幻聖魔伝 ～Three world～

第六夜

54

　～ホークアイside～



　天然記念物……ランディ兄が…………？　ん～、確かに単純な所あるけど……。



　リュカ兄の嘘、かぁ……。



　シーズさんが言ってたなぁ、そういえば。おじいちゃんもお父さんも、リュカ兄までよく自分に嘘をつくって。

　でも、たぶんあれはリュカ兄の本心でもある。

　認められなくて、自分に嘘をついて、自分を傷つけて……周りも、傷つけて……。

　せめて何か……支えにでもなれれば、と思ってついてきたんだけど……。



　……リュカ兄は今まで、僕のせいで周りから非難の目を浴びてきたんだ。



　一つ間違えば、僕が浴びるかもしれなかった非難の目……。リュカ兄は、そんな僕を身体を張って守ってくれたんだ。

　そして代わりに、僕がこの強大な魔力を持ったんだ。



　僕は自分の両手を見てみる。



　だから、リュカ兄が僕を嫌うのは当然だ。でもそれでも、守りたかった。だっていつ殺されるかわからない人生を、肩代わりして守ってくれたんだから……！



　守りたい……！



　僕はリュカ兄を守りたい…………！！

　嫌われてもいい。僕はリュカ兄を守ろう。

　この強大な魔力も、そこまで得意じゃない剣術も



　リュカ兄を守る為に使おう。



　そうだ、そう誓ったんだ。男だったら最後までやり通さないと……！

「ホークは？　行かなくてもいいの？？」

　アセルスさんの声ではっと我に返った。

　でも、僕はこう答えた。

「うん。嫌われるのは当然だし、それに嫌われても僕はリュカ兄を守るから」

　アセルスさんは笑って、こう言った。

「リュカも早く気付けばいいのに……。こんなに周りから慕われてるって事に……」



　いいんだ、気付かなくても。それでも僕は、リュカ兄を守るから。