【R18】オフィスで一人エッチしてるところを堅物上司に見られちゃって……、ってなんで溺愛が始まってるんですか!?

布団のノラネコ

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9話

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 エレベーターで最上階へ向かう。

 重厚な扉が開くと、そこには広い会議室があった。

 そして——。

 長テーブルの向こう側に、険しい顔をした役員たちが座っていた。

 その中に、祐介の姿もある。

 担当者として、呼び出されたのだろう。

 理乃は申し訳なくて、こっそり祐介に目礼した。
 急な大阪出張は、あちらも大変だったろう。

「今井さん、原さん」

 祐介が立ち上がって、二人を迎えた。

「よろしくお願いします」

 理乃と達明は深く頭を下げた。

「原さん、今井さん。まずは席にお着きください」

 役員の一人が、冷たい声で言った。

 理乃と達明は、テーブルの反対側に座る。

 空気が、重い。

「それでは、今回の件について説明していただきましょうか」

 役員が口を開いた。

「はい。この度は、当方のチェック不足により、貴社に多大なるご迷惑をおかけいたしました」

 達明が立ち上がり、まず頭を下げた。

「大変申し訳ございませんでした」

 理乃も立ち上がり、深く頭を下げる。

「謝罪は結構。我々が知りたいのは、今後どうするかです」

 役員の声は、厳しかった。

「竣工はすでに進んでいる。キャンペーンが遅れたら、どれだけの損失になるか」
「はい。代替案のビジュアルを、複数ご用意いたしました」

 達明が、資料を配り始める。

 役員たちが、資料に目を通す。

 沈黙が会議室を支配した。

 理乃の心臓が、ドキドキと鳴り、背筋にはじっとりとした汗が滲んだ。

「原さん」

 役員の一人が、口を開く。

「これは、先日ご提案いただいたコンセプトとは、ずいぶん違うやないですか」
「はい。今回の件を受けて、競合との差別化をより明確にするため、ターゲット層への訴求力を重視した案に変更いたしました」

 達明が落ち着いた声で説明する。

「具体的には……」

 達明がプレゼンを始めた。

 理乃も、補足説明を加える。

 二人の息はピッタリと合っていた。

 役員たちは真剣な表情で聞いている。

 そして——。

「少し、お時間をいただけますか。我々で協議いたします。十分ほど、外でお待ちください」
「はい。よろしくお願いいたします」

 達明と理乃は、再び頭を下げた。

 廊下で待つ時間は、永遠にも感じられた。

 理乃は壁に背を預けて、深く息を吐いた。

「今井、大丈夫か?」

 達明が、心配そうに声をかけてくる。

「はい……でも、緊張で胃がひっくり返りそうでした」
「お前の補足説明、助かったぞ」

 達明は優しく微笑んだ。

 会議室の扉は、十分が経ってもなかなか開かなかった。
 ずいぶんと揉めているのだろうか。

 ヤキモキしながら待っていたところ、三十分ほどが経過したところで、ようやく扉が開いた。

 開けたのは祐介だ。

「中村さん、ありがとうございます」
「いえ……。大丈夫だよ、理乃ちゃん」

 祐介は小声で、励ますように呟いた。

 果たして、祐介の言葉通り、会議室に入ると役員の面々の表情は柔らかくなっていた。

「原さん、今井さん。……結論からお伝えすると、新しいビジュアルイメージは、採用させてもらいます」

 役員の声に、二人はほっと息をつく。

「今回の失態、正直御社を信用するのは大丈夫なのかという意見もあったんですがね。そこの中村、弊社で本プロジェクトの主任をしている中村が、このビジュアルイメージで行きたいと」

 ハッとなって、理乃は祐介の方を振り向いた。

 祐介は柔らかい笑みを浮かべて理乃を見つめている。

「確かに、ターゲット層にもしっかりと合っていますし、競合との差別化もできている。このまま他社に乗り換えてキャンペーンが遅れる方が損失も大きい。そういうわけで、これからもよろしくお願いしますね」

 役員はそういうと、話は終わりだとばかりに立ち上がった。

 会議室を出ていく役員たちを、二人は深々と頭を下げて見送る。

 唯一祐介だけが、去らずに残っていた。

「中村さん。本当にありがとうございました。おかげで命拾いしました」
「今井さん、こちらこそ、素晴らしいご提案をありがとうございました。……って、なんかこういう会話してると不思議な気分だね」

 祐介は吹き出す。そのリラックスした態度に、理乃も思わず微笑んでしまった。

 その様子を、達明は少し拗ねたような表情で見つめている。

「理乃ちゃん、今日よかったら飲んでかない?」

 その言葉に、理乃は伺うように達明の方を振り返る。
 達明の前で他の男からの飲みの誘いを受けるのは、ためらわれた。

「別に、好きにしたらいいんじゃないのか」

 達明はひどく不機嫌そうに、そう言った。

「い、いえ。今日は流石に疲れてるので、ホテルで休みます」
「そっか。じゃあまた、東京に戻ったらご飯にでも行こうよ。今日はお疲れ様」

 祐介は理乃に手を振ると、会議室を去っていった。
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