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第六話
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ガチャ
「学園長入るぞ」
「ジェイド……お主、何用じゃ? 今は来客中でな」
僕はコーヒーを吹き出しそうになって耐えた為に、咳き込んでしまった。
「ああ、その少年に用があって来させてもらった。 傍受阻止の魔道具を起動しても良いか」
「構わん。 コーヒーで良いか?」
「何故いつもコーヒーなんだ。 紅茶にしてくれ」
いつもコーヒーなのか。 よかったコーヒーが普通じゃなくて。
「さて、異世界から来たお主には自己紹介から始めるとしよう。 私はこの国を治めている、ジェイド・リラ・グランデだ」
「お初にお目にかかります。 トール・カグヤと言います」
「私はサラの父で、宰相のアンドレ・ヴォルクネスです」
国王陛下と宰相閣下が来ちゃったよ! サラのお父さん凄いな!
「異世界から来たじゃと? そんな事聞いとらんぞ。 トールよ、何故黙っておった」
「聞かれなかったので……それに、下手に知られたら面倒事に巻き込まれるのは、目に見えてます」
学園長が女の子の姿だからか、すぐ話しそうに思えたんだよね。
「異世界転移者という事だけでなく、古代魔法を扱えるそうだが、トールはこれからどう過ごすのだ。 それを聞かせて欲しい」
「僕は面倒事に巻き込まれたくないです。 国に仕えろとか戦争の道具とか嫌です。 異世界に何故来たのかはわかりませんが、自分の人生を邪魔されたくありません。 なので必要な魔法を創って、他の人とあまり変わらず生活して生きていたいです」
どうだ。 これ以上の言い方を知らないから限界だけど、良い感じに回避出来る気がする。
「もっともな意見だ。 では、国の危機の際は、騎士団や冒険者に混じって力を貸してほしい」
「平民は国の危機の際、どういう立ち位置なんですか?」
もし予想通りなら、これも回避出来る。
「国民は守られる側であり、騎士団や冒険者は国民を守る側だ」
よし、勝った。
「では僕は扱いとしては平民なので、国民として騎士団や冒険者に守られる側です。 例え力があったとしても、陛下の言い分を考えると、国民は守られる側なんですよね? 騎士団でも冒険者でもないんですから。 なのに何故、騎士団や冒険者に混じって平民の僕が、力を貸さないといけないんですか?」
相変わらず僕は、ああ言えばこう言う奴だ。 異世界に来ても変わってないな。
「ではトールは力があるにもかかわらず、その力を振るうことなく見て見ぬ振りをすると言うのか?」
「それこそ僕が先程言った、戦争の道具です。 僕は戦争の道具にはなりたくありません。 しかし陛下は力ある者はその力を振るうべき、という考えです。 それはつまり、力ある者は戦争の道具という事に変わりないのでは無いですか? それと陛下は、見て見ぬ振りをすると、仰いましたが国民も見て見ぬ振りをするのではないですか? この国にいる限り僕も国民です。 見て見ぬ振りをして構いませんよね」
陛下は歯ぎしりをして、眉を寄せ睨みつけてくる。
どうやら言い返す言葉を失ったようだ。
古代魔法と魔力が多い事を知れば、都合の良い戦争の道具扱いになるのは、目に見えてる。
だから、平穏に生きる為それを回避したい。
国王として使える駒は多い方が良い。 力を持っているなら尚更に。 しかし国の道具にはならないと真っ向から否定されている。 国から出て行けと言えば他国にとっては万々歳。
となると、取れる行動は一つしかない。
「ならば、国の危機になっても騎士団や冒険者の加勢に入らなくても良い。 他の国民と同じく守られる側にいると良い。 それとこれは個人的な事だが、他国には行かないで欲しい」
「わかりました。 もしかしたら、個人的に加勢に入る事もあるかもしれません」
「学園長入るぞ」
「ジェイド……お主、何用じゃ? 今は来客中でな」
僕はコーヒーを吹き出しそうになって耐えた為に、咳き込んでしまった。
「ああ、その少年に用があって来させてもらった。 傍受阻止の魔道具を起動しても良いか」
「構わん。 コーヒーで良いか?」
「何故いつもコーヒーなんだ。 紅茶にしてくれ」
いつもコーヒーなのか。 よかったコーヒーが普通じゃなくて。
「さて、異世界から来たお主には自己紹介から始めるとしよう。 私はこの国を治めている、ジェイド・リラ・グランデだ」
「お初にお目にかかります。 トール・カグヤと言います」
「私はサラの父で、宰相のアンドレ・ヴォルクネスです」
国王陛下と宰相閣下が来ちゃったよ! サラのお父さん凄いな!
「異世界から来たじゃと? そんな事聞いとらんぞ。 トールよ、何故黙っておった」
「聞かれなかったので……それに、下手に知られたら面倒事に巻き込まれるのは、目に見えてます」
学園長が女の子の姿だからか、すぐ話しそうに思えたんだよね。
「異世界転移者という事だけでなく、古代魔法を扱えるそうだが、トールはこれからどう過ごすのだ。 それを聞かせて欲しい」
「僕は面倒事に巻き込まれたくないです。 国に仕えろとか戦争の道具とか嫌です。 異世界に何故来たのかはわかりませんが、自分の人生を邪魔されたくありません。 なので必要な魔法を創って、他の人とあまり変わらず生活して生きていたいです」
どうだ。 これ以上の言い方を知らないから限界だけど、良い感じに回避出来る気がする。
「もっともな意見だ。 では、国の危機の際は、騎士団や冒険者に混じって力を貸してほしい」
「平民は国の危機の際、どういう立ち位置なんですか?」
もし予想通りなら、これも回避出来る。
「国民は守られる側であり、騎士団や冒険者は国民を守る側だ」
よし、勝った。
「では僕は扱いとしては平民なので、国民として騎士団や冒険者に守られる側です。 例え力があったとしても、陛下の言い分を考えると、国民は守られる側なんですよね? 騎士団でも冒険者でもないんですから。 なのに何故、騎士団や冒険者に混じって平民の僕が、力を貸さないといけないんですか?」
相変わらず僕は、ああ言えばこう言う奴だ。 異世界に来ても変わってないな。
「ではトールは力があるにもかかわらず、その力を振るうことなく見て見ぬ振りをすると言うのか?」
「それこそ僕が先程言った、戦争の道具です。 僕は戦争の道具にはなりたくありません。 しかし陛下は力ある者はその力を振るうべき、という考えです。 それはつまり、力ある者は戦争の道具という事に変わりないのでは無いですか? それと陛下は、見て見ぬ振りをすると、仰いましたが国民も見て見ぬ振りをするのではないですか? この国にいる限り僕も国民です。 見て見ぬ振りをして構いませんよね」
陛下は歯ぎしりをして、眉を寄せ睨みつけてくる。
どうやら言い返す言葉を失ったようだ。
古代魔法と魔力が多い事を知れば、都合の良い戦争の道具扱いになるのは、目に見えてる。
だから、平穏に生きる為それを回避したい。
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となると、取れる行動は一つしかない。
「ならば、国の危機になっても騎士団や冒険者の加勢に入らなくても良い。 他の国民と同じく守られる側にいると良い。 それとこれは個人的な事だが、他国には行かないで欲しい」
「わかりました。 もしかしたら、個人的に加勢に入る事もあるかもしれません」
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