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17話
それから一ヶ月経った。
幸栄不動産のキャンペーンは無事に終了し、クライアントからも高評価を得た。
理乃と達明の関係は、社内では公になっていないが、部長と人事部はなぜか温かく見守ってくれているようだった。
そんなある日、達明から理乃にメッセージが届いた。
「今週末、空けておいてくれ。ディナーに誘いたい」
理乃は胸が高鳴った。あの件以来、久しぶりのデートだ。
達明が指定した場所は高級ホテルのレストランで、泊まりがけで行くから着替えも用意して欲しいとのことだった。
理乃は慌てて退勤後にデパートに駆け込み、新しいデート用のワンピースを買った。
達明が誘ってきたのは、大手町にある外資系の高級ホテルで、それなりの服装でなければ浮く場所だ。
総レースのタイトなワンピースを試着して、理乃は鏡を見ながら頷く。
達明と付き合うようになってから、体のラインを気にして運動も始めておいて良かった。
綺麗にラインの出ているこのワンピースなら、ホテルのレストランでも浮かないだろう。
ジャケットは手持ちのものを用意して、理乃は服飾店を後にした。
待ちに待った土曜日、理乃は達明の指定したホテルのエントランスに来ていた。
周囲を見回すと、エントランスのソファに座った達明が目に入る。
「達明さん」
近づいて声をかけると、達明が顔を上げた。
スーツをぴしっと着こなして、いつもよりも少しラフにセットされた前髪がよく似合っている。
「理乃……今日も綺麗だな」
「あ、ありがとうございます。達明さん」
「じゃあ、行こうか。上階のレストランを予約してある」
チェックインは先に達明が済ませてくれていたらしく、そのままレストランへ向かうことになった。
達明は理乃の腰に腕を回して、エスコートしてくれる。
エレベーターに乗ると、三十三階に位置するレストランまで上がっていく。
上階にたどり着くと、高い天井の開放的な空間が広がる。
一面はガラス張りになっていて、美しい夜景が見れた。
「わぁ……綺麗……」
理乃は思わず声を上げる。
スタッフに案内されたのは、窓際の上等な席。これも達明が用意してくれていたらしい。
理乃は目をキラキラとさせて、あたりを見回す。その様子を達明が微笑ましそうに見守っていた。
「気に入ってくれたか?」
「はい。とっても」
理乃が微笑むと、達明も安堵したように笑った。
コースが始まる。
どの料理も宝石のように美しくて、そして美味しい。
だが、理乃は達明の様子が少し緊張していることに気づいた。
「達明さん……? どうかしましたか……?」
「ん? いや、なんでもない」
達明は誤魔化すように笑った。
デザートが運ばれてくる。
そして、食事が終わった頃。
達明が、真剣な表情で理乃を見つめた。
「理乃、少し話がある」
「はい」
理乃は、緊張しながら頷いた。
達明は、ゆっくりと立ち上がる。
そして——。
理乃の目の前で、片膝をついた。
「え……!?」
理乃は息を呑んだ。
ドラマなどでよく見るワンシーン。
まるで俳優のように煌びやかな男が、自分の前で膝をついている。
そして、スーツの内ポケットから小さな箱を取り出した。
それを開けると、そこには美しいダイヤモンドの装飾がついた指輪が、輝いていた。
「理乃……俺と結婚してくれ」
達明の声は、静かだが、確固たる決意に満ちていた。
「付き合い始めてからまだ、期間が短すぎるのはわかっている。だが、社内恋愛ではなく社内結婚であれば、二人とも異動せずに済むと知った時、俺の心は意外なくらいすぐに定まった。理乃の仕事に直向きなところも、褒められると可愛らしく照れるところも、望月にやられっぱなしじゃなくて案外気が強いところも、全部愛おしく思っている。これから先、理乃と人生を共にしたい。受け取ってくれないか」
達明の瞳が、真っ直ぐに理乃を見つめている。
理乃は、その瞳に射抜かれて、自分の目から透明な雫がこぼれ落ちていくのを止められなかった。
「はい。……はい、達明さん。嬉しい、です」
そっと、達明に手を差し出す。
達明がその細い薬指に、指輪をはめた。
ピッタリと、指に収まる。
その時、様子を伺っていたホテルスタッフが、拍手を始めた。
他の客たちも、理乃たちの様子を見ていたのか、あたたかな拍手をする。
理乃は恥ずかしくて顔を赤らめたが、達明は堂々と理乃を抱きしめた。
「愛してる、理乃」
「私も……愛してます、達明さん」
温かい微笑みを浮かべたスタッフに「おめでとうございます」と声をかけられて、理乃は照れながら会釈をした。
レストランを出ると、達明が理乃の手を取った。
連れて行かれたのは、三十八階にあるガーデンビュースイートルーム。皇居外苑を一望できる広々とした部屋で、窓ガラスの正面にはふかふかの二人がけソファが置いてあった。
