15 / 19
15話
「今井、この資料なんだが……」
週明け、職場には関係を隠さなければと、気合いを入れて出勤した理乃に対して、達明は拍子抜けするほどいつも通りだった。
あれほど熱く交わったのが夢だったのかと思うほど、達明は冷静で、いっそ冷徹にすら見える表情で仕事をしている。
理乃も関係を表情には出さないようにと気をつけながら、達明と接する。
——幸栄不動産の件は順調に進んでいた。
仕事も佳境に入るというところである今、以前のように三十連勤近くはならないよう調整しているが、それでも忙しさは否めない。
だが、以前と違うのは、出勤すれば恋人である達明と顔を合わせることができる点だろうか。
(っていけない! 顔に出さないようにしなきゃって、気をつけていたところだったのに)
油断すると顔が緩みそうになる。
何せ、ずっと体だけの関係だと思い込み、辛い片思いをしていたのだ。実は達明の方では付き合っているつもりだったなんて知ってしまえば、顔も緩むというものである。
理乃は改めて気を引き締め、仕事に勤しんだ。
その日の夜——。
遅くに帰宅し、シャワーを浴びてドライヤーをかけていると、理乃のスマホが鳴った。
達明からだ。
「はい、もしもし」
『理乃か。遅くにすまない』
「いえ、起きてましたから」
達明はいつも通りの冷静な声で、突然、こう言った。
『理乃、今度の休み、空いていたらなんだが、デートをしないか?』
「えっ、で、デート!?」
達明とデート、デートと頭の中で繰り返す。
『体だけの関係だと思っていたと言われて、俺も反省したんだ。そういえば恋人らしいデートなどしていなかっただろう?』
気にしてくれていたんだ、と理乃は嬉しくなる。
聞いてみると、初めて身体を重ねた夜、達明は理乃に対して好きだと言っていたのだという。理乃は激しく抱かれてすっかり意識を失っていたから、聞いていなかったのだ。
それからも身体を重ねることはあっても、デートなどの恋人らしいことには誘われなかったから、勘違いは継続した。
『激務だから、休日に連れ出すのもどうかと思っていたんだが。これからはきちんと恋人らしいこともしよう。理乃』
「はい、嬉しいです」
達明が待ち合わせ場所に指定したのは、駅前にある複合商業施設。そこで映画を見て、ディナーをしていこうということだった。
土曜日の夜、休日出勤から帰ってきた理乃は、クローゼットの前で途方に暮れていた。
明日は達明と初めてのデートである。
(な、何着ていこう~……!)
クローゼットの前で、悩みに悩む。普段と同じオフィスカジュアルでは変わり映えがしないし、祐介とのディナーに着て行ったよそ行きのワンピースではなんとなく気が引ける。
悩みに悩んだ末、何年か前に買ってクローゼットの肥やしになっていた、ピンクベージュのかわいらしいワンピースを選ぶ。
若い頃に買ったものだから体型が変わっていないか心配だったが、試着するとなんとか入った。
翌朝、早起きをした理乃は、シャワーを浴びて丁寧にブローをしたり、気合いを入れてメイクをする。
いつもよりも少し華やかに、まつ毛はバチバチに上げた。
(よし……!)
完璧に準備をして、家を出る。
靴は少しヒールの低いパンプスにした。せっかくのデートなのに、途中で足が痛くなってしまっては勿体無いからだ。
駅前に着くと、少し目立つオブジェの前に長身の男性がいた。達明だ。
普段とは違い、ラフなシャツにチノパン、ジャケットを羽織っていて、まるで休日の俳優みたいだ。
(顔、いいんだよなぁ)
普段は仕事ぶりの厳しさの方が注目されがちな達明であるが、見た目は社内でも飛び抜けている。鋭い眼差しは意外にもまつ毛が長く、すっと通った鼻梁に、いつも真一文字に引き結ばれている唇は形がいい。
(この、爆裂にかっこいい人が、私の彼氏……?)
改めて実感すると、急激に恥ずかしさが込み上げてきて、理乃は立ちすくんだ。
達明が不意に顔を上げ、数メートル離れたところで突っ立っている理乃に気づく。
ふ、と達明の顔が綻び、硬質な雰囲気が柔らかく解けた。
「やあ、理乃。その服、よく似合ってる」
「あ、ありがとうございます」
(やばい、やばい、やばい、やばい……!)
