いつかまた、バス停で。

おぷてぃ

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第15話「いってきます」①

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    今日は志保が転院のため、町を出る日だ。
    一旦病院に集まってからみんなで見送る予定だったので、遅れないように自転車で道中を急いだ。

    志保が祭りの夜に倒れてから、今日で十日が過ぎていた。処置が早かったこと、軽度の発作だったこと、いくつかの幸運が重なって、容態は日に日に落ち着いていった。三日目にはベッドから起き上がることもできたので、院内を歩き回る許可は下りたそうだ。ただし、さすがに外出は禁じられた。
    千鶴さんに状況を教えてもらっていたので、三日目と四日目の夕方に面会に行ったが、二回とも空振りに終わった。というのも、病室に『面会謝絶』と札が掛かっていたからなのだが、どうやらそれは志保のおじいさんのイタズラのようだった。

    五日目の朝、見舞いに行く千鶴さんと診療所の玄関で偶然鉢合わせた。一緒に病室に向かいながら例の『面会謝絶』の話をすると千鶴さんは、「先に行ってて」と言うや否や、どこかへスタスタと歩いて行った。
    その日、病室には例の札は掛かっておらず、中に入ると外を眺める志保がいた。そして、後ろ手にドアを閉めると同時に院内に千鶴さんの怒号が響き渡った。
「あなた!面会謝絶ってどういうこと!?まさか樹くんにいじわるしたわけじゃないでしょうね!」

「あちゃー…」志保が苦笑いして言った。
「あれ、意地悪だったの?」ベッドのそばに椅子を置いて、腰掛けた。
「そうみたい。ごめんね、うちのおじいちゃんが。私も昨日初めて気付いてさ」志保は顔の前で両手を合わせると、申し訳なさそうに頭を下げた。
「いいよ。気にすんな」
    どうやら、千鶴さんが言った例の『婿』発言が発端のようだ。漏れ聞こえる千鶴さんの話からそれがわかった。
    千鶴さんの説教はまだ続いていて、たまに聞こえるか聞こえないかくらいの大きさで、いいわけと謝罪を繰り返すおじいさんの声がした。

「なんかいいな。志保の家族」
    素直にそう思った。誰もが誰かを思いやって、優しい絆で繋がっている。
「うん…。まあね」志保ははにかんでみせた。
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