【完結】人前で話せない陰キャな僕がVtuberを始めた結果、クラスにいる国民的美少女のアイドルにガチ恋されてた件

中島健一

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第166話 青騎士

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~薙鬼流ひなみ視点~

 文化祭が始まった。私のクラスはメイド喫茶をやる。メイドの衣装を身に纏い、他クラスの友達が私を見にやって来てくれた。

「おかえりなさいませぇ~お嬢様♡」
「萌え萌えキュン♡」
「美味しくな~っれ♪」

 Vチューバーではなく、メイド喫茶で働くのもありだと思った。ノリノリでやっている私だがしかし、内心イラついてもいた。文化祭に誘った『ブルーナイツ』の先輩達がことごとく遅刻しているからだ。

 ──あの社会不適合者どもが……

 同期のパウラとエミルは学校の最寄り駅に来ているらしいが、2期生の鷲見先輩とマリア先輩と吹亜ふきあレレ先輩と来茉蘭くるまらん先輩が遅れているようだ。

 ──早いとこ先輩と同期達を迎えに行くのを言い訳に、このメイド姿をエド先輩に見てもらってアピールしたいのに……

慶子けいこちゃん、まだ大丈夫なの?」

 クラスの友達が私に言った。

「大丈夫大丈夫!なんか来るの遅れてるみたいでまだ手伝えるから」

 そう言ってから約1時間後、ようやく先輩達が揃ったようだ。私は目論み通りメイド姿のまま、先輩と同期を迎えに校門まで行くと、そこには様々な格好をしたブルメン(ブルーナイツのメンバー)達が待っていた。

 女子高の制服を着こんだパウラに、秋らしい軽やかなベージュのコートを着たエミル。青いジャケットに白いロングスカートを合わせた2期生の霧声麻未先輩。フリルブラウスにスカートを合わせた地雷系ファッションに身を包んだ1期生の来茉蘭くるまらん先輩、黒のインナーに格子柄のオーバーオールドレスを着た2期生の鷲見カンナ先輩。ここまでは良い。だけど3期生のマリア先輩と4期生の吹亜ふきあレレ先輩。お前らはダメだ。

「なんすかそのファッションは!?」

「え?」
「ん?」

 私はマリア先輩を指差して指摘する。他のブルメンは苦笑いをしている。既にツッコまれた後なんだろうが、私は見過ごせなかった。

「ゆるゆるの紫パーカーになんですかそれ?アルパカ?パジャマかよ!?」

 アルパカが描かれている紫パーカーを着たマリア先輩は言い返す。

「ち、違うもん。これはお洋服として売ってたヤツだし……マリア的に色々考えてコーデしたんだしぃ……」

 マリア先輩がアニメのキャラクターのような声で反論してきた。

「それで遅れたんか!?あん?遅れて悩んだ末にそんな小学生みたいな格好してきたんか?」

「ぴえ~ん…後輩が虐めてくるよぉ……」

 両手を目に添えて泣くフリをするマリア先輩にブルメン一堂は笑った。その笑ったメンバーの中にはレレ先輩も含まれていた。私はレレ先輩にも言った。

「おめーもだよ!なんだそれ?どんな神経したらモコモコのプルオーバーとスウェット合わせて後輩の文化祭にやって来れんだよ!?」

 レレ先輩は、何を~?とほっぺを膨らませながら私に詰め寄ってプルオーバーのトップスの裾を広げて自分の着ているブランドを見せ付けて言い放つ。

「でもほら見て!ジェラピケだよ!?靴もGUCCIだし!!」

「合わなさすぎだろ!謝れ!ジェラピケさんとGUCCIさんに!!」

「そ、そんなに言わなくたって……ごめんね裕三……」

「そのグッチじゃねぇよ!!」

「ひ、ひなみちゃんだって何その格好?メイドですかぁ?」

「こちとらおめーらみてぇな自前じゃねぇんだよ!!メイド喫茶やってんの!!」

 すると蘭先輩が言った。

「え~行こうよぉ!」

「ん~、でも私が戻ったらまた仕事しなきゃいけないんで、一旦このまま違うところを回って、最後に私のクラスまで行きましょう?」

「いいよ~」

 私はブルーナイツの先輩と同期を引き連れて3年生の校舎へ向かった。その道中焼きそばやクレープ、パンケーキ等の露店に寄り道しながら3年生の校舎に入ると、悲鳴が聞こえた。

 慌ただしく廊下へ出る男女の2人、それから少ししてもう1人ボーイッシュな女性が姿を現す。どうやら3年生のお化け屋敷に入っていたらしく、先に出た男女は驚かされ、廊下にうつ伏せの状態で転んでしまったみたいだ。

「ねぇ?あれ怖そうじゃない?」

 蘭先輩が面白がるように言ったが、レレ先輩がそれを拒絶する。

「絶対入りたくないですよぉ!!」

 え~?と一連のやり取りを私の背後でしているが、私は前にいる男女を見逃さなかった。エド先輩と、

 ──は?誰?あの女?

 長い金髪を振り撒く女はエド先輩の手に掴まり立ち上がり、エド先輩と仲良さそうに話している。気付けば私は『ブルーナイツ』のメンバーを置いて、エド先輩に向かって走っていた。

「せんぱ~~い!!」

 先輩は私に気付き、正面を向いた。そして私は先輩の細い胴体に抱き付き、そのまま押し倒す。

 私の方がエド先輩と仲が良い。それを見せ付けるようにして先輩の上にのしかかった。

「先輩!誰ですかこのおばさん達?」

 私の言葉に反応した金髪の女は不平を吹き出すように言った。

「おばっ!?」

 その女の反応に軽い快感を抱いた私だが、その背後からトテトテと駆けてくる足音が聞こえてきた。そしてその足音を立てる張本人のパウラが私の下敷きになっているエド先輩に声をかけた。

「大丈夫ですかぁ?」

 いつもならエド先輩は私に文句の1つを言うはずなのだが、今回は私やおばさんにこの状況をどう説明しようかと悩んでいるようだった。しかし、パウラの一言で顔色が変わる。

「ぇっ?」

 と声を漏らした。恐らく今の一言でパウラの正体に気付いたのだろう。そして続々と私の後ろから先輩方がやって来る。

「なに?あんたの好きな人?」
「いつもこんなことやってんのかよ!?」
「これだから陽キャは……」
「いーなぁ……」

 鷲見先輩が私の両脇に手を入れて、ヒョイと持ち上げた。そしてパウラがエド先輩の手をとって立ち上がらせる。

 鷲見先輩はエド先輩と2人のおばさんに礼をしながら言った。

「どうもすみませんでした、うちの子が……」

 すると、2人のおばさんは口元に手を当てながら言った。仕草もおばさんだ。

「カンナちゃん!?」

 私は耳を疑った。

 ──え?バレた?

 すると今度は鷲見さんが言った。

「え、カミカさんにれんさん?」

 3人は私とエド先輩をおいて抱き合った。

「久し振りぃ~!!」
「え~元気だった?」
「1年振りくらい?」

 私は呆けるエド先輩と後ろにいるブルメン達を見やると、一番先輩の蘭先輩もその輪に加わり始めた。他のブルメン達がその光景を見て口々に言っていた。

「今、カミカさんって言った?」
「ラバラブの?」
「マジィ?」
「……」

 戸惑う私達に蘭先輩が言った。

「みんな!こちらがカミカちゃんで、こっちのスッとしたのが恋さんだよ」

「「「「え~~~!!!」」」」

 廊下に今度は私達の悲鳴がこだました。
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