理乃の頭はパニックになった。何がやばいって、達明が格好良すぎてやばい。今まで達明が理乃にプライベートな形で接してきたのは、夜が多かった。こんな明るい日差しの中で、惜しげもなく美しい顔を晒して微笑んできたりはしなかったのだ。
俳優のごとき洗練された立ち姿に、好きな人ブーストがかかった状態で見てしまえば、理乃が硬直するのも無理はなかった。
「どうした? 理乃、体調悪いのか?」
達明が心配そうに眉を曇らせる。
「いえ、達明さんが格好良すぎて動揺しただけです」
理乃の口は理性の手を離れ、本音をダダ漏らしにしてしまった。
達明が「急に何を言っているんだ」と頬を染めて照れる。
その姿が格好良さに可愛らしさまで混ざってきて、理乃はますます混乱した。
「さあ、行こう。理乃、もうチケットの販売が始まっている」
達明は理乃の手を取って歩き出した。
(手、手、手え繋いでる……!)
理乃は初めて彼氏ができた女子学生のように動揺した。
それもこれも、達明がオフィスとギャップがありすぎるのが全部悪い。
頭の中で責任を達明に全部丸投げしながらも、理乃はおとなしく達明について歩いた。
「理乃、何が見たい?」
「えっと、アクション映画とか?」
この状態で雰囲気のいい恋愛映画など見てしまったら、余計に居た堪れなくなるに違いない。
そこで出てきたのは、アクション映画だった。
「アクション映画? そういうのが好きなのか、理乃は」
「なんか、スカッとするじゃないですか。悪いやつがやっつけられるの」
ぷ、と達明が噴き出す。
「なんで笑うんですか……!」
「いや、子供みたいで可愛いなと」
「もう」
達明に揶揄われながら、チケットを買う。上映開始までの間に、飲み物とポップコーンを買った。
デートらしいデートに、少し余裕のできた理乃の心が浮き立つ。
映画は、理乃が期待した通り、「悪い奴がやっつけられるやつ」だった。
目を輝かせて映画を見ていると、ふと横から視線を感じ、そちらを振り返ると達明が理乃の顔をじっと見ていた。
「達明さん?」
小声で問いかけると、達明は照れたように笑いながら「はしゃいでいる理乃が可愛くて」などと答える。
暗い映画館で、達明は理乃の手をそっと握った。雰囲気のいい恋愛映画ではないけれど、ドカンバコンと爆発音の響く中で恋人と手を握り合うのは、それはそれで背徳感があって少しときめいてしまう。
達明の熱が、指先から伝わってきて、たまらない気持ちになった。
映画館を出ると、ちょうどあたりは暗くなっていて、ディナーを予約した時間にぴったりだった。
達明が予約してくれたのは、祐介と行った店よりはカジュアルなものの、雰囲気のいいイタリアンレストランだった。
店選びも適度に肩の力が抜けていて、熟れた大人の雰囲気を感じる。
「今日はコースじゃないから、好きなものを頼むといい」
「ありがとうございます」
前菜だけでも、カプレーゼやタリアータなどどれも美味しそうで目移りしてしまう。
注文を終えて、食前酒を供された時、不意に達明が居住まいを正した。
「理乃、改めて交際をするにあたって、確認しておきたいことがある」
「? はい」
「うちの会社は社内恋愛は禁止じゃないとはいえ、同じ部署内での恋愛はあまりいい顔をされない。バレれば、どちらかが異動になる可能性が高い」
「っ! そう、ですね」
その噂は理乃も聞いたことがある。
同じ部署内で恋愛関係になり、異動になった先で彼氏が浮気をして別れたカップルがいたとか。
達明が浮気などすることは気性的になさそうではあるが、異動でキャリアが途絶えてしまうのは問題がある。
もちろん、理乃とて急な異動は避けたい。
「隠すように気をつけますね」
「ああ、そうしてくれると助かる」
週明け、職場には関係を隠さなければと、気合いを入れて出勤した理乃に対して、達明は拍子抜けするほどいつも通りだった。
