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第14話「邂逅」③
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左手が暖かい。そう思うのと同時に、ふっと体重が戻ってきた。ゆっくり目を開けると見慣れた蛍光灯が目に入った。顔を左に向けると、樹がベットのそばに座っていた。左手の温もりは、樹が私の手を握っていたことによるものだった。
「樹…いたんだ…」
「ああ」樹が優しくそう答える。
「バレちゃってる…?」
「ああ」樹の目は笑っていた。
「そっか、そうだよね…」笑顔をつくったつもりだが、樹の目にはどう映っただろうか。
「あのね?夢を見てたの」
「夢って?」
「樹とね、初めて会ったときのこと…覚えてる?」
「ん…ぼんやりとは…」
「やっぱり、覚えてないでしょ。そのときにもアイスあげたんだよ」
「そうだっけ?」
「うん。そのときのこと、夢に見てたの。ちっちゃい頃の樹、可愛かったなあ」
「なんだそれ」
樹は、今度こそ声に出して笑った。
「私ね……」意を決して打ち明ける。
「実は知ってたんだ。樹の“秘密基地”の場所…」
樹は黙って聞いてくれている。
「あの日…私のお父さんが死んだ日。樹のお父さんがうちに来たとき、樹のいる場所に心当たりはないかって聞かれて、知らないって嘘ついたの」
「ああ…」
「樹があそこで何してるかも、なんとなく知っててさ…」堪えていた涙が、徐々に目にあるれてくる。
「そうか…」
樹の顔を、まともに見れない。目尻から涙が零れ落ちる。
「私があのとき、ちゃんと樹のお父さんに、樹の場所を伝えてれば…そうすれば…樹も怖い思いしなくてすんだのに。私のお父さんだって…」
最後まで言い終わらないうちに、樹が遮った。
「志保、違うんだ。元はといえば俺が…」
すると、唐突に割って入る声がした。
「はいはいそこまでよ」そう言ってちいちゃんが現れた。ずっと話を聞いていたようだ。
「ちいちゃん…」
「樹…いたんだ…」
「ああ」樹が優しくそう答える。
「バレちゃってる…?」
「ああ」樹の目は笑っていた。
「そっか、そうだよね…」笑顔をつくったつもりだが、樹の目にはどう映っただろうか。
「あのね?夢を見てたの」
「夢って?」
「樹とね、初めて会ったときのこと…覚えてる?」
「ん…ぼんやりとは…」
「やっぱり、覚えてないでしょ。そのときにもアイスあげたんだよ」
「そうだっけ?」
「うん。そのときのこと、夢に見てたの。ちっちゃい頃の樹、可愛かったなあ」
「なんだそれ」
樹は、今度こそ声に出して笑った。
「私ね……」意を決して打ち明ける。
「実は知ってたんだ。樹の“秘密基地”の場所…」
樹は黙って聞いてくれている。
「あの日…私のお父さんが死んだ日。樹のお父さんがうちに来たとき、樹のいる場所に心当たりはないかって聞かれて、知らないって嘘ついたの」
「ああ…」
「樹があそこで何してるかも、なんとなく知っててさ…」堪えていた涙が、徐々に目にあるれてくる。
「そうか…」
樹の顔を、まともに見れない。目尻から涙が零れ落ちる。
「私があのとき、ちゃんと樹のお父さんに、樹の場所を伝えてれば…そうすれば…樹も怖い思いしなくてすんだのに。私のお父さんだって…」
最後まで言い終わらないうちに、樹が遮った。
「志保、違うんだ。元はといえば俺が…」
すると、唐突に割って入る声がした。
「はいはいそこまでよ」そう言ってちいちゃんが現れた。ずっと話を聞いていたようだ。
「ちいちゃん…」
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