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22.悪夢
しおりを挟む……これは夢だ。
夢の中で、僕はすぐにそう気がついた。意識ははっきりしているのに、夢は僕の意思を無視して進んでいく。
僕の首筋から顔を離したノアのその薄い唇には、さっきまで吸っていた血液がまだらに付着している。本来なら化け物じみた姿のはずなのに、どこか神々しく、闇の生き物の美しさに僕はつい見とれてしまう。
「友達をやめるか?ウィリー」
ノアの赤い両目が怪しく輝いた。これは夢だ。僕は僕の意思を尊重して首を振ろうとするのに、夢の中の僕は言うことを聞いてくれない。
首を振るんだ、さあ今すぐ、首を振れ!
「……」
気がついたら僕は、無言のままゆっくりと頷いていた。
馬鹿野郎!と自分で自分を罵るものの、現実の僕は夢に干渉することができない。
僕の返答を受けたノアが、見たこともないような表情を浮かべる。それが喜びと興奮の入り混じった顔なのだと理解したとき、僕は自分の内側から自分でも止められないなにかが溢れ出すのを感じた。
「ノア、僕、どうしたらいいのか……」
「簡単だ。友達をやめて、私のものになればいい」
ノアは薄い笑みさえ浮かべて、僕に覆いかぶさってきた。抵抗を試みるものの許されず、ノアの舌が僕の口内へ入ってくる。血の味がする、キスだった。
「ウィリー、私はお前を愛している。大切にするよ」
「ノア……」
「大丈夫、なにも心配はいらない」
「ノア……す、」
「うん?」
「僕、ノアのことが……す……」
僕は薄れゆく意識の中で、ノアのルビーのような赤い目をずっと見つめていた。
◆
「ウィリー、起きているのか?」
「……っ!!!!!!」
唐突に頭が覚醒する。ノアの呼びかけに、条件反射的に身体を起こし、肩で息をしながら僕は反論した。
「……っ、はあ、ね、眠ってたんだ。突然、入ってくるなよ」
「いつものことじゃないか。それに、うなされているようだったから声をかけてやったのに。あんまりだな」
ノアは苦笑いをしながらベッドに入ろうとしてくる。僕は絶叫でそれを食い止めた。
「待て待て待て!入ってくるな!」
「どうした?急に。昨日まではそんなこと言わなかったくせに」
「……今日から僕は、アメリアが使っていたベッドで寝るよ」
「ほう、そうか」
もっと動揺するかと思ったのに、ノアは案外しれっとしている。僕がベッドに入ることを許さないので、すぐそばの椅子に腰を下ろした。
「行くなら早く行けばよいのではないか?私が眠れないぞ」
「わ、わかってるって。……ちょっと待ってよ」
僕だってベッドから出たいのは山々だ。でも今、そうするわけにはいかない。
とにかく脳内が混乱していて、まともになにかを考えることなんて今はできそうにもなかった。
どういうことだ?どうしてアメリアがいなくなった途端、あんな夢を見てしまうのか。
夢の中で僕は、ノアに好きだと囁いていた……それも、何度も。
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