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第四章 陰謀編
第62話 辺境伯
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リアル・グラック辺境伯は、ラパロ族の族長でもある。ラパロ族は、キゾルド鉱山の一帯を領有していた。彼らの領地は、平地が少ないため、人が居住には向かない土地であったが、五百年前からキゾルド鉱山の採掘を行い、その鉄を各国に売ることで領地を維持してきた。
当然、ギゾルド鉱山を狙って、他の民族が攻め込むこともあったが、元々屈強で戦に強いうえに、地の利もあったため、幾度も撃退し独立を保っていた。
しかし、今から百八年前に、鉄の独占販売を断られ激怒した、当時のカッツー国王であるアベル三世は、王国の貴族を率いて攻め入った。この時、先陣の栄を賜ったのは、ミレーヌの高祖父であるジョス公爵である。大軍で攻め込まれたラパロ族は奮戦むなしく降伏。他の領地へ移す案もあったが、鉄の採掘に長けた民族であり、他国の盾となりうるとしてそのまま辺境伯に任じられ今に至る。
そんなリアル・グラック辺境伯が執務室で仕事をしている最中、書記官が入室した。
「リアル様にお会いしたいという方がいらっしゃいまして」
「予定に入っていたか?」
「いえ。それが、来客というのはゲオルク様でして」
(ゲオルクだと? 我が族を飛び出して傭兵稼業などに勤しんだ奴がなぜ今頃。確かヴィスタ帝国を去ったあとに、グラッセ公爵家のところにいると聞いたが)
「ゲオルクが今になって何の用だ」
「それが、グラッセ公爵家の使者として来たとおっしゃっておりまして、どう対応すればよろしいか私達でも分かりかねた次第です」
「わかった。会おう」
公爵家の使者ということなら待たすわけにもいかないと思ったリアルは、ゲオルクのいる応接室へ向かった。応接室に入るなり、手を挙げる男がソファーに座っていた。
「貴様、我が族を捨て去り、我が父の葬儀にも顔を出さなかった者など、本来ならこの館に入る事すら許さなかったのだぞ」
「十七年振りに会ったのに、そんな言葉しか言えないのかい?」
「当たり前だ。貴様のことを父がどれだけ心配していたか分かっているのか?」
「でも、俺が出ていってお前さんは安堵しただろ?」
リアルは、表情を一つ変えなかったが、それを見たゲオルクは図星を突いたと確信した。幼少期から、リアルとゲオルクは仲の良い従兄弟であった。年下のゲオルクは、武術や剣技、さらに銃の扱いなど何をしてもリアルより優っており、リアルの父からも大層目を掛けられていた。それを実の息子が快く思っていなかったことは容易に想像できる。
「貴様が公爵家の使者とはどういうことだ?」
「いきなり本題かい? せっかくの従兄弟の感動的な対面を楽しもうぜ」
「そんな暇はない。早く言え」
「仕方ないな。公爵家摂政のミレーヌがお前さんに来週の今日会いたいだって。わざわざ、ここに来るそうだから、事前に準備しとけよ」
「ミレーヌ様がここに来るだと……それで、用件はなんだ?」
「それは本人に直接聞いてくれよ。俺は単なる使者なんだから。それと、一週間厄介になるぜ」
「なぜ?」
「会談にも同席するように言われてるんだよ。公爵家摂政様にね」
ゲオルクが不敵に笑いながら言う姿を見て、リアルは一抹の不安を覚えた。知略に優れたと噂に聞く銀髪の小娘と一週間後に相対する自分。相手が会談を求める理由は全く分からない。そして、その会談になぜ従兄弟が同席する必要があるのか。真意がまったく見えない。
こうして、リアル辺境伯は、ミレーヌと会談する直前まで考え続けることとなった。
当然、ギゾルド鉱山を狙って、他の民族が攻め込むこともあったが、元々屈強で戦に強いうえに、地の利もあったため、幾度も撃退し独立を保っていた。
しかし、今から百八年前に、鉄の独占販売を断られ激怒した、当時のカッツー国王であるアベル三世は、王国の貴族を率いて攻め入った。この時、先陣の栄を賜ったのは、ミレーヌの高祖父であるジョス公爵である。大軍で攻め込まれたラパロ族は奮戦むなしく降伏。他の領地へ移す案もあったが、鉄の採掘に長けた民族であり、他国の盾となりうるとしてそのまま辺境伯に任じられ今に至る。
そんなリアル・グラック辺境伯が執務室で仕事をしている最中、書記官が入室した。
「リアル様にお会いしたいという方がいらっしゃいまして」
「予定に入っていたか?」
「いえ。それが、来客というのはゲオルク様でして」
(ゲオルクだと? 我が族を飛び出して傭兵稼業などに勤しんだ奴がなぜ今頃。確かヴィスタ帝国を去ったあとに、グラッセ公爵家のところにいると聞いたが)
「ゲオルクが今になって何の用だ」
「それが、グラッセ公爵家の使者として来たとおっしゃっておりまして、どう対応すればよろしいか私達でも分かりかねた次第です」
「わかった。会おう」
公爵家の使者ということなら待たすわけにもいかないと思ったリアルは、ゲオルクのいる応接室へ向かった。応接室に入るなり、手を挙げる男がソファーに座っていた。
「貴様、我が族を捨て去り、我が父の葬儀にも顔を出さなかった者など、本来ならこの館に入る事すら許さなかったのだぞ」
「十七年振りに会ったのに、そんな言葉しか言えないのかい?」
「当たり前だ。貴様のことを父がどれだけ心配していたか分かっているのか?」
「でも、俺が出ていってお前さんは安堵しただろ?」
リアルは、表情を一つ変えなかったが、それを見たゲオルクは図星を突いたと確信した。幼少期から、リアルとゲオルクは仲の良い従兄弟であった。年下のゲオルクは、武術や剣技、さらに銃の扱いなど何をしてもリアルより優っており、リアルの父からも大層目を掛けられていた。それを実の息子が快く思っていなかったことは容易に想像できる。
「貴様が公爵家の使者とはどういうことだ?」
「いきなり本題かい? せっかくの従兄弟の感動的な対面を楽しもうぜ」
「そんな暇はない。早く言え」
「仕方ないな。公爵家摂政のミレーヌがお前さんに来週の今日会いたいだって。わざわざ、ここに来るそうだから、事前に準備しとけよ」
「ミレーヌ様がここに来るだと……それで、用件はなんだ?」
「それは本人に直接聞いてくれよ。俺は単なる使者なんだから。それと、一週間厄介になるぜ」
「なぜ?」
「会談にも同席するように言われてるんだよ。公爵家摂政様にね」
ゲオルクが不敵に笑いながら言う姿を見て、リアルは一抹の不安を覚えた。知略に優れたと噂に聞く銀髪の小娘と一週間後に相対する自分。相手が会談を求める理由は全く分からない。そして、その会談になぜ従兄弟が同席する必要があるのか。真意がまったく見えない。
こうして、リアル辺境伯は、ミレーヌと会談する直前まで考え続けることとなった。
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