幻聖魔伝 ～Three world～

第九夜

85

　～ホークアイside～



　ん～……。

　おかしいなぁ……？

「…………リュカ、来ないね……」

　ミルカがそう言って、朝ご飯を口に入れる。

「リュカ兄、どうしたのかなぁ……？」

　僕達は今、食堂で朝ご飯中。ランディ兄は朝からお肉食べてるけど、僕にはマネ出来ません。

　いつもは早いリュカ兄が、何故か今日は随分遅い。



　まさか、また警備員さんに襲われてるとか……！？



「僕、ちょっと様子見てくるね」

　席を立って、ついでに食べ終わった食器も片付けてからリュカ兄の船室にむかう。

「リュカ兄～。入るよ～？」

　僕は扉をノックして、返事がないからそのまま中に入る。



　リュカ兄は起きていた。



　起きてて返事をしなかった、て事は何か考え事かな？

　リュカ兄は考え事を始めると、周りが見えなくなるからね。

「リュ～カ兄！　ご飯食べよ？」

　僕はリュカ兄の目の前にひょっ、と首を出して笑顔でそう呼びかける。

　案の定、リュカ兄は身体をびくりとさせて

「心臓に悪い」

　一言、そう言われた。

「ごめ～ん。でもこうでもしないと、考え事してるリュカ兄には何も聞こえないんだもん」

　僕は笑って謝った。リュカ兄はため息をついている。

「……ねぇ、ホーク」

「なぁに？」

　僕はやっと立ち上がったリュカ兄に聞き返す。

「愛される、てどういう意味なの？」

「…………へ？」

　あ、マズイ。思わず変な声上げちゃった。



　愛されるがどういう意味？



　本気で、言ってるのかな……？