あれほど熱く交わったのが夢だったのかと思うほど、達明は冷静で、いっそ冷徹にすら見える表情で仕事をしている。
理乃も関係を表情には出さないようにと気をつけながら、達明と接する。
——幸栄不動産の件は順調に進んでいた。
仕事も佳境に入るというところである今、以前のように三十連勤近くはならないよう調整しているが、それでも忙しさは否めない。
だが、以前と違うのは、出勤すれば恋人である達明と顔を合わせることができる点だろうか。
(っていけない! 顔に出さないようにしなきゃって、気をつけていたところだったのに)
油断すると顔が緩みそうになる。
何せ、ずっと体だけの関係だと思い込み、辛い片思いをしていたのだ。実は達明の方では付き合っているつもりだったなんて知ってしまえば、顔も緩むというものである。
理乃は改めて気を引き締め、仕事に勤しんだ。
その日の夜——。
遅くに帰宅し、シャワーを浴びてドライヤーをかけていると、理乃のスマホが鳴った。
達明からだ。
「はい、もしもし」
『理乃か。遅くにすまない』
「いえ、起きてましたから」
達明はいつも通りの冷静な声で、突然、こう言った。
『理乃、今度の休み、空いていたらなんだが、デートをしないか?』
「えっ、で、デート!?」
達明とデート、デートと頭の中で繰り返す。
『体だけの関係だと思っていたと言われて、俺も反省したんだ。そういえば恋人らしいデートなどしていなかっただろう?』
気にしてくれていたんだ、と理乃は嬉しくなる。
聞いてみると、初めて身体を重ねた夜、達明は理乃に対して好きだと言っていたのだという。理乃は激しく抱かれてすっかり意識を失っていたから、聞いていなかったのだ。
それからも身体を重ねることはあっても、デートなどの恋人らしいことには誘われなかったから、勘違いは継続した。
『激務だから、休日に連れ出すのもどうかと思っていたんだが。これからはきちんと恋人らしいこともしよう。理乃』
「はい、嬉しいです」
達明が待ち合わせ場所に指定したのは、駅前にある複合商業施設。そこで映画を見て、ディナーをしていこうということだった。
土曜日の夜、休日出勤から帰ってきた理乃は、クローゼットの前で途方に暮れていた。
明日は達明と初めてのデートである。
(な、何着ていこう~……!)
クローゼットの前で、悩みに悩む。普段と同じオフィスカジュアルでは変わり映えがしないし、祐介とのディナーに着て行ったよそ行きのワンピースではなんとなく気が引ける。
悩みに悩んだ末、何年か前に買ってクローゼットの肥やしになっていた、ピンクベージュのかわいらしいワンピースを選ぶ。
若い頃に買ったものだから体型が変わっていないか心配だったが、試着するとなんとか入った。
翌朝、早起きをした理乃は、シャワーを浴びて丁寧にブローをしたり、気合いを入れてメイクをする。
いつもよりも少し華やかに、まつ毛はバチバチに上げた。
(よし……!)
完璧に準備をして、家を出る。
靴は少しヒールの低いパンプスにした。せっかくのデートなのに、途中で足が痛くなってしまっては勿体無いからだ。
駅前に着くと、少し目立つオブジェの前に長身の男性がいた。達明だ。
普段とは違い、ラフなシャツにチノパン、ジャケットを羽織っていて、まるで休日の俳優みたいだ。
(顔、いいんだよなぁ)
普段は仕事ぶりの厳しさの方が注目されがちな達明であるが、見た目は社内でも飛び抜けている。鋭い眼差しは意外にもまつ毛が長く、すっと通った鼻梁に、いつも真一文字に引き結ばれている唇は形がいい。
(この、爆裂にかっこいい人が、私の彼氏……?)
改めて実感すると、急激に恥ずかしさが込み上げてきて、理乃は立ちすくんだ。
達明が不意に顔を上げ、数メートル離れたところで突っ立っている理乃に気づく。
ふ、と達明の顔が綻び、硬質な雰囲気が柔らかく解けた。
「やあ、理乃。その服、よく似合ってる」
「あ、ありがとうございます」
(やばい、やばい、やばい、やばい……!)
