そして、多分、王子とジョンとまさみとヒメをわたしは過去時間軸に置き去りにしたのだ。
あれから53年経った。王子の在位は魔暦22年で終わりを告げたはずだ。王子は魔暦12年にワープしたまま戻って来れなかったのだから。
わたしは綺麗に掃除が終わった部屋で、最後のお茶を飲んでいた。
気持ちの良い風が開け放した窓から吹き込み、清々しいまでに何もない部屋を吹き抜けていく。
今日は76歳のわたしの誕生日だ。
お妃になるのを断ったあの日以来、わたしは令和の方だけで生きていた。多分、ナディアが亡くなったからだ。
わたしが帝のプロポーズを断って、泣きながら走り去ってしまった。感情に任せて行動してはならないとあれほど言われていたのに、一時の感情でゲームプレイヤーのナディアから目を離してしまった。
まさみの悲鳴が聞こえてわたしが振り返った時には遅かった。ナディアが地面に倒れ込む姿しか見えず、わたしの心臓は激しい痛みに襲われて、わたしも地面に倒れ込んだ。
目の前には、センジロガハラに咲く可憐な花の花弁が見えた。綺麗だなと思ったら、わたしは意識が遠のき、令和の戦場ヶ原で目が覚めた。
最初は同じ場所にいるのかと思ったけれど、違った。
「映えるー。インスタアップするからちょっと待って」
「きゃっ、人が寝てる!」
「だ、大丈夫ですか?」
「具合悪いですか?救急車呼びます?」
わたしと同じくらいの女の子たちの声で、分かった。令和側だ。数億年先の地球で、ナディアは亡くなったのだ。そして、多分、王子とジョンとまさみとヒメをわたしは過去時間軸に置き去りにしたのだ。
あれから53年経った。王子の在位は魔暦22年で終わりを告げたはずだ。王子は魔暦12年にワープしたまま戻って来れなかったのだから。
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