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第三十九話 日本、日本、日本、またしても世界が破壊された。どうしてくれんだよこの惨状!
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「潮時だな。勝利は望めん植民地人共が味方に付いてもだ」
大英帝国宰相は瓦礫の町と化した帝都ロンドンの地下防空指揮所の一室で呟いた。
大日本帝国に泣きついたドイツはV2ロケットを雨の如く降らしている。
ロンドンの誇りビックベンは不発のV2が突き刺さり、ロンドン橋は落ちた歌の様に。
我慢強いロンドンっ子もこれには絶望の表情を浮かべている。ババリアの伍長は遂に大英帝国人の誇りにひびをいれたのだ。
「こうなると分かっていたはずだ植民地人共!。なぜ早く援軍を寄越さなかった。日本の援助の切れたドイツなぞあの航空能力で叩き潰せたモノを!」
普段の不敵さをかなぐり捨てチャーチル卿は吠える。
ドーバー海峡では、今日も元気に遅く来た援軍がドイツ空軍と死闘を演じている。
無尽蔵の航空機は大英帝国の制空権を取り戻したが。それでも成層圏から降る巨弾の前には意味がない。
射程を伸ばした新型のV2はエディンバラやグラスゴーまで襲っているのだ。
この戦争の主役は最早大英帝国ではない。あのカウボーイ気取りの野蛮人どもだ。
良いさ!野蛮人は野蛮人と戦っていろ!大英帝国は一抜けするこの馬鹿げた戦いから
「核だと?あんなものをヨーロッパで使うな大馬鹿ども!大英帝国の鼻先を放射能汚染するつもりか!使うなら一瞬で決めろ阿呆!」
威力は凄まじい、威力は。
ドイツの馬鹿どもの町が吹っ飛んだ時は、私も思わず快哉を叫んでしまった。
紳士らしくないが。だが日本が出しゃばって来るなら話は別だ。
「何故さっさとベルリンを吹き飛ばさん!降伏を迫るだと!三流絵描きは恥も外聞も投げ捨てて、飼い主に泣きついたではないか!」
ひとしきり怒りを発散するとチャーチル卿は葉巻に火を付けた。紫煙を吐き出し一息付く。紳士は冷静で居なければならない。どんなに状況が悪くともだ。それでも悪態はでる。
「クソ!それにしても何とも変わった戦争だ。笑いしか出ん」
思わず自嘲の笑みが出る。今吸っている葉巻も日本製。
ドイツのロケットも大方日本製。日本、日本、日本。敵も味方もあいつらに踊らされている。
潰れ掛けの帝国が何とか踏ん張って来られたのも日本から来る物資のお陰。
市民が暴動を起こさなかったのも大量に来る、日本製保存食品のお陰だ。味が良いのも腹が立つ。スパム?捨てろあんな塩漬肉。
フリーズドライのカレーシチューに冷凍ビーフ・ウェリントンが山ほど有る。冷凍車付でだガソリンまで寄越したぞあいつらは。
「メイド君、日本大使を呼んでくれ。講和交渉の仲介に付いて話があると」
サー・ウィンストン・チャーチルは影の如く付き従う美人秘書に指示を出した。
「それと茶を一杯いれてくれ。ミルクは無しだ、砂糖もな。濃いのが飲みたい気分だ」
畏まりましたと去る彼女。出てきたお茶は日本製の緑茶。
あいつら嫌がらせの様に紅茶を送ってこない。植民地人の黒い泥水など、飲む気がしないので我慢しているが、戦争が終わったら必ずダージリンを飲むぞファーストフラッシュでだ。
ストックホルムで行われた秘密交渉は荒れに荒れとはならなかった。
ドイツとしても、いつ飛んでくるか分からない核搭載機に、神経を張り詰める事に疲れ果てていたし、枢軸各国も自分が防御不能の核デリバリーを受けるのは勘弁願いたかったからだ。
イタリアはごねたが、フランスを半分やるとの総統の一言で承諾。
イギリスも忸怩たる思いだが早く戦争が終わって欲しい。こうしてアメリカを置いてけぼりに講和交渉は纏まった。
ドイツは欧州とロシアにまたがるグロスドイッチェラントを、イタリアはローマの故地ガリアの半分と植民地を取り戻し、残る枢軸各国も拡大した領土を手にした。
イギリスは何とか大英帝国本土を守り抜き、中立を宣言。国土復興に注力する。
サー・ウィンストン・チャーチルは今次大戦の実質的な敗北の責任を取り任期限りで職を辞す事を宣言。
後任は未だ決まってはいないが、オズワルド・モズレー卿が釈放後議員に復職、対独融和政策を掲げ復活したイギリス・ファシスト同盟が勢力を伸ばしつつある。
彼の掲げる政策は帝国の連帯強化。インド独立など絶対に認める事はない彼がもし大英帝国宰相になるならば一波乱あるだろう。
英国人としても植民地の事など構っては居られないのだ。そして世界はファシズムが勝利の凱歌を上げている。大英帝国の至宝インドで、レモンの種が泣くかもしれない。
合衆国の怒りは凄まじい。折角無理に無理を重ねて参戦したのに援軍をと叫んでいた国が一抜けだと!
