上 下
10 / 10

身請け

しおりを挟む
馴染みの打診を断った際に
身請けの打診があったでやんす。

それは菊五郎から、、、、、、、、、。

「謹んでお受けさせて
頂きます。しかし楼主殿、なぜ
許し申したんです?」

「遊郭をとんでもない
値段で買い取る、とな。
あん歳でこんな値を出せるヤツも
そうそうおらん。」

そこに書かれていた
値段は、、、、、、、、、。

国が1つ買えてしまいそうな
値段やった。

「あん人の職業は、、、、、、、、、?」

「西洋上がりの貿易商やと。
日本人の母親と北欧のオトコの
由緒ある家庭じゃ。」

思わず息を飲んだ。

こんな日が、来るなんてな。

籠の中の鳥が大海原に
飛びだとうとは。

そろそろあん人が迎えにくる。

5年過ごしたこの店で
感慨に浸っていたら
愛おしいあん人のお声がした。

「お花。」

「はーい。」

幸せいっぱいの笑顔を浮かべて
店を後にした。

綺麗な桜吹雪が舞っている。

fin.
しおりを挟む

この作品の感想を投稿する


処理中です...