【完結】人前で話せない陰キャな僕がVtuberを始めた結果、クラスにいる国民的美少女のアイドルにガチ恋されてた件

中島健一

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第54話 ジェラピケ

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~織原朔真視点~

 自由時間も無事?に終わった。僕達生徒は寝泊まりする部屋に戻り、入浴の時間を待つ。入浴といえばラブコメ恒例の女風呂を覗く、なんてイベントがあるにはあるが、鐘巻先生に前もって注意された。

『ふつーに退学になるからやめろよ。実際に判例も出てるからな』

 特にこれといったイベントもなく風呂から上がった僕は、早め──18時30分──の夕食を生徒全員でとった。。

 食堂の壁や机、椅子等は木で出来ていて、天井は高く、鈍角な三角形を形作り、無数のシーリングファンがいくつもクルクルと回転していた。照明は暖色系で統一され、風呂から上がり、どこかボ~っとしている僕ら生徒を煌めく世界へと誘う。

 メニューはカレーとサラダとワカメスープとデザートにはフルーツポンチ。

 生徒達は部屋着や学校指定、或いは部活動のジャージ、1年生の時に造ったクラスTシャツ等を着ている。

 僕は学校指定のジャージを着ている。早く夕食をすませて、薙鬼流のいる部屋まで行きたい。本当だったら一日中アーペックスをしていたかったが、仕方がない。

「コラ!なんだその格好は!!」

 食堂の出入り口が騒がしい。

「何って、ジェラピケですよ?可愛くないですか?」

 アーチェリー場で僕に因縁をつけてきたギャル、松本美優さんがモコモコの薄いピンクと白のボーダーの入ったパーカーにショートパンツ姿でやってきた。

「ジェラピケ?元バルセロナのDFか?」

 松本さんとは対照的にアディダスのジャージを着ている鐘巻先生が言った。

「違いますよ!この部屋着のブランドです」

 その隣にはもう一人の黒髪のギャル、小坂茉優さんが同じような素材の部屋着を着ている。

「お前もか…そんな格好してくんなよ……」

「良いじゃないですかぁ~。もしかして先生エッチな目で見てたりする?」

「バ、バカなことを言うな!」

「じゃあ何か問題でもあるんですか?」

 鐘巻先生はそれ以上何も言わずに、ギャル達を食堂に入れた。後を追うように音咲さんも食堂にやってきた。彼女もやはり大きめのサイズのパーカーにショートパンツといった出で立ちだ。唯一ギャル達と違うのは着ているパーカーのフードの部分がサメになっていた。それを被ると頭をサメに食べられているように見える仕様となっている。一ノ瀬さんはというと、僕と同じ学校指定のジャージを羽織っている。

 全員分の配膳が終了し、皆で一緒に夕食を食べた。騒がしいグループと淡々とご飯を食べるグループ。もちろん僕は後者に属した。しかし、僕と同じ班のぼっち組の2人の生徒が静かに喋り出す。

「これからやる田中カナタ杯見るよな?」

 ブッ、と僕は口にしたカレーを、子供に人気なカレーパンをモチーフにしたキャラクターのように吹き出した。汚いような目で彼等が僕を見る。

 ゴホゴホと咳をして僕は場を濁すと、彼等は僕に気にせず話を続けた。

「エミールが頑張るところを見たい」

「君はエミール推しだからなぁ。あぁ、パウラちゃんも参加してくれてたら良かったのに」

「キルヒナは?」

 ブルーナイツ箱推し勢は、薙鬼流ひなみのことをキルヒナと呼ぶ。

「薙鬼流は……炎上してるからなぁ、頑張ってはほしいところ」

「正直複雑だよな。炎上した内容は仕方ないことかもしれないけど、一昔前のことだし。知ってた?あの子まだ16らしいよ?」

「知ってる!だから大会も22時までなんだよな」

 彼等がブルーナイツの箱推しであることを知った僕は、彼等に親近感を抱いた。それだけじゃない炎上中の薙鬼流も応援していた。僕は彼らに好感も抱いた。彼等の為にも?大会では良い成績を残したい。

 騒がしい夕食を食べ終えた僕ら生徒達は、そのまま就寝時間まで自由時間を過ごすこととなる。僕は入り口に殺到する生徒達に紛れて、食堂をあとにした。

 周囲を見渡しながら、誰にも見られていないことを確認する。

 ──もう少しで、外へ出れる……

 と思った僕に、声をかける者が背後から現れた。

「どこにいくつもり?」

 アーチェリー場で絡んできたギャル、松本美優さんだった。
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