傲慢な世界よ、私が壊してあげるわ~公爵令嬢に転生したOLは悪の覇道を突き進む

かずまさこうき

文字の大きさ
62 / 81
第四章 陰謀編

第62話 辺境伯

しおりを挟む
 リアル・グラック辺境伯は、ラパロ族の族長でもある。ラパロ族は、キゾルド鉱山の一帯を領有していた。彼らの領地は、平地が少ないため、人が居住には向かない土地であったが、五百年前からキゾルド鉱山の採掘を行い、その鉄を各国に売ることで領地を維持してきた。
 当然、ギゾルド鉱山を狙って、他の民族が攻め込むこともあったが、元々屈強で戦に強いうえに、地の利もあったため、幾度も撃退し独立を保っていた。
 しかし、今から百八年前に、鉄の独占販売を断られ激怒した、当時のカッツー国王であるアベル三世は、王国の貴族を率いて攻め入った。この時、先陣の栄を賜ったのは、ミレーヌの高祖父であるジョス公爵である。大軍で攻め込まれたラパロ族は奮戦むなしく降伏。他の領地へ移す案もあったが、鉄の採掘に長けた民族であり、他国の盾となりうるとしてそのまま辺境伯に任じられ今に至る。

 そんなリアル・グラック辺境伯が執務室で仕事をしている最中、書記官が入室した。

「リアル様にお会いしたいという方がいらっしゃいまして」
「予定に入っていたか?」
「いえ。それが、来客というのはゲオルク様でして」

(ゲオルクだと? 我が族を飛び出して傭兵稼業などに勤しんだ奴がなぜ今頃。確かヴィスタ帝国を去ったあとに、グラッセ公爵家のところにいると聞いたが)

「ゲオルクが今になって何の用だ」
「それが、グラッセ公爵家の使者として来たとおっしゃっておりまして、どう対応すればよろしいか私達でも分かりかねた次第です」
「わかった。会おう」

 公爵家の使者ということなら待たすわけにもいかないと思ったリアルは、ゲオルクのいる応接室へ向かった。応接室に入るなり、手を挙げる男がソファーに座っていた。

「貴様、我が族を捨て去り、我が父の葬儀にも顔を出さなかった者など、本来ならこの館に入る事すら許さなかったのだぞ」
「十七年振りに会ったのに、そんな言葉しか言えないのかい?」
「当たり前だ。貴様のことを父がどれだけ心配していたか分かっているのか?」
「でも、俺が出ていってお前さんは安堵しただろ?」

 リアルは、表情を一つ変えなかったが、それを見たゲオルクは図星を突いたと確信した。幼少期から、リアルとゲオルクは仲の良い従兄弟であった。年下のゲオルクは、武術や剣技、さらに銃の扱いなど何をしてもリアルより優っており、リアルの父からも大層目を掛けられていた。それを実の息子が快く思っていなかったことは容易に想像できる。

「貴様が公爵家の使者とはどういうことだ?」
「いきなり本題かい? せっかくの従兄弟の感動的な対面を楽しもうぜ」
「そんな暇はない。早く言え」
「仕方ないな。公爵家摂政のミレーヌがお前さんに来週の今日会いたいだって。わざわざ、ここに来るそうだから、事前に準備しとけよ」
「ミレーヌ様がここに来るだと……それで、用件はなんだ?」
「それは本人に直接聞いてくれよ。俺は単なる使者なんだから。それと、一週間厄介になるぜ」
「なぜ?」
「会談にも同席するように言われてるんだよ。公爵家摂政様にね」

 ゲオルクが不敵に笑いながら言う姿を見て、リアルは一抹の不安を覚えた。知略に優れたと噂に聞く銀髪の小娘と一週間後に相対する自分。相手が会談を求める理由は全く分からない。そして、その会談になぜ従兄弟が同席する必要があるのか。真意がまったく見えない。
 こうして、リアル辺境伯は、ミレーヌと会談する直前まで考え続けることとなった。
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

誤解は解きません。悪女で結構です。

砂礫レキ
恋愛
オルソン家の伯爵令嬢エリカ。彼女は亡き母がメイドだった為に異母姉ローズとその母によって長年虐げられていた。 二人から男好きの悪女の噂を流布され、それを真に受けた結婚相手に乱暴に扱われそうになる。 その瞬間エリカは前世の記憶を思い出した。そして今の自分が「一輪の花は氷を溶かす」という漫画のドアマットヒロインに転生していることに気付く。 漫画の内容は氷の公爵ケビン・アベニウスが政略結婚相手のエリカを悪女と思い込み冷遇するが、優しさに徐々に惹かれていくという長編ストーリーだ。 しかし記憶を取り戻した彼女は呟く。「そんな噂を鵜呑みにするアホ男なんてどうでもいいわ」 夫からの愛を求めない新生エリカは悪女と呼ばれようと自分らしく生きることを決意するのだった。