理乃の頭はパニックになった。何がやばいって、達明が格好良すぎてやばい。今まで達明が理乃にプライベートな形で接してきたのは、夜が多かった。こんな明るい日差しの中で、惜しげもなく美しい顔を晒して微笑んできたりはしなかったのだ。
俳優のごとき洗練された立ち姿に、好きな人ブーストがかかった状態で見てしまえば、理乃が硬直するのも無理はなかった。
「どうした? 理乃、体調悪いのか?」
達明が心配そうに眉を曇らせる。
「いえ、達明さんが格好良すぎて動揺しただけです」
理乃の口は理性の手を離れ、本音をダダ漏らしにしてしまった。
達明が「急に何を言っているんだ」と頬を染めて照れる。
その姿が格好良さに可愛らしさまで混ざってきて、理乃はますます混乱した。
「さあ、行こう。理乃、もうチケットの販売が始まっている」
達明は理乃の手を取って歩き出した。
(手、手、手え繋いでる……!)
理乃は初めて彼氏ができた女子学生のように動揺した。
それもこれも、達明がオフィスとギャップがありすぎるのが全部悪い。
頭の中で責任を達明に全部丸投げしながらも、理乃はおとなしく達明について歩いた。
「理乃、何が見たい?」
「えっと、アクション映画とか?」
この状態で雰囲気のいい恋愛映画など見てしまったら、余計に居た堪れなくなるに違いない。
そこで出てきたのは、アクション映画だった。
「アクション映画? そういうのが好きなのか、理乃は」
「なんか、スカッとするじゃないですか。悪いやつがやっつけられるの」
ぷ、と達明が噴き出す。
「なんで笑うんですか……!」
「いや、子供みたいで可愛いなと」
「もう」
達明に揶揄われながら、チケットを買う。上映開始までの間に、飲み物とポップコーンを買った。
デートらしいデートに、少し余裕のできた理乃の心が浮き立つ。
映画は、理乃が期待した通り、「悪い奴がやっつけられるやつ」だった。
目を輝かせて映画を見ていると、ふと横から視線を感じ、そちらを振り返ると達明が理乃の顔をじっと見ていた。
「達明さん?」
小声で問いかけると、達明は照れたように笑いながら「はしゃいでいる理乃が可愛くて」などと答える。
暗い映画館で、達明は理乃の手をそっと握った。雰囲気のいい恋愛映画ではないけれど、ドカンバコンと爆発音の響く中で恋人と手を握り合うのは、それはそれで背徳感があって少しときめいてしまう。
達明の熱が、指先から伝わってきて、たまらない気持ちになった。
映画館を出ると、ちょうどあたりは暗くなっていて、ディナーを予約した時間にぴったりだった。
達明が予約してくれたのは、祐介と行った店よりはカジュアルなものの、雰囲気のいいイタリアンレストランだった。
店選びも適度に肩の力が抜けていて、熟れた大人の雰囲気を感じる。
「今日はコースじゃないから、好きなものを頼むといい」
「ありがとうございます」
前菜だけでも、カプレーゼやタリアータなどどれも美味しそうで目移りしてしまう。
注文を終えて、食前酒を供された時、不意に達明が居住まいを正した。
「理乃、改めて交際をするにあたって、確認しておきたいことがある」
「? はい」
「うちの会社は社内恋愛は禁止じゃないとはいえ、同じ部署内での恋愛はあまりいい顔をされない。バレれば、どちらかが異動になる可能性が高い」
「っ! そう、ですね」
その噂は理乃も聞いたことがある。
同じ部署内で恋愛関係になり、異動になった先で彼氏が浮気をして別れたカップルがいたとか。
達明が浮気などすることは気性的になさそうではあるが、異動でキャリアが途絶えてしまうのは問題がある。
もちろん、理乃とて急な異動は避けたい。
「隠すように気をつけますね」
「ああ、そうしてくれると助かる」
あなたにおすすめの小説
うちの幼馴染がデレすぎてて俺の理性はもう限界。でも毎日が最高に甘いからもうどうでもいいや
静内燕
恋愛
相沢悠太の日常は、規格外の美少女である幼馴染、白石葵によって完全に支配されている。
朝のモーニングコール(ベッドへのダイブ付き)から始まり、登校中の腕組み、そして「あーん」が義務付けられた手作り弁当。誰もが羨むラブラブっぷりだが、悠太はこれを「家族愛」だと頑なに誤解(無視)している。
「ゆーたは私の運命の相手なんだもん!」と、葵のデレデレは今日も過剰の一途。周囲の冷やかしや、葵を狙う男子生徒のプレッシャーが高まる中、悠太の**「幼馴染フィルター」**はついに限界を迎える。
この溺愛っぷり、いつまで「家族」で通せるのか?