舐めんじゃねえぞ!
そうは思っても、出てけと言われたら民主主義と自由を標榜する国アメリカ。英国本土からは撤退せざるを得ない。
代わりに英国への輸出は全面差し止め、
餓えて死ね五枚舌!
そこを埋める黒幕とは名ばかりの、何も考えていない大日本帝国。
またしても日本、こいつ等何時も何時も邪魔ばかりしやがって!
殺す。
経済界が何を言っても殺す。国民が何を思っていても必ず殺す。何時か殺す。その為にはフル稼働だ、戦争経済を!
対英講和なり、ドイツも米国攻撃を一時中断。
「核だ核が無ければ話にならん」
V2ももっと射程を伸ばさなければ。復讐はそれからだ。それまでは甘い顔をしてやる。
アメリカさん私も悪かったです。如何か今までの事を水に流してくれませんか。核で国民をBBQされた事なんて戦争ですから恨んでませんよ。
ほら、ロケット攻撃止めたでしょ。(絶対、ワシントンに核を落としてやる)
大車輪で軍備を整えるアメリカ合衆国、復讐の牙を研ぐドイツ、国土を蹂躙された上勝手に分割された連合各国、危機意識は有っても、またしても何も知らない大日本帝国。
世界は奇妙な休戦状態で1944年を終えようとしていた。
部分別小説情報
大英帝国宰相は瓦礫の町と化した帝都ロンドンの地下防空指揮所の一室で呟いた。
大日本帝国に泣きついたドイツはV2ロケットを雨の如く降らしている。
ロンドンの誇りビックベンは不発のV2が突き刺さり、ロンドン橋は落ちた歌の様に。
我慢強いロンドンっ子もこれには絶望の表情を浮かべている。ババリアの伍長は遂に大英帝国人の誇りにひびをいれたのだ。
「こうなると分かっていたはずだ植民地人共!。なぜ早く援軍を寄越さなかった。日本の援助の切れたドイツなぞあの航空能力で叩き潰せたモノを!」
普段の不敵さをかなぐり捨てチャーチル卿は吠える。
ドーバー海峡では、今日も元気に遅く来た援軍がドイツ空軍と死闘を演じている。
無尽蔵の航空機は大英帝国の制空権を取り戻したが。それでも成層圏から降る巨弾の前には意味がない。
射程を伸ばした新型のV2はエディンバラやグラスゴーまで襲っているのだ。
この戦争の主役は最早大英帝国ではない。あのカウボーイ気取りの野蛮人どもだ。
良いさ!野蛮人は野蛮人と戦っていろ!大英帝国は一抜けするこの馬鹿げた戦いから
「核だと?あんなものをヨーロッパで使うな大馬鹿ども!大英帝国の鼻先を放射能汚染するつもりか!使うなら一瞬で決めろ阿呆!」
威力は凄まじい、威力は。
ドイツの馬鹿どもの町が吹っ飛んだ時は、私も思わず快哉を叫んでしまった。
紳士らしくないが。だが日本が出しゃばって来るなら話は別だ。
「何故さっさとベルリンを吹き飛ばさん!降伏を迫るだと!三流絵描きは恥も外聞も投げ捨てて、飼い主に泣きついたではないか!」
ひとしきり怒りを発散するとチャーチル卿は葉巻に火を付けた。紫煙を吐き出し一息付く。紳士は冷静で居なければならない。どんなに状況が悪くともだ。それでも悪態はでる。
「クソ!それにしても何とも変わった戦争だ。笑いしか出ん」
思わず自嘲の笑みが出る。今吸っている葉巻も日本製。
ドイツのロケットも大方日本製。日本、日本、日本。敵も味方もあいつらに踊らされている。
潰れ掛けの帝国が何とか踏ん張って来られたのも日本から来る物資のお陰。
市民が暴動を起こさなかったのも大量に来る、日本製保存食品のお陰だ。味が良いのも腹が立つ。スパム?捨てろあんな塩漬肉。