ソファまでエスコートされ、腰掛けると、甘いキスが降ってくる。
「ん……達明さん。夢みたいです、こんなの」
「夢じゃない。理乃……愛してる」
こんな素敵な部屋を用意してもらって、プロポーズをされて、薬指には婚約指輪がはまっている。
明日目が覚めた時全てが夢だったらどうしようと不安になる程の幸福感に満たされていた。
ふと理乃は、部長の微笑ましげな目線を思い出す。
「あ……。もしかして部長が保留にしてくれたのって」
「そうだ。あの時もうプロポーズするつもりで、部長にはそれまで待って欲しいと話を通した」
付き合い始めてまだ間もない頃に、結婚まで意識してくれていたということだ。
そのことが理乃にとっては嬉しくも恥ずかしく、達明の腕の中で身を捩ってしまう。
「よ、良かったんですか、そんなにすぐに決めちゃって」
あとでやっぱり違った、とか言われたらどうしようと、不安になる。
「理乃、男は本当に手放したくない女に対しては、すぐに結婚を決めるものだぞ?」
それに対して達明は、自信満々に返答してきた。
理乃の頭の中に、ぐるぐると今後のことが頭をよぎる。
両家の挨拶、共に暮らす家の選定、引っ越し、結婚式。
その全てがなぜかしっくりきて、達明だったら任せても大丈夫、という確信があった。
付き合い始めて期間が短いとはいえ、仕事の上ではずっと一緒にやってきた相手だからだ。
達明が理乃との結婚をこれほど早く決めてくれたのも、仕事の上での信頼関係があってのことかもしれない。
(真面目に働いてきて、良かった……!)
最初のきっかけは真面目とは言えないものだったけれど……と思い返し、理乃は思わず達明に問いかける。
「あの……本当にいいんですか? 私、職場でいやらしいことしていたような女ですよ」
「ん? ああ、あのことか」
達明は例の件を思い出したのか、苦笑した。
「あの後は大変だった。毎晩思い出しては、自分を鎮めるのがな……」
「なっ……」
改めてあの時のことを話すと、達明は理乃の痴態が頭にこびりついて、毎晩自分を慰めていたらしい。
「人間、誰だってヤケクソになる時はある。まあ、あんな場所で他の人間に見られたら俺は嫉妬でどうにかなりそうだから、もうしないで欲しいが」
「も、もうあんなことしません! あの時は、彼氏——もう元彼ですけど——に男みたいだって振られて」
「なんだそいつは、見る目がないな。だが、そのおかげで理乃が俺のものになった」
俺は絶対手放さない——と達明は理乃の額にキスを落としながら言った。
幸栄不動産のキャンペーンは無事に終了し、クライアントからも高評価を得た。
理乃と達明の関係は、社内では公になっていないが、部長と人事部はなぜか温かく見守ってくれているようだった。
そんなある日、達明から理乃にメッセージが届いた。
「今週末、空けておいてくれ。ディナーに誘いたい」
理乃は胸が高鳴った。あの件以来、久しぶりのデートだ。
達明が指定した場所は高級ホテルのレストランで、泊まりがけで行くから着替えも用意して欲しいとのことだった。
理乃は慌てて退勤後にデパートに駆け込み、新しいデート用のワンピースを買った。
達明が誘ってきたのは、大手町にある外資系の高級ホテルで、それなりの服装でなければ浮く場所だ。
総レースのタイトなワンピースを試着して、理乃は鏡を見ながら頷く。
達明と付き合うようになってから、体のラインを気にして運動も始めておいて良かった。
綺麗にラインの出ているこのワンピースなら、ホテルのレストランでも浮かないだろう。
ジャケットは手持ちのものを用意して、理乃は服飾店を後にした。
待ちに待った土曜日、理乃は達明の指定したホテルのエントランスに来ていた。
周囲を見回すと、エントランスのソファに座った達明が目に入る。
「達明さん」
近づいて声をかけると、達明が顔を上げた。
スーツをぴしっと着こなして、いつもよりも少しラフにセットされた前髪がよく似合っている。
「理乃……今日も綺麗だな」
「あ、ありがとうございます。達明さん」
「じゃあ、行こうか。上階のレストランを予約してある」
チェックインは先に達明が済ませてくれていたらしく、そのままレストランへ向かうことになった。
達明は理乃の腰に腕を回して、エスコートしてくれる。
エレベーターに乗ると、三十三階に位置するレストランまで上がっていく。
上階にたどり着くと、高い天井の開放的な空間が広がる。
一面はガラス張りになっていて、美しい夜景が見れた。
「わぁ……綺麗……」
理乃は思わず声を上げる。
スタッフに案内されたのは、窓際の上等な席。これも達明が用意してくれていたらしい。
理乃は目をキラキラとさせて、あたりを見回す。その様子を達明が微笑ましそうに見守っていた。
「気に入ってくれたか?」
「はい。とっても」
理乃が微笑むと、達明も安堵したように笑った。
