とある遊女の想い出話

格差

さすがに遊郭に拾われただけ
あってあっしは優遇された生活を
しておった。

美味しいご飯を3食食べて
毎日芸事と勉学に励みもうした。


じぃの反対を押し切って
あっしは男を取り始めた。

そこで、あっしは現実というものを
思い知った。

聞いとる世界とはちゃう。

それは充分覚悟しとった
つもりやった。

ただ、どうしてこうも
男の欲というものは
ねっとりと纏わりつくのやろか。

虚無感と喪失感に
苛まされながらあっしは
笑顔で男とつかの間の逢瀬を
楽しんだ。

そして、扱いがまるで違う
遊女も居ると聞いていたが
ここまで酷いと思わなんだ。

衛生環境はまだしも、
栄養状態がすこぶる悪く
亡くなっていく遊女もおった。

あっしの世界の狭さで
目の前の壁がガラガラと
崩れ落ちた16の夜でありんした。

いつか、この鳥籠から
解き放てるおなごにならな。

心を固く固く、決めたでありんす。