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第六章 簒奪編
第107話 二つの挙兵
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紙幣の発行してから二週間後、グラッセ公爵領内は完全に流通し、カッツー王国の中心部でも紙幣が浸透していった。さらに王都にいる目ざとい商人は、大量の金貨を集めて、紙幣と交換しはじめた。こうして、着々とミレーヌのもとに金が集まっていき、紙幣の信用は増すという好循環がうまれていたのであった。
ラウールからこの報告を聞いたミレーヌは、公爵家の会議室に幹部を集め、開口一番言い放った。
「カッツー王国を滅ぼすわ」
その言葉を聞き、レベッカは表情を変えなかった。ジャックは、深くうなずき、ゲオルクは、口元を緩ませた。ラウールは、この戦争がもたらすであろう巨万の富を想像し、興奮に満ちた視線をミレーヌに向けた。パトリスは、わずかに眉をひそめ、リナはあくびをしていた。
「ジャック、軍の編成を説明しなさい」
「はい、ミレーヌ様は本軍を率いて頂きます。兵力は一万五千。私は先陣として兵一万五千を率います。さらにゲオルクには遊撃隊として自由兵三千と傭兵団百を率いてもらい、三軍の総勢は約三万三千です。銃の配備は本軍、先陣に合わせて二千丁、遊撃隊には二百丁です。なお一万の兵は守備として領都に残します」
ミレーヌはジャックの言に一つ頷き、そして確認した。
「作戦は?」
「我々の新型銃は二千丁を超えました。今や敵の兵が多くとも恐れるに足りません。この機を逃さず、兵力を集中し、一気に王都を衝くべきかと」
「それで結構よ。レベッカ、ブローリ公爵に挙兵すると伝えなさい」
「承知しました」
「では、動員令を発令。各自すぐに準備をしなさい」
幹部たちは、一斉に立ち上がり、深く頭を下げた。彼らの心には、ミレーヌの計画が失敗するという可能性は微塵もなかった。今回の挙兵は、彼らにとって、新しい時代の到来を告げる、揺るぎない確信だった。
このように、ミレーヌは三万三千余の軍勢をもってカッツー王国打倒のため挙兵した。
◇◆◇◆
ミレーヌから連絡を受けたブローリ公爵も、カッツー王国を壟断する摂政セリアを打倒し、カッツー王国を正統な形に戻すため挙兵すると宣言する。
ブローリ公爵の元には、カッツー王国北側に位置する貴族百家あまりが賛同し、彼の元へ兵を率いて集まった。その数三万五千。ブローリ公爵自身も一万二千の兵を有していたことから、兵二万を国境を接するバニア皇国とヴィスタ帝国への抑えとして留め、二万七千の兵をもって、王都へ向かって進軍することを発表した。
ちなみに、ブローリ公爵は、ミレーヌとは共同戦線を張っていることを公表していない。もちろん、ブローリ公爵だけの判断ではなく、ミレーヌと協議のうえ、示し合わせた結果である。これは、ミレーヌに対して反感を持っている貴族もいるため、公表が反発を招くことを懸念したためだ。
こうして、セリアが治めるカッツー王国は、ミレーヌ公爵とブローリ公爵の二正面作戦を強いられることとなった。
ラウールからこの報告を聞いたミレーヌは、公爵家の会議室に幹部を集め、開口一番言い放った。
「カッツー王国を滅ぼすわ」
その言葉を聞き、レベッカは表情を変えなかった。ジャックは、深くうなずき、ゲオルクは、口元を緩ませた。ラウールは、この戦争がもたらすであろう巨万の富を想像し、興奮に満ちた視線をミレーヌに向けた。パトリスは、わずかに眉をひそめ、リナはあくびをしていた。
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「はい、ミレーヌ様は本軍を率いて頂きます。兵力は一万五千。私は先陣として兵一万五千を率います。さらにゲオルクには遊撃隊として自由兵三千と傭兵団百を率いてもらい、三軍の総勢は約三万三千です。銃の配備は本軍、先陣に合わせて二千丁、遊撃隊には二百丁です。なお一万の兵は守備として領都に残します」
ミレーヌはジャックの言に一つ頷き、そして確認した。
「作戦は?」
「我々の新型銃は二千丁を超えました。今や敵の兵が多くとも恐れるに足りません。この機を逃さず、兵力を集中し、一気に王都を衝くべきかと」
「それで結構よ。レベッカ、ブローリ公爵に挙兵すると伝えなさい」
「承知しました」
「では、動員令を発令。各自すぐに準備をしなさい」
幹部たちは、一斉に立ち上がり、深く頭を下げた。彼らの心には、ミレーヌの計画が失敗するという可能性は微塵もなかった。今回の挙兵は、彼らにとって、新しい時代の到来を告げる、揺るぎない確信だった。
このように、ミレーヌは三万三千余の軍勢をもってカッツー王国打倒のため挙兵した。
◇◆◇◆
ミレーヌから連絡を受けたブローリ公爵も、カッツー王国を壟断する摂政セリアを打倒し、カッツー王国を正統な形に戻すため挙兵すると宣言する。
ブローリ公爵の元には、カッツー王国北側に位置する貴族百家あまりが賛同し、彼の元へ兵を率いて集まった。その数三万五千。ブローリ公爵自身も一万二千の兵を有していたことから、兵二万を国境を接するバニア皇国とヴィスタ帝国への抑えとして留め、二万七千の兵をもって、王都へ向かって進軍することを発表した。
ちなみに、ブローリ公爵は、ミレーヌとは共同戦線を張っていることを公表していない。もちろん、ブローリ公爵だけの判断ではなく、ミレーヌと協議のうえ、示し合わせた結果である。これは、ミレーヌに対して反感を持っている貴族もいるため、公表が反発を招くことを懸念したためだ。
こうして、セリアが治めるカッツー王国は、ミレーヌ公爵とブローリ公爵の二正面作戦を強いられることとなった。
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