【完結】人前で話せない陰キャな僕がVtuberを始めた結果、クラスにいる国民的美少女のアイドルにガチ恋されてた件

中島健一

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第164話 あーん

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~織原朔真視点~

「え~!?新界さんとルブタンさんとVユニの人がいるぅ~!!?」

 僕はカミカさんと伊角恋いすみれんさんを校門から校内へと案内する道すがらにさっきあった出来事を報告した。

「Vユニの誰?」

 れんさんが訊いてきたので答えた。

「東堂キリカさんと橘零夏たちばなれいかさんです。会ったことありますか?」

 カミカさんとれんさんは首を横に振る。恋さんはコラボはしたことあるようだが、実際に会ったことはないとのことだ。

「ちなみに新界さんともルブタンさんとも会ったことないから、まぁ大丈夫でしょ?」

 カミカさんは心配しなくて良いと言うが、僕は楽観視できなかった。

 会ったことないとは言うが、僕はなるべくあの4人組と会わないように努めながら校内を案内する。

「っへぇ~!!」

 飾り付けや模擬店の多さに驚くカミカさんとれんさん。

「私達の頃はネットにまだまだこういう系のノウハウとかアイディアが乗ってなかったから皆似たり寄ったりの装飾だったよね?」

「確かに…あ!これ美味しそう」

 れんさんは文化祭のパンフレットを見ながら、2年A組、僕らの模擬店を指差す。

「そ、そこは……」

 ん?と顔を近付けてカミカさんは僕に先を促す。

「ぼ、僕のクラスの模擬店で……」

「へぇ~じゃあ行こうよ?」

 歩きながら僕のクラスに向かっている。

「い、いや僕はその…本当に陰キャなので年上の女性を2人も連れてきたりしたら、何を噂されるかわかんなくて…その……」

「え~?良いじゃん♪入っちゃうよ~?」

 カミカさんは僕の教室に入っていった。

──────────────────────────────────────────────────

~松本美優視点~

 思った以上にお客さんが来たし、反応も良い。初めはてんやわんやしていたクラスメイトだが、次第に慣れ始める。

 織原も皆と上手くやれているようだが、その織原が知り合いが来るからと言って、教室から出ていった。

 一体どんな知り合いなのか気になる。

 昨日問い詰めたが妹ちゃんとその友達が来ると言っていた。

 ──だとしたら中学生か?私としては妹ちゃんに挨拶したいし……

 それにしても17時30分に打ち上げられる花火を織原と一緒になんとかして見たい。

 ──そして告白を……

 と思ったのだが一ノ瀬に邪魔された。あの女もきっと、花火を見ながら告白すると永遠に結ばれるって学校の七不思議を知っているんだ。そうはさせない。

 ──この前、告白の邪魔をされたんだ。私だって邪魔してやる……

 そんなことを考えながら、タピ焼きを作り続けた。お客さんの列も次第に切れ始め、落ち着いた時間帯ができそうだ。

 そう思ったその時、教室に新たなお客さんが入ってきた。女子大生のような清楚な出で立ちの女性と凛とした佇まいのショートカットの女性?一瞬男性かと思ったがたぶん女性だ。その後ろから織原が慌てた様子で私達とその2人の女の人達を交互に見ている。

「え~!美味しそうだよ!?」

 先程清楚だと思った女性は、思ったよりも親しみやすい印象に変わった。長い金髪を振り撒いて、後ろにいる織原に言った。

「あ、ありがとうございます……」

 織原は下を向いて照れ臭そうにお礼を言った。

 ──は?妹の友達ってこの人達のこと?全っ然年上じゃねぇか!!

 私は織原の連れてきたおばさん達を睨み付けた。タピ焼きを作っているみんなも織原の連れてきた人達に驚いている。ビッチそうな金髪の女はまだ織原に何か言っている。織原はまた照れ臭そうにしていた。

 ──なに?鼻の下伸ばしちゃって……私にもそういう顔してよ……

 寂しさが押し寄せる最中、ショートカットで無愛想なもう1人の女が近付いてきた。そして注文をする。

「これ、3つちょうだい?」

 女性にしては低い声だ。受付担当の女の子、千智ちさとはその女のことを目を丸くして見ている。回した後ろ手をきつく握り始め、顔を赤らめた。

「はい……」

 千智ちさとの両隣にいる女の子2人の佳世かよ敏子としこは静かにキャーキャー騒いでいた。

 そして佳世かよ敏子としこが私の耳元で囁く。

「何あの人達?織原君の知り合い?」
「あの人ちょーかっこよくない?」

「さーね。それより早く品物、準備しよ」

 お金を支払ったその中性的な顔の女は3つのタピ焼きを両手で包むようにして持って、1つをビッチの女に渡して、もう1つを織原に渡そうとする。織原は自分はいらないと断るとその女は言った。

「ミカ?」

 ミカとはビッチのことだった。ビッチはイエッサーとふざけた調子で、織原の背後に回ると織原を羽交はがい締めにする。抵抗する織原に中性的な顔の女が「あーん」と言って、タピ焼きの1つを織原の口に入れた。

 キャーと騒ぐ女子達。

 この時私は殺意を抱いた。

 ──私だってまだあーんしてないのに!!

 織原はタピ焼きを頬張りながら言う。

「わ、わかりましたよ!受け取れば良いんでしょ?受け取れば……」

 織原はカップを受け取り、私の方へとやって来る。

「ご、ごめん松本さん……あの人達をもう少しだけ案内するから…30分だけ出て良い?」

「勝手にすれば?」

「……お、怒ってる?」

「ほら?待ってるよあの人達?」

「う、うん……」

 織原は廊下を出ていった。

 私は込み上げる嫉妬の炎を使ってたこ焼き器に入っている生地を焼きまくった。
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