翡翠の森

中嶋 まゆき

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宣言

14

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・・・



「ロイ、ジェイダ……!! 」

ロイ一行がトスティータ城に着くと、待ちきれないというように、アルフレッドが駆け寄ってきた。

「……ただいま、兄さん」

久しぶりに兄の顔を見たのだ。
吐いた息は、確かに安堵も含まれていたが。

「こっちは上手くいったけど」

彼の後ろに控えている姿に、含みを持たせずにはいられなかった。

「……今後の懸念にはさせん」

兄の言葉に頷いたものの、ロイの表情は険しい。

「……僕は優しくないから。覚えておいて」

「……承知しております」

あまりにも甘い判断だ。
それでもアルフレッドが選んだ道。

「心配なさらずとも、私がおりますよ」

「キース」

それにしても、よく分からないのはこの男だ。
一体、何を考えているのか。

「とにかく中へ。思うところはあるだろうが……別れは告げた方がいい」

もう一度ふっと息を吐くと、ロイは意を決したように進みだす。

嫌いだと思っていた。
愛されていないと思ったのは本当に小さい頃のことで、愛さないようにしたのも同じくらい昔のこと。

「父としてのこの方など存じませんが」

棺を前にしても何も出てこないロイに、キースが言った。

「国を守ろうとするこの方は……悪くはなかった。もちろん、全ての選択が正しかったとは言いませんが」

庇うかのような発言に驚くと、彼は咳払いをして目を逸らした。

(確かに、国を想う気持ちは程度も考え方も人それぞれだ。……だとしても、僕は)

「僕らは違う道を行く」

何度甘いと言われようとも、傷つけ合うのではなく助け合う道を。

「そのような夢を改革とするのなら、成功させねば単なる愚か者の政治です」

そう言い捨てると、突如興味を失くしたようにくるりと背を向けた。

「……キース」

咄嗟に呼び止めたが、何を問えばいいのか。

「……私が仕えるのは、この国です」

キースが先に沈黙を破り、いつかの台詞を繰り返す。

「夢や理想の下に被害があれば、あまりにあまり。影響が出始めるのは、いつだって上にいる者ではない」

ロイのよく知る、抑揚のない喋り方。

「私や父君を愚かだと思うのなら、見せて頂きたい。よもや国が傾こうものなら、誰であろうと許さない」

だが、その表情はどうだろうか。
残念ながら見えないが、きっといつもと違うのだと思う。

薄気味の悪い、信用ならない雰囲気ではない。
しょっちゅう顔を突き合わせていては分からなかったのに、今少しだけキースが笑った気がした。

「……楽しみにしておりますよ」

「ああ。あの状況が正しいなんて、間違っている。……証明してやるよ」

互いに敵だと罵るなんて、愚かなことだ。
あのままでいい訳がない。

(……見てろよ)

キースも父も、見ていればいい。
絶対に、それを認める日はやってくるから。

「是非とも」

今度こそ、キースが去って行く。
だが、今度の声はとても柔らかいように感じた。

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