俺が侯爵令嬢として愛を知るまで

彼名

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第4章

26.お姫様抱っこの婚約者

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「あの、ライオス殿下…?とてつもなく目立ってしまっておりますので、そろそろ下ろして頂けないでしょうか」

あのままライオス殿下との言い争いは平行線のままで、ユーナはお姫様抱っこをされたまま専門棟から教室棟まで移動をしていた。

必然と廊下にいる人が多くなり、ライオス殿下にお姫様抱っこをされて歩くユーナは注目の的であった。みんなは一瞬、ライオス殿下に抱かれている男は誰だと目を見張り、それがユーナだと知り二度驚いていた。

髪を短くして初めて人前に出たのだ。誰もユーナが男のような髪型にしているなど夢にも思わないだろう。そして、レオン殿下と仲の悪いと有名なライオス殿下に抱かれているなど、誰が想像できるだろうか。

二人を一目見ようと人だかりができていく。令嬢たちは顔を赤らめている者もいれば、ユーナを睨み付けている者もいる。不機嫌そうで近寄りづらいライオス殿下にも隠れファンが多いようだ。そして、男達は何やら悔しそうに羨望の眼差しを向ける者もいた。

様々な視線に晒されてもなお、平然と進むライオス殿下。チキンなハートの俺とは違い、さすが王族なだけあり、余裕の表情でライオス殿下は話しかけてきた。

「恥ずかしいのか。大勢の者に見られることなど慣れているだろ?いずれ王族になるならば、平然とした顔をしていろ」

「そもそも、ライオス殿下が下ろして下されば良いのですよ?!私も歩けますので、普通に教室にご案内して下されば良いのです!」

まともなことを言っているが、下ろしさえすれば解決することなのに話しをそらされることに苛立ちを感じ始めていたユーナの声は荒くなる。

「俺がお前を抱いていたいから運ぶんだ。下ろさないからな」

と、子供のように駄々をこねてユーナを離さないライオス殿下。そんな独占欲のような言葉に嬉しく感じる自分がいた。人に必要とされることが、こんなにも心がホッコリするとは思わなかった。

二人の行く道を譲るように人垣が割れいく。このまま、この温かい腕の中にいるのも良いかもしれない。そう思い始めていた時、前方から騒がしい気配がした。

「何をしているんだライオス!」

戸惑いと苛立ちの混ざった、良く通る声で叫ぶレオン殿下が人混みから飛び出してきた。息を切らし、走ってきたことが伺えた。これだけ多くの人に見られたのだ。婚約者のレオン殿下の耳に入らない方がおかしいか。それでも、頭の中が男爵令嬢で一色なはずなのに、婚約者が弟に抱かれていると聞いて飛んできてくれるくらいには思ってくれているのだろうか。

そう考えている間にも、レオン殿下は距離を詰めて来ていて、今にも射殺さんばかりにライオス殿下を睨み付けていた。
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