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そして再び塩の大地から
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1946年後半から、世界を制した枢軸は焼きあがった旧英米に貪り付いた。
この大饗宴の主賓は勿論日独伊であるが、宴の席に座る事を許された者は意外と多い。
多いと言うか、まあ、文明と称する物を持ち合わせる地域は、席の位置取りや配られる部位の多寡は別して参加している。
中には、焼きあがった元主人や、元盟主の物言わぬ眼窩を見て吐き気を催したり、飲めぬ酒(大東亜共栄圏への参加)を盛んに勧める大日本帝国に辟易する国もあるが、概ね行儀よくし、アバラ肉位は腹に収める事になる。
大日本帝国が配った部位は大きい。
彼らは大東亜共栄圏の支配する地域を、太平洋の諸島とアメリカ大陸を除き独立させている。
朝鮮・関東州すら、行く行くは自治領にするつもりだと言うから驚きだ。
戦前のケチと貧乏臭さからは考えられないほど寛大な処置といえよう。
対価も少ない。
彼らは「公正」な取引を、独立させた大東亜共栄圏構成国に求めただけだ。
即ち安価で安全な食料品の輸出である。
詐欺も甚だしい。
タダで無限にある物を輸出し、資源を奪い取ろうとしているのだから。
これは独伊にも言える。
彼らは、己が勢力圏に自由に供給を制御できる食品を売りつけている。
何が起こったかは言うまでもない。
売りつけられる方の食糧生産は死んだのだ。
当然だろう。一年の間取れる作物量はあらゆる要因に影響され安定は難しいのだ。
だがワールドオーダーは違う。
いつでもどこでも何度でも安価で安全な食を提供できる。品質さえ自由に操作可能だ。
ヨーロッパ枢軸と大日本帝国は新しい搾取の形を作り上げたのだ。
これで自国への安易な供給は絞った上、自国農業には手厚い保護を与えているのだから悪辣だ。
足りなければ足し、多ければ絞って奴隷に売りつける。完璧だ。
奴隷の方も文句は言いずらい、自国の国民は少なくとも飢えない、その上、目の玉が飛び出る程安いので、負担と言うほど搾取ではないのだから。
自国の食糧生産と従事者は経済的には死ぬが、飢えて死ぬ訳ではない。文句を言うなら、主人向けの資源生産を増やす労働力に変えて黙らせる
戦後、少なくとも1960年代初めまではこの強制winwin関係は続いた。
変わったのはそれ以降である。
増え続ける人口、まあまあ増える経済に、食べごろが来たと感じた盟主たちは無言で窯に火を入れた。
産業方面の完全支配である。特に外食産業は凄まじい。
都市という都市に枢軸チェーン店が並び、その土地の文化を汚染し、金を絞り取っていく。
盟主を気取っていても、大した工業力は持たない枢軸各国は、工業生産が拡大する自国経済に追い付かず、工業製品輸出は寡占と言っても覚束ないが、この分野は違う。
元手が、ただなのだ。
安い早い手軽。主婦の手抜きイタリアンが売りの日伊合弁企業マンマバールグループ、忙しい親衛隊向けでお馴染み、カリーブルスト&カッフェ、大日本帝国の企業戦士を支える大手丼チェーン。
他にも多くのチェーン企業が現地文化を破壊し、食の焼け野原を作っていく。
エネルギー産業方面でも搾取は続く。
何時かはこの地を去る事になるであろう平衡世界人たち、彼らが去った後の日本の優位を盤石にする為、1960年まで老齢の身を押して独裁を進めた東条英機は、技術情報を求めたのである。
バイオエタノール技術だ。
大日本帝国は未来技術を提供する各国に、食料品の工業利用を禁止する一方的な条約を押しつけた上で、その技術を独り占めした。
「我が国の提供する技術で出した食品を工業利用まかりならん!文句を言うなら元栓止めるぞ!」
誰が逆らえよう?ドイツは逆らって、禁止されていないウクライナの小麦を工業用に回したが、簡単に物にならないわ、商品としても占有するマラカイボ油田にとても叶わないわで大赤字。これはドイツ第三帝国崩壊を十年は早めたと後年言われている。
原子力についても少し話そう。
現在、地球上に原子炉を建てられる国家は日独伊だけである。能力的には一位ドイツ、で下に日伊が組んで追いかけている。
「宇宙人の(ドイツは日本のホラを信じ込んだ)技術に胡坐を掻いている国等に負けん!」
米国から強制連行した科学者を総動員したドイツは大きく溝を開けている。日伊は悔しそうにしているが、内心ではニヤニヤしていた。
「いずれ奪える。なんなら合法的に買い取れる」
大首都ゲルマニア建設、北米大管区創設、ロシア・ウクライナ管区大移民計画と、経済的にもマンパワー的にも、無理を重ねるドイツの支配を保証しているのは結局の所、日本なのだ。日本無くしては膨大な奴隷を食わせて置くなどできない。
