俺が侯爵令嬢として愛を知るまで

彼名

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第4章

27.二人の殿下

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「ライオス、人の婚約者を人前で堂々と手を出しているとはどういうことかな?今すぐにユーナを下ろしてくれないか?」

ざわつく廊下にコツコツと鳴る足音がよく聞こえた。まるでレオン殿下の心情を表しているようで、ユーナは知らずライオス殿下の服を握り締めていた。

「何をそんなに怒ってるんです、兄上。常々ユーナのことを悪く言って、想い人のリリスさんでしたか?その人のことばかり考えている兄上がどうして婚約者面をするんだ。邪魔な婚約者のことなど放っておけば良いだろ」

場にそぐわない軽い調子で答えていたライオス殿下だったが、語尾に段々と苛立ちが滲んでいた。その間もユーナを抱く腕の力は弱めず、反対に離さないとばかりに強く抱き締めた。その様子を見ていたレオン殿下は微かに笑う。

「…なんだ、ライオス。僕はユーナを放せと言ったのに何故放さないんだい?君は女には興味が無いものとばかり思っていたが、もしかしてユーナのことを好きになったのか。ユーナは僕の婚約者であって君のモノではない。僕がユーナをどのように思っていたとしても、ライオスには関係ないことだ。返してくれないかな」

人を魅了する笑みを浮かべて手を伸ばすレオン殿下。今朝とは違って迷いが無い雰囲気が漂っていた。

「そうだな。女には興味がなかったんだが、ユーナは面白いな。とても興味深いよ。だから兄上、ユーナを俺にくれない?」

「物好きなヤツだな。俺ではなく父上に頼んでみてはどうだ。俺からはユーナをあげるつもりはない。そろそろ下ろしたらどうだい?」

ユーナには全く興味がなかったレオン殿下が、弟のライオス殿下に取られることが面白く思わないのか、ユーナをあげるつもりはないと宣言してしまった。

ユーナとしては無関心な婚約者のレオンよりも、寄り添って不器用ながらも話しを聞いてくれるライオスの方がよほど好感を持てる。恋愛的な意味では多分好きになることはないが。

しかし、当の本人を目の前にして好き勝手言い合う二人の殿下にユーナはムッとしてしまう。

ライオスの腕を振りほどき、ユーナは無理矢理地面に降り立った。

その突然の行動に、灼熱していた二人も言い争いを止めてユーナの動向を伺う。

「お二人とも、私の意見も聞かずに何を言い争っていますの。ハッキリと言って、私はレオン様でもライオス殿下のモノでもありませんわ。私は誰とも結婚するつもりはありませんので、婚約者など必要ありませんわ」

フフッと笑って二人を見れば、二人ともポカンと口を開けて固まっていた。

「何を驚いていらっしゃいますの。レオン様にも今朝言ったではありませんか。結婚など真っ平ゴメンだと。ライオス殿下も、先程私は男になりたいと打ち明けたではないですか」

「いや、お前ッ!男になりたいとは聞いたが、結婚もしないつもりなのか!?」

いち早く現実に戻ってきたライオス殿下がユーナに聞き返してくる。
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