甘すぎる日常が、悠太の鈍感な理性を溶かし尽くす――最初からクライマックスの、超高濃度イチャイチャ・ラブコメ、開幕!
俺様上司に今宵も激しく求められる。
美凪ましろ
恋愛
鉄面皮。無表情。一ミリも笑わない男。
蒔田一臣、あたしのひとつうえの上司。
ことあるごとに厳しくあたしを指導する、目の上のたんこぶみたいな男――だったはずが。
「おまえの顔、えっろい」
神様仏様どうしてあたしはこの男に今宵も激しく愛しこまれているのでしょう。
――2000年代初頭、IT系企業で懸命に働く新卒女子×厳しめの俺様男子との恋物語。
**2026.01.02start~2026.01.17end**
◆エブリスタ様にも掲載。人気沸騰中です!
https://estar.jp/novels/26513389
【完結】退職を伝えたら、無愛想な上司に囲われました〜逃げられると思ったのが間違いでした〜
来栖れいな
恋愛
逃げたかったのは、
疲れきった日々と、叶うはずのない憧れ――のはずだった。
無愛想で冷静な上司・東條崇雅。
その背中に、ただ静かに憧れを抱きながら、
仕事の重圧と、自分の想いの行き場に限界を感じて、私は退職を申し出た。
けれど――
そこから、彼の態度は変わり始めた。
苦手な仕事から外され、
負担を減らされ、
静かに、けれど確実に囲い込まれていく私。
「辞めるのは認めない」
そんな言葉すらないのに、
無言の圧力と、不器用な優しさが、私を縛りつけていく。
これは愛?
それともただの執着?
じれじれと、甘く、不器用に。
二人の距離は、静かに、でも確かに近づいていく――。
無愛想な上司に、心ごと囲い込まれる、じれじれ溺愛・執着オフィスラブ。
※この物語はフィクションです。
登場する人物・団体・名称・出来事などはすべて架空であり、実在のものとは一切関係ありません。
鬼上官と、深夜のオフィス
99
恋愛
「このままでは女としての潤いがないまま、生涯を終えてしまうのではないか。」
間もなく30歳となる私は、そんな焦燥感に駆られて婚活アプリを使ってデートの約束を取り付けた。
けれどある日の残業中、アプリを操作しているところを会社の同僚の「鬼上官」こと佐久間君に見られてしまい……?
「婚活アプリで相手を探すくらいだったら、俺を相手にすりゃいい話じゃないですか。」
鬼上官な同僚に翻弄される、深夜のオフィスでの出来事。
※性的な事柄をモチーフとしていますが
その描写は薄いです。
極上イケメン先生が秘密の溺愛教育に熱心です
朝陽七彩
恋愛
私は。
「夕鶴、こっちにおいで」
現役の高校生だけど。
「ずっと夕鶴とこうしていたい」
担任の先生と。
「夕鶴を誰にも渡したくない」
付き合っています。
♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡
神城夕鶴(かみしろ ゆづる)
軽音楽部の絶対的エース
飛鷹隼理(ひだか しゅんり)
アイドル的存在の超イケメン先生
♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡
彼の名前は飛鷹隼理くん。
隼理くんは。
「夕鶴にこうしていいのは俺だけ」
そう言って……。
「そんなにも可愛い声を出されたら……俺、止められないよ」
そして隼理くんは……。
……‼
しゅっ……隼理くん……っ。
そんなことをされたら……。
隼理くんと過ごす日々はドキドキとわくわくの連続。
……だけど……。
え……。
誰……?
誰なの……?
その人はいったい誰なの、隼理くん。
ドキドキとわくわくの連続だった私に突如現れた隼理くんへの疑惑。
その疑惑は次第に大きくなり、私の心の中を不安でいっぱいにさせる。
でも。
でも訊けない。
隼理くんに直接訊くことなんて。
私にはできない。
私は。
私は、これから先、一体どうすればいいの……?