コースが始まる。
どの料理も宝石のように美しくて、そして美味しい。
だが、理乃は達明の様子が少し緊張していることに気づいた。
「達明さん……? どうかしましたか……?」
「ん? いや、なんでもない」
達明は誤魔化すように笑った。
デザートが運ばれてくる。
そして、食事が終わった頃。
達明が、真剣な表情で理乃を見つめた。
「理乃、少し話がある」
「はい」
理乃は、緊張しながら頷いた。
達明は、ゆっくりと立ち上がる。
そして——。
理乃の目の前で、片膝をついた。
「え……!?」
理乃は息を呑んだ。
ドラマなどでよく見るワンシーン。
まるで俳優のように煌びやかな男が、自分の前で膝をついている。
そして、スーツの内ポケットから小さな箱を取り出した。
それを開けると、そこには美しいダイヤモンドの装飾がついた指輪が、輝いていた。
「理乃……俺と結婚してくれ」
達明の声は、静かだが、確固たる決意に満ちていた。
「付き合い始めてからまだ、期間が短すぎるのはわかっている。だが、社内恋愛ではなく社内結婚であれば、二人とも異動せずに済むと知った時、俺の心は意外なくらいすぐに定まった。理乃の仕事に直向きなところも、褒められると可愛らしく照れるところも、望月にやられっぱなしじゃなくて案外気が強いところも、全部愛おしく思っている。これから先、理乃と人生を共にしたい。受け取ってくれないか」
達明の瞳が、真っ直ぐに理乃を見つめている。
理乃は、その瞳に射抜かれて、自分の目から透明な雫がこぼれ落ちていくのを止められなかった。
「はい。……はい、達明さん。嬉しい、です」
そっと、達明に手を差し出す。
達明がその細い薬指に、指輪をはめた。
ピッタリと、指に収まる。
その時、様子を伺っていたホテルスタッフが、拍手を始めた。
他の客たちも、理乃たちの様子を見ていたのか、あたたかな拍手をする。
理乃は恥ずかしくて顔を赤らめたが、達明は堂々と理乃を抱きしめた。
「愛してる、理乃」
「私も……愛してます、達明さん」
温かい微笑みを浮かべたスタッフに「おめでとうございます」と声をかけられて、理乃は照れながら会釈をした。
レストランを出ると、達明が理乃の手を取った。
連れて行かれたのは、三十八階にあるガーデンビュースイートルーム。皇居外苑を一望できる広々とした部屋で、窓ガラスの正面にはふかふかの二人がけソファが置いてあった。
ソファまでエスコートされ、腰掛けると、甘いキスが降ってくる。
「ん……達明さん。夢みたいです、こんなの」
「夢じゃない。理乃……愛してる」
こんな素敵な部屋を用意してもらって、プロポーズをされて、薬指には婚約指輪がはまっている。
明日目が覚めた時全てが夢だったらどうしようと不安になる程の幸福感に満たされていた。
ふと理乃は、部長の微笑ましげな目線を思い出す。
「あ……。もしかして部長が保留にしてくれたのって」
「そうだ。あの時もうプロポーズするつもりで、部長にはそれまで待って欲しいと話を通した」
付き合い始めてまだ間もない頃に、結婚まで意識してくれていたということだ。
そのことが理乃にとっては嬉しくも恥ずかしく、達明の腕の中で身を捩ってしまう。
「よ、良かったんですか、そんなにすぐに決めちゃって」
あとでやっぱり違った、とか言われたらどうしようと、不安になる。
「理乃、男は本当に手放したくない女に対しては、すぐに結婚を決めるものだぞ?」
それに対して達明は、自信満々に返答してきた。
理乃の頭の中に、ぐるぐると今後のことが頭をよぎる。
両家の挨拶、共に暮らす家の選定、引っ越し、結婚式。
その全てがなぜかしっくりきて、達明だったら任せても大丈夫、という確信があった。
付き合い始めて期間が短いとはいえ、仕事の上ではずっと一緒にやってきた相手だからだ。
達明が理乃との結婚をこれほど早く決めてくれたのも、仕事の上での信頼関係があってのことかもしれない。
(真面目に働いてきて、良かった……!)
最初のきっかけは真面目とは言えないものだったけれど……と思い返し、理乃は思わず達明に問いかける。
「あの……本当にいいんですか? 私、職場でいやらしいことしていたような女ですよ」
「ん? ああ、あのことか」
達明は例の件を思い出したのか、苦笑した。
「あの後は大変だった。毎晩思い出しては、自分を鎮めるのがな……」
「なっ……」
改めてあの時のことを話すと、達明は理乃の痴態が頭にこびりついて、毎晩自分を慰めていたらしい。
「人間、誰だってヤケクソになる時はある。まあ、あんな場所で他の人間に見られたら俺は嫉妬でどうにかなりそうだから、もうしないで欲しいが」
「も、もうあんなことしません! あの時は、彼氏——もう元彼ですけど——に男みたいだって振られて」
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