俺が侯爵令嬢として愛を知るまで

彼名

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第1章

8.瞳の色

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気がつけば首をコテンと傾けていたのだろう。?マークを頭に浮かべる俺にお兄様に何してるんだ?的な目で見られているのに気づいた。

「ねぇ、お兄様。お兄様の瞳って変わってらっしゃるのね。さっき光のせいかしら、ブルーグレイだったのが一瞬エメラルドに見えた気がするのです」

おずおずと素直に聞いてみる。瞳の色が変わることなんて、有りえるのだろうか?

「これは母上のを受け継いだのだ。母上は隣国のフォンフィス神聖国の王族の血を引いていてな、フォンフィス国の王族の瞳はブルーグレイで光の具合いでエメラルドにも見える。その変わった特徴の瞳を国民は神の遣いだと信じている。その証拠に王族は魔力が強いことが多い」

お兄様がスッと手を上に広げたと思ったら、白くまばゆい光の球が現れた。ふよふよとお兄様の手の上に浮かぶ光の球は、小さくてもとても強いと分かる何かがあった。

あれが魔法、この世界にも存在しているのか!剣に魔法に夢が溢れているなこの世界!俺にも少しぐらい魔力はあるだろうか?食い入るように光の球を見る。

「ユーナが三歳の時に母上は亡くなった。だから母上のことはあまり覚えていないだろう。知らないのは無理はない。父上も母上を溺愛されていただけに、今でも母上を思い出すのは辛いようだしな」

私も少ししか覚えてはいないのだがな。とポツリと呟くお兄様は寂しそうに光の球を消した。

「お母様がフォンフィス国の王族…知りませんでしたわ。ねぇ、お兄様!私はお兄様みたいな綺麗な瞳ではないのだけど、私にも魔法って使えるのかしら?」

期待に腰を半分浮かせ、お兄様の方へ身を乗り出していた。そんな俺の姿を見て、お兄様は目をこれでもか!というほどに大きく開き、驚いた顔をしていた。

もしかして、俺には魔力が一切無いのだろうか?と、落ち込む俺にたどたどしい声がした。

「…私の瞳が…綺麗?本当に…そう思うのか?ユーナ」

「お兄様の瞳は綺麗ですわ。ずっと見ていても飽きないくらいに不思議だし、色が変わる宝石のようでとても好きですわ」

ブルーグレイだったり、エメラルドだったりキラキラして色が変わる様は見ていてとても楽しい。しかも、お兄様の瞳は吸い込まれそうなほどに綺麗な色をしている。素直に好きだと伝えると、お兄様が今度は不安そうな瞳で何かを期待しているような諦めているような複雑な表情をしていた。

「フォンフィス国ではこの瞳は神の遣いだと崇拝されるが、この国では…忌避される。普通は瞳の色が変わることはない。気持ち悪い、化物と罵る奴らもいる。ユーナは…本当に気持ち悪くはないのか?」

「この国の人は損をしていますわね。こんなにも綺麗な瞳を独占したいと思わないのかしら?気持ち悪いなんてないですわ。お兄様が化物のはずがありません、だって妹の私を心配してくれる優しい人ですわ」

ニコニコと笑って見つめると、お兄様の瞳から涙がこぼれた。その様子にマーサや執事長が驚いた顔をして固まってしまった。俺が泣かせちゃった?!え、どうしよう!

「ねぇ、お兄様。だから自分のことを嫌いにならいで下さい。お兄様が少しでも自信が持てるように、何度でも私はお兄様が好きだと言いますわ。ねぇ、お兄様。嫌なことばかり考えても毎日つまらないですわ。どうせなら幸せなことを考えて、毎日ポジティブに生きた方が楽しいですわよ!ね?」

あたふたと、手を振って必死に伝えてみるも、更に泣き初めてしまった。声を殺して、静かに泣く大人の男の人がこんなにも美しいとは思わなかった。まるで一枚の絵のようだ。

いやいや、男に対して綺麗って誉め言葉なのか?んー、と悩む俺にお兄様が涙を拭いて優しい顔で声をかけてきた。

「ユーナは変わったな。そうだよな、嫌なことばかり考えても辛いだけだよな。私自身がまず自分のことを好きならないといけない。まさか、私の瞳を見て話すことすら出来なかったユーナに励まされるとはな。俺も騎士団団長なんてやってるのにまだまだだな」

「誰でも完璧になんてできませんわお兄様。一歩を踏み出せるかどうかの差ですのよきっと。私も成長しますのよ?お兄様、大好きですわ」

二人で笑いながら、運ばれてきた朝食を食べた。ふんわりしたパンとコーンスープは美味しくておかわりを三回もしてしまってお兄様にビックリされた。
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