減額されたとて、安くはないサブスクライブ料を毎年払い続けるのは辛い、折角米英から略奪した金塊も右から左に流れていく、だから奴隷を絞る、食い物で黙らせて絞る、その為にはタブレットを使用するしかない。
悪循環であるが、日伊にとっては嬉しい限りだ。60年代後半には日伊共に共通規格の原子炉建設に漕ぎつけている。
不安定化するドイツ、奴隷の献身により大いに繁栄する共栄圏。
これは1975年に長生きしすぎた総統の死(重度の糖尿病により)とカリスマを失ったドイツの短くも苛烈な内戦(通称、お菓子戦争)に伴う、ドイツ経済の死まで続く事になった。
ドイツの自殺を高笑いを上げながら見ていた日伊(特に統領、三人の独裁者の中で一番長生きした)は菓子で埋もれたドイツに進駐、安定化と分割に励む事となる。
黄金の時代が来たのだ。
復活したローマ帝国と、太平洋を支配する大帝国は長い安定の時代を迎えようとしていた。
旧コロラド州コロラドスプリングス収容所
「それでこれだよ」
なにが安定な物か!今日も収容所で男は思う。ピザとコーラを手にして。
「皆気づいてないのか?気づいて黙っているのか?」
世界人口は頭打ちだ。正確には広大な直轄地を持つ枢軸以外の人口が減っている。
「これだけ食い物があって、飲み食いしか楽しみがないのにだぞ!食って飲んだらやる事は一つだろ!」
そうだ増えていない。アフリカもアジアも有り余る食糧はあるのに人口は減っている。
「そして奴らは増えている」
日伊を筆頭に大東亜共栄圏各国の人口増えている。東欧などの中諸国も余る人口を、バラバラに分割された、旧ドイツ領に自国の人間を入植させている。
顕著なのは日本だ。大日本帝国の人口は二億に届きそうなのだ。逆にチャイナの人口は右肩さがりだ。
「絶対。混ぜ物が入っているんだ、こいつには」
男は忌々しそうにピザを睨みつけそして口に運んだ。食わないわけにはいかない、食い物は日本が提供する物しかないのだ。
肥え太る奴隷と健康的で増え続ける主人。
日本本土ではカロリーゼロ食品等という、奴隷では絶対に口に出来ない物がブームらしい。
「奴らは食いつぶす気なんだ、この国を、俺たちを」
男は思う。
「いずれ皆食い潰される。これだけ食い物が余っているのにだ」
そして世界は日本人の物になる。それは遠く未来の事ではない、男にはそう思えてならない。
塩の大地、飽食の地において、グルメな人々の最高のご馳走は人間なのかしれない。
この大饗宴の主賓は勿論日独伊であるが、宴の席に座る事を許された者は意外と多い。
多いと言うか、まあ、文明と称する物を持ち合わせる地域は、席の位置取りや配られる部位の多寡は別して参加している。
中には、焼きあがった元主人や、元盟主の物言わぬ眼窩を見て吐き気を催したり、飲めぬ酒(大東亜共栄圏への参加)を盛んに勧める大日本帝国に辟易する国もあるが、概ね行儀よくし、アバラ肉位は腹に収める事になる。
大日本帝国が配った部位は大きい。
彼らは大東亜共栄圏の支配する地域を、太平洋の諸島とアメリカ大陸を除き独立させている。
朝鮮・関東州すら、行く行くは自治領にするつもりだと言うから驚きだ。
戦前のケチと貧乏臭さからは考えられないほど寛大な処置といえよう。
対価も少ない。
彼らは「公正」な取引を、独立させた大東亜共栄圏構成国に求めただけだ。
即ち安価で安全な食料品の輸出である。
詐欺も甚だしい。
タダで無限にある物を輸出し、資源を奪い取ろうとしているのだから。
これは独伊にも言える。
彼らは、己が勢力圏に自由に供給を制御できる食品を売りつけている。
何が起こったかは言うまでもない。
売りつけられる方の食糧生産は死んだのだ。
当然だろう。一年の間取れる作物量はあらゆる要因に影響され安定は難しいのだ。
だがワールドオーダーは違う。
いつでもどこでも何度でも安価で安全な食を提供できる。品質さえ自由に操作可能だ。
ヨーロッパ枢軸と大日本帝国は新しい搾取の形を作り上げたのだ。
これで自国への安易な供給は絞った上、自国農業には手厚い保護を与えているのだから悪辣だ。
足りなければ足し、多ければ絞って奴隷に売りつける。完璧だ。
奴隷の方も文句は言いずらい、自国の国民は少なくとも飢えない、その上、目の玉が飛び出る程安いので、負担と言うほど搾取ではないのだから。
自国の食糧生産と従事者は経済的には死ぬが、飢えて死ぬ訳ではない。文句を言うなら、主人向けの資源生産を増やす労働力に変えて黙らせる
戦後、少なくとも1960年代初めまではこの強制winwin関係は続いた。
変わったのはそれ以降である。