夫と息子に邪険にされたので王太子妃の座を譲ります~死に戻ってから溺愛されても今更遅い

青の雀
恋愛
夫婦喧嘩の末に置き去りにされた妻は、旦那が若い愛人とイチャついている間に盗賊に襲われ、命を落とした。 神様の温情により、10日間だけこの世に戻った妻と護衛の騎士は、その10日間の間に心残りを処分する。それは、娘の行く末と……もし、来世があるならば、今度は政略といえども夫以外の人の妻になるということ。 もう二度と夫と出会いたくない彼女は、彼女を蔑ろにしてきた息子とも縁を切ることを決意する。 生まれかわった妻は、新しい人生を強く生きることを決意。 過去世と同じ轍を踏みたくない……

悪女の針仕事〜そのほころび、見逃しません!〜

陰陽@4作品商業化(コミカライズ他)
ファンタジー
公爵令嬢として生まれながら、子ども時代からメイドや周囲の陰謀で、次々と濡れ衣を着せられ、「悪女」扱いされてきたミリアム。 第3王子との婚約を聖女に奪われ、聖女への嫌がらせの冤罪で国外追放された後、平民として生き延びる中で、何度も5年前へのロールバック(逆行)を繰り返すことに。 生計をたてる為に、追放後の平民生活で極めた針仕事が、ロールバックが繰り返されることで、針仕事の能力だけは引き継がれ、天才的な実力を手に入れる。 その時女神「アテナ」の加護を得て、2つの力を手にすることに。 「加護縫い」 (縫った布に強力な祝福を込められる) 「嘘のほころびを見抜く力」 (相手の嘘を布のほころびとして視覚的に捉え、引き抜く、または繕うことで、真実を暴いたり修正したりする) を手にしたミリアムは、5歳の幼女時代まで遡り、2つの力で悪評をぬりかえ、仲違いしていた家族も、加護の力を与えることで協力な味方へと変貌。 さらに、女神から可愛いしもべ「アリアドネ」を授かり、元婚約者と聖女にザマァを狙う中、加護縫いの能力が最も高い人間を王太子妃に迎える決まりのある大国、ルーパート王国の王太子が近付いて来て……?

悪役令嬢の慟哭

浜柔
ファンタジー
 前世の記憶を取り戻した侯爵令嬢エカテリーナ・ハイデルフトは自分の住む世界が乙女ゲームそっくりの世界であり、自らはそのゲームで悪役の位置づけになっている事に気付くが、時既に遅く、死の運命には逆らえなかった。  だが、死して尚彷徨うエカテリーナの復讐はこれから始まる。 ※ここまでのあらすじは序章の内容に当たります。 ※乙女ゲームのバッドエンド後の話になりますので、ゲーム内容については殆ど作中に出てきません。 「悪役令嬢の追憶」及び「悪役令嬢の徘徊」を若干の手直しをして統合しています。 「追憶」「徘徊」「慟哭」はそれぞれ雰囲気が異なります。

婚約破棄?悪役令嬢の復讐は爆速で。

ハチワレ
恋愛
「リリム・フォン・アスタロト! 貴様との婚約を破棄する!」 卒業パーティーの最中、婚約者である王太子エリオットから身に覚えのない罪を突きつけられた公爵令嬢リリム。隣には「真実の愛」を語るマシュマロ系男爵令嬢シャーリーの姿。 普通の令嬢なら泣き崩れる場面――だが、リリムは違った。

悪役令嬢ですが、当て馬なんて奉仕活動はいたしませんので、どうぞあしからず!

たぬきち25番
恋愛
 気が付くと私は、ゲームの中の悪役令嬢フォルトナに転生していた。自分は、婚約者のルジェク王子殿下と、ヒロインのクレアを邪魔する悪役令嬢。そして、ふと気が付いた。私は今、強大な権力と、惚れ惚れするほどの美貌と身体、そして、かなり出来の良い頭を持っていた。王子も確かにカッコイイけど、この世界には他にもカッコイイ男性はいる、王子はヒロインにお任せします。え? 当て馬がいないと物語が進まない? ごめんなさい、王子殿下、私、自分のことを優先させて頂きまぁ~す♡ ※マルチエンディングです!! コルネリウス(兄)&ルジェク(王子)好きなエンディングをお迎えください m(_ _)m 2024.11.14アイク(誰?)ルートをスタートいたしました。 楽しんで頂けると幸いです。 ※他サイト様にも掲載中です

婚約破棄で悪役令嬢を辞めたので、今日から素で生きます。

黒猫かの
恋愛
「エリー・オルブライト! 貴様との婚約を破棄する!」 豪華絢爛な夜会で、ウィルフレッド王子から突きつけられた非情な宣告。 しかし、公爵令嬢エリーの心境は……「よっしゃあ! やっと喋れるわ!!」だった。

虐げられた人生に疲れたので本物の悪女に私はなります

結城芙由奈@コミカライズ3巻7/30発売
恋愛
伯爵家である私の家には両親を亡くして一緒に暮らす同い年の従妹のカサンドラがいる。当主である父はカサンドラばかりを溺愛し、何故か実の娘である私を虐げる。その為に母も、使用人も、屋敷に出入りする人達までもが皆私を馬鹿にし、時には罠を這って陥れ、その度に私は叱責される。どんなに自分の仕業では無いと訴えても、謝罪しても許されないなら、いっそ本当の悪女になることにした。その矢先に私の婚約者候補を名乗る人物が現れて、話は思わぬ方向へ・・? ※「カクヨム」「小説家になろう」にも投稿しています

処理中です...