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終章
勝者の歴史
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鬼退治の後、桃太郎は情報操作に心血を注いだ。過去の盗賊時代の自分を知る者を一人残らず抹殺した。
それは犬、猿、雉、そして、育ての親であるおじいさんとおばあさんも例外ではなかった。
過去の自分をすべて消し去った彼は、自分が最初から善良な英雄であるという歴史を作りだした。
そして様々な人間が時を超えて、桃太郎の伝説を語り継いだ。その中で、犬と猿と雉は彼の忠実な部下として
扱われていた。但し、そこには恐怖はなく、キビ団子をもらったことに対する恩返しということにされていた。
おじいさんとおばあさんは純粋な善意から、桃太郎を育てたことになっていた。
そして、彼はすくすくと成長し、心優しい青年として描かれていた。
一方、鬼は人間に理不尽な暴力を与え、嘘を付き、破壊と略奪の限りを尽くす怪物として描かれていた。
こうして、歴史は塗り替えられた。
結果として、理不尽な暴力を振るった悪魔が勝利し、彼は後世で英雄となってしまった。
果たして、桃太郎だけだろうか。歴史というものはすべて勝者からの、目線で描かれているに過ぎないのではないか。
そうだとすれば、本物の歴史などこの世に存在しないのかもしれない。
敗者の歴史はただ消え去るのみなのだから。
それは犬、猿、雉、そして、育ての親であるおじいさんとおばあさんも例外ではなかった。
過去の自分をすべて消し去った彼は、自分が最初から善良な英雄であるという歴史を作りだした。
そして様々な人間が時を超えて、桃太郎の伝説を語り継いだ。その中で、犬と猿と雉は彼の忠実な部下として
扱われていた。但し、そこには恐怖はなく、キビ団子をもらったことに対する恩返しということにされていた。
おじいさんとおばあさんは純粋な善意から、桃太郎を育てたことになっていた。
そして、彼はすくすくと成長し、心優しい青年として描かれていた。
一方、鬼は人間に理不尽な暴力を与え、嘘を付き、破壊と略奪の限りを尽くす怪物として描かれていた。
こうして、歴史は塗り替えられた。
結果として、理不尽な暴力を振るった悪魔が勝利し、彼は後世で英雄となってしまった。
果たして、桃太郎だけだろうか。歴史というものはすべて勝者からの、目線で描かれているに過ぎないのではないか。
そうだとすれば、本物の歴史などこの世に存在しないのかもしれない。
敗者の歴史はただ消え去るのみなのだから。
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