称号チートで異世界ハッピーライフ!~お願いしたスキルよりも女神様からもらった称号がチートすぎて無双状態です~

しらかめこう

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第三章 王都誘拐事件編

第50話 白銀の魔女

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「......っん」


白銀の髪をした少女は不快な感覚によって意識を取り戻す。
ゆっくりと目を開くと目の前には石レンガで出来た床が視界に広がっていた。

暗くてはっきりとは見えないが薄っすらと鉄格子のようなものが見える。それに立ち上がろうと体を動かしてみると手足を縛られていて思うように動くことが出来なかった。


少女はこのような異常事態に頭が混乱し、自分の身に何が起こったのか理解が出来なかった。普通だったらこのままパニックに陥ってしまい泣き叫ぶか何かしてしまうだろう。



しかし、その少女は違った。

呼吸を整えて頭をいったん整理し、落ち着きを取り戻していったのだ。
さすがは公爵令嬢、いや彼女が特別冷静なのだろうか。


少女は必死に自身の記憶を遡って何があったか思い出そうとする。
最後の記憶は王都で開かれた建国祭前の歓迎パーティに出席していたところだ。

そして執事のリチャードと共に庭園へと向かって、それから...


「一体何が...」


少女の記憶はそこで終わっていた。
そのあとは現在の状況から推測するしかできない。

鉄格子に手足の拘束、現在の少女は明らかに監禁状態である。
そこから考えられるのは...誘拐だろう。


公爵令嬢を誘拐した犯人の目的として考えられるのは、身代金だろうか。
あるいは何らかの権力争いに巻き込まれてしまったのだろうか。

それなら第二公爵令嬢の彼女ではなく、彼女の姉や兄の方がいいだろう。
他の貴族は誰もセレナと関わろうと思わないのだから。

他に可能性があるとすれば...


「もしかして、私の魔眼...」

「その通りですよ」


突然、少女以外に誰もいなかったはずの場所に他の人物の声が響く。
驚いた少女はすぐに顔を持ち上げて声の聞こえてきた方向へと視線を向けた。

すると鉄格子の向こう側に先ほどまでいなかった神父服を着た男が立っていた。神父服と言ってもこの人物が着ているのは黒く、どこか不気味さを漂わせるものであった。


「あ、あなたは誰ですか?!それにここは一体...」

「おっと、これは失礼しました。私はジェラ、マモン教の司祭を務めております。そしてここはマモン教の地下教会になります、セレナ公爵令嬢」

「マモン教...?」


セレナは目の前にいる自らをマモン教の司祭だと名乗る男をじっくりと観察する。
すると観察するにつれて少女の顔色は何故かどんどんと青ざめていったのである。


「あ、あなたもしかして邪神教の...」

「ふむ、その呼び方はやめて頂きたいものですね。我々が崇めるマモン様はあなた方には想像もつかないほどの崇高な存在なのだから。あなた方が信仰する女神イリスとは格が違うのだよ」


ジェラは自慢げに自らが崇める神について話す。
その様子を見ていたセレナはその男から狂気じみた気配を感じていた。


「あ、あなたは何が目的なのですか?!私の魔眼で何をしようと...」

「ふっふっふ、そう慌てないでくださいセレナ様。いや『白銀の魔女』様とお呼びした方がいいですかね」

「っ?!」


そう言い直したジェラは不気味な笑みを浮かべた。


『白銀の魔女』それは彼女、セレナ・ロードウィズダムにつけられた二つ名である。
二つ名と言えば聞こえはいいが、実際のところは蔑称という方が適切であろう。

生まれながらにして持っていたモノの本質を見通すことができる『真性の魔眼』、そして彼女の特異なその白銀の髪を他の貴族たちが忌み嫌って密かに呼ばれ始めた名であった。そう、彼女はロードウィズダム家以外の人間からは忌み子として扱われていたのである。

しかし幸いなことにロードウィズダム家の者たちだけはそんなことを気にすることなく多大な愛情を注いでいた。他から疎まれている分さらに可愛がられて育てられたのだ。

それもあってセレナは家の者以外に対しては一種のトラウマのようなものを持っていた。特に『白銀の魔女』という呼び名に関してはより過敏に反応を示してしまうのである。


「おっと、これは失礼。そういえばその名はお嫌いでしたね」

「...」


セレナは心に湧いてきていた恐怖という感情を必死に押さえつけようとしていた。ここで恐怖に呑み込まれてしまえば相手の思うつぼであることは理解していた。


「それにしても本当に酷いものですよね。他の貴族の連中はあなたのその魔眼の価値に気づかずにそうやって蔑むんですから。あなたの執事もそのことについて嘆いていましたね」

「...な、なんでリチャードのことを?!」

「あれ、覚えていないんですか?あなたを眠らせて私たちに引き渡してくれたのは、他でもないその執事ですよ」

「え...」


セレナは衝撃の事実を聞かされて放心状態となってしまった。
ロードウィズダム家の者だけは自分を守ってくれる、そう信じていた...

しかし信頼していた者に裏切られたかもしれない、そう考えただけで彼女の心は激しく動揺していた。


「おっと、想定していたよりも脆いですね」

「...う、嘘です!そんなことあるはずがありません!!」

「まあ、別にあなたがそれを信じなくともこちらとしてはどうでもいいことです。真性の魔眼と依り代を手に入れた、そのことだけでこちらとしては十分なのです」


薄暗い牢屋にジェラの「クックック」という気味悪い笑い声が響き渡る。
そしてセレナの様子を一瞥すると牢屋の前からどこかへと去っていった。


どうしてこんなことになってしまったのか。
私はこれからどうなってしまうのだろうか。


少女は折れそうな心を必死に繋ぎ止めながら絶望と必死に戦っていた。
自分の人生というのはこうなってしまう運命なのだろうか...

そんなことが頭に浮かぶも必死に振り払おうとする。


けれどもしかしたら、こんな自分にもまだ希望はあるかもしれない。
そう信じたい...いや、信じる以外に彼女はすでに自分を守る術はなかったのだ。


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