フリーズドライのカレーシチューに冷凍ビーフ・ウェリントンが山ほど有る。冷凍車付でだガソリンまで寄越したぞあいつらは。
「メイド君、日本大使を呼んでくれ。講和交渉の仲介に付いて話があると」
サー・ウィンストン・チャーチルは影の如く付き従う美人秘書に指示を出した。
「それと茶を一杯いれてくれ。ミルクは無しだ、砂糖もな。濃いのが飲みたい気分だ」
畏まりましたと去る彼女。出てきたお茶は日本製の緑茶。
あいつら嫌がらせの様に紅茶を送ってこない。植民地人の黒い泥水など、飲む気がしないので我慢しているが、戦争が終わったら必ずダージリンを飲むぞファーストフラッシュでだ。
ストックホルムで行われた秘密交渉は荒れに荒れとはならなかった。
ドイツとしても、いつ飛んでくるか分からない核搭載機に、神経を張り詰める事に疲れ果てていたし、枢軸各国も自分が防御不能の核デリバリーを受けるのは勘弁願いたかったからだ。
イタリアはごねたが、フランスを半分やるとの総統の一言で承諾。
イギリスも忸怩たる思いだが早く戦争が終わって欲しい。こうしてアメリカを置いてけぼりに講和交渉は纏まった。
ドイツは欧州とロシアにまたがるグロスドイッチェラントを、イタリアはローマの故地ガリアの半分と植民地を取り戻し、残る枢軸各国も拡大した領土を手にした。
イギリスは何とか大英帝国本土を守り抜き、中立を宣言。国土復興に注力する。
サー・ウィンストン・チャーチルは今次大戦の実質的な敗北の責任を取り任期限りで職を辞す事を宣言。
後任は未だ決まってはいないが、オズワルド・モズレー卿が釈放後議員に復職、対独融和政策を掲げ復活したイギリス・ファシスト同盟が勢力を伸ばしつつある。
彼の掲げる政策は帝国の連帯強化。インド独立など絶対に認める事はない彼がもし大英帝国宰相になるならば一波乱あるだろう。
英国人としても植民地の事など構っては居られないのだ。そして世界はファシズムが勝利の凱歌を上げている。大英帝国の至宝インドで、レモンの種が泣くかもしれない。
合衆国の怒りは凄まじい。折角無理に無理を重ねて参戦したのに援軍をと叫んでいた国が一抜けだと!
舐めんじゃねえぞ!
そうは思っても、出てけと言われたら民主主義と自由を標榜する国アメリカ。英国本土からは撤退せざるを得ない。
代わりに英国への輸出は全面差し止め、
餓えて死ね五枚舌!
そこを埋める黒幕とは名ばかりの、何も考えていない大日本帝国。
またしても日本、こいつ等何時も何時も邪魔ばかりしやがって!
殺す。
経済界が何を言っても殺す。国民が何を思っていても必ず殺す。何時か殺す。その為にはフル稼働だ、戦争経済を!
対英講和なり、ドイツも米国攻撃を一時中断。
「核だ核が無ければ話にならん」
V2ももっと射程を伸ばさなければ。復讐はそれからだ。それまでは甘い顔をしてやる。
アメリカさん私も悪かったです。如何か今までの事を水に流してくれませんか。核で国民をBBQされた事なんて戦争ですから恨んでませんよ。
ほら、ロケット攻撃止めたでしょ。(絶対、ワシントンに核を落としてやる)
大車輪で軍備を整えるアメリカ合衆国、復讐の牙を研ぐドイツ、国土を蹂躙された上勝手に分割された連合各国、危機意識は有っても、またしても何も知らない大日本帝国。
世界は奇妙な休戦状態で1944年を終えようとしていた。
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