増え続ける人口、まあまあ増える経済に、食べごろが来たと感じた盟主たちは無言で窯に火を入れた。
産業方面の完全支配である。特に外食産業は凄まじい。
都市という都市に枢軸チェーン店が並び、その土地の文化を汚染し、金を絞り取っていく。
盟主を気取っていても、大した工業力は持たない枢軸各国は、工業生産が拡大する自国経済に追い付かず、工業製品輸出は寡占と言っても覚束ないが、この分野は違う。
元手が、ただなのだ。
安い早い手軽。主婦の手抜きイタリアンが売りの日伊合弁企業マンマバールグループ、忙しい親衛隊向けでお馴染み、カリーブルスト&カッフェ、大日本帝国の企業戦士を支える大手丼チェーン。
他にも多くのチェーン企業が現地文化を破壊し、食の焼け野原を作っていく。
エネルギー産業方面でも搾取は続く。
何時かはこの地を去る事になるであろう平衡世界人たち、彼らが去った後の日本の優位を盤石にする為、1960年まで老齢の身を押して独裁を進めた東条英機は、技術情報を求めたのである。
バイオエタノール技術だ。
大日本帝国は未来技術を提供する各国に、食料品の工業利用を禁止する一方的な条約を押しつけた上で、その技術を独り占めした。
「我が国の提供する技術で出した食品を工業利用まかりならん!文句を言うなら元栓止めるぞ!」
誰が逆らえよう?ドイツは逆らって、禁止されていないウクライナの小麦を工業用に回したが、簡単に物にならないわ、商品としても占有するマラカイボ油田にとても叶わないわで大赤字。これはドイツ第三帝国崩壊を十年は早めたと後年言われている。
原子力についても少し話そう。
現在、地球上に原子炉を建てられる国家は日独伊だけである。能力的には一位ドイツ、で下に日伊が組んで追いかけている。
「宇宙人の(ドイツは日本のホラを信じ込んだ)技術に胡坐を掻いている国等に負けん!」
米国から強制連行した科学者を総動員したドイツは大きく溝を開けている。日伊は悔しそうにしているが、内心ではニヤニヤしていた。
「いずれ奪える。なんなら合法的に買い取れる」
大首都ゲルマニア建設、北米大管区創設、ロシア・ウクライナ管区大移民計画と、経済的にもマンパワー的にも、無理を重ねるドイツの支配を保証しているのは結局の所、日本なのだ。日本無くしては膨大な奴隷を食わせて置くなどできない。
減額されたとて、安くはないサブスクライブ料を毎年払い続けるのは辛い、折角米英から略奪した金塊も右から左に流れていく、だから奴隷を絞る、食い物で黙らせて絞る、その為にはタブレットを使用するしかない。
悪循環であるが、日伊にとっては嬉しい限りだ。60年代後半には日伊共に共通規格の原子炉建設に漕ぎつけている。
不安定化するドイツ、奴隷の献身により大いに繁栄する共栄圏。
これは1975年に長生きしすぎた総統の死(重度の糖尿病により)とカリスマを失ったドイツの短くも苛烈な内戦(通称、お菓子戦争)に伴う、ドイツ経済の死まで続く事になった。
ドイツの自殺を高笑いを上げながら見ていた日伊(特に統領、三人の独裁者の中で一番長生きした)は菓子で埋もれたドイツに進駐、安定化と分割に励む事となる。
黄金の時代が来たのだ。
復活したローマ帝国と、太平洋を支配する大帝国は長い安定の時代を迎えようとしていた。
旧コロラド州コロラドスプリングス収容所
「それでこれだよ」
なにが安定な物か!今日も収容所で男は思う。ピザとコーラを手にして。
「皆気づいてないのか?気づいて黙っているのか?」
世界人口は頭打ちだ。正確には広大な直轄地を持つ枢軸以外の人口が減っている。
「これだけ食い物があって、飲み食いしか楽しみがないのにだぞ!食って飲んだらやる事は一つだろ!」
そうだ増えていない。アフリカもアジアも有り余る食糧はあるのに人口は減っている。
「そして奴らは増えている」
日伊を筆頭に大東亜共栄圏各国の人口増えている。東欧などの中諸国も余る人口を、バラバラに分割された、旧ドイツ領に自国の人間を入植させている。
顕著なのは日本だ。大日本帝国の人口は二億に届きそうなのだ。逆にチャイナの人口は右肩さがりだ。
「絶対。混ぜ物が入っているんだ、こいつには」
男は忌々しそうにピザを睨みつけそして口に運んだ。食わないわけにはいかない、食い物は日本が提供する物しかないのだ。
肥え太る奴隷と健康的で増え続ける主人。
日本本土ではカロリーゼロ食品等という、奴隷では絶対に口に出来ない物がブームらしい。
「奴らは食いつぶす気なんだ、この国を、俺たちを」
男は思う。
「いずれ皆食い潰される。これだけ食い物が余っているのにだ」
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