ミミック大東亜戦争

ボンジャー

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第十七話 なにかされたようだ

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 1938年7月、満州国東南端にある張鼓峰にて日ソ両軍が激突した。



 兼ねてより国境問題で揉めていた案件が遂に火を噴いたのだ。張鼓峰事件の始まりである。

 

 標高僅か150メートルの丘陵を巡っておこったこの紛争は日ソ両国に衝撃を与えた。



 支那戦線では、連続連勝、無敵皇軍と鼻高々だった日本はまさかの苦戦。



 ソ連はソ連で侮っていた相手に実質敗北と両者事件発生前までには考えもしなかった結果となった。

 

 日本が特に衝撃を受けたのは戦車性能の差であった。



 日本軍側が大量投入した97式中戦車の能力不足が露呈したのだ。



 中国軍相手であれば十分すぎる性能のチハも、ソ連側の投入してきたBT7高速戦車相手には総合力でやや劣勢、貫徹能力では完全敗北となってしまった。



 数の暴力で圧殺したが、アジア最強の戦車軍団などと踏ん反り返った矢先の衝撃に陸軍は戦車開発を推進する事になる。



 ソ連の受けた衝撃は並大抵のものでは無い。



 中国侵略に夢中の日本に対して、威力偵察の積りで仕掛けた所、とんでもない大蛇が藪から飛び出てきたのだ。



 朝鮮へ爆撃を仕掛ければ、百機以上の迎撃を受け大損害。



 張鼓峰頂上付近への総攻撃では日本側は200両以上の戦車で反撃に打って出てきた。

 

 「「奴らの戦力は無尽蔵なのか?」」



 中国で行われている戦争の状況はソ連も手に入れてはいたが、此処まで日本軍の機械化が進んでいるとは、日本軍侮りがたし。



 結局この紛争は、8月9日に白紙和平に近い条件での停戦がなされた。



 両者、得る物は戦訓のみの、惨憺たる結果であるが。



 勝った大日本帝国は「何時か殺すリスト」の最上段にあるソ連の名前に二重丸をすることになる。



 「「兎も角は今は支那、支那が終わった暁には絶対に殺す。」」



 経済の心配も戦力の心配もメイドさんいる限り無問題。今の大日本帝国に我慢の文字は無いのだ。

 

 リリスとメイドさんの「我慢をさせない褒めて伸ばす子育て」の成果は着々と出ていた。



 我慢できない子供、大日本帝国は何処に行こうとしているのだろうか。



 11月12日、遂に中華民国最後の大拠点重慶が陥落する。



 1938年11月3日 の近衛首相による東亜新秩序宣言よりわずか九日の事態であった。



 この九日間に重慶を襲った攻撃はこの世の地獄と言うべき物だった。



 重砲、列車砲の絶え間ない砲撃は言うに及ばず、容赦なく市街地を襲う重爆の群れと、降り注ぐ焼夷弾の雨は、軍民併せて10万以上の死傷者をだす惨事を引き起こす。

 

 この蛮行を非難する声は当然、欧米列強から上がる。



 しかし、そこに以前のような勢いがない。



 幾ら宗美鈴がアメリカ社会で日本の蛮行を切々と訴えても、此処までのスピードで国家崩壊の瀬戸際まで来てしまうと、「損切した方が良いのでは?」と誰しも邪心が湧いてくるものだ。



 そこへ日本の対外交策が忍び寄ってきていた。

 



 「大日本帝国は中国に領土的野心は毛頭ない。之は不幸な戦争だった。正当な政府が立つならば帝国は大人しく兵を引く」

 

 「今更なにを、そんな事誰が信じるものか」

 

 「中国市場の門戸を完全に開放自由化する。一筆書いてもいい。此処に近衛首相の親書も持ってきた」

 

 「ふむ詳しく聞こうか。ふむふむ本当に?開発自由?これは独り言なんだがね、もし近日中に中国が降伏する様な事が有ったら、、、、、」



 汚い、大人は汚い。しかし、それが国際社会と言うものかもしれない。

 

 同月11日、廃墟と化した重慶に日本軍は侵攻した。



 動くもの全てに銃弾を、勇気ある抵抗に重砲弾と火炎放射器を、必死の抵抗には列車砲弾と航空爆弾を。



  同日、瓦礫の中より蒋介石総統が発見される。



 半死半生であった彼はメイドさんの懸命な看護により回復、驚いた事に素直に講和交渉に応じて来る。

 

 12月20日 南京にて大日本帝国と中華民国の間で講和交渉が開始される。12月28日、交渉締結。日中の戦争は終結する。

 

  世界を驚かせたことに、大日本帝国は、蒋介石を中華民国総統として続投させた。



 さらに驚くことに本当に領土要求をしなかった。むしろ各軍閥の支配地を正式に中華民国の領土へと編入さえした。

 日本の要求は三つ。

 

 中国領内での軍事行動の自由、そして経済の門戸開放、完全自由化である。 



 実質的な保護国化とは言え、無条件降伏に近い中では破格の条件だろう。



 「「日本人も少しは理性が残っている」」



 列強諸国は安堵のため息を吐き出し、開かれた中国市場にどうやって参入するか計画し始める。

 彼らが巨大な阿片窟と化した中国に唖然とするのは、しばらく後の事となる。
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