異世界からの花嫁(異種族姦ハーレム)

やくも

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12.イトナのお願い

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 起きたら眼前に裸のルーがいた。
ってのは昨日と同じだけど、唯一違うのは今度は俺も裸だということ。
 昨夜の情事を思い出し、一気に顔が熱くなる。どうやらあのまま寝てしまったらしい。

 そういえば今までゆっくり見ることがなかったので、この機会にルーの顔をじっくり鑑賞することにする。

 浅黒い肌はとてもセクシーで、整った彫りの深い顔立ち、通った鼻筋に薄い唇。開けると大きな口。深い赤色の髪は肩に付くか付かないかまで伸びて、毛先がゆるくカールしている。くせっ毛なのかもしれない。
金色の目は今にも射抜かれそうな強い……

目?

「どうやら昨夜は物足りなかったようだな」
「なっんっふ」

 頭を押さえつけられ、噛みつかれるようにキスをされる。

「ぅんっんー!!ふぁっんっ……おっ起きてたのか」

 ようやく口を離し、厚い胸板を突っぱねる。

「あんだけ視線感じりゃ誰だって起きるだろうよ」

 ルーはそのまま欠伸をして起き上がる。うっ股間が目に入る。お、大きいな……!!あれ?そういえば服は?

「ルー昨日服着てなかった?なんで脱いでるんだよ」
「俺は寝る時はいつも裸だ」

 海外セレブかよ!寝巻きはシャネルの5番ですってか?
 ルーのお尻にもう尻尾がないのをすこし寂しく思いながら、俺も起き上がる。

「一緒に風呂入ってやろうか?優希」

 いつものように揶揄う言葉に「1人で入る!」と言い返し、さっさと風呂に向かう。
 ルーからはシャンプーの匂いがしていたから昨夜のうちに済ませてたんだろう。

 お尻の違和感を考えないことにしてシャワーを済ませ、新しく出してくれていたパンツとチュニックとジーンズを身につけリビングに向かう。絶対自分が着ない服を着せてるだろ昨日から。

 今日は卵の乗ったトーストを頬張りながら、本日の予定を尋ねられる。

「今日は梨花の日記を開けたいな。手当り次第数字嵌めてみたけどダメみたいで、ちょっと嫌だけどイトナに心当たりでも聞きに行こうかな」
「ほう、梨花は日記なんて付けてたのか」
「やっぱりルーも知らないか……。あっあと!ご飯を食べるスペースがないのは問題だと思う」
「あん?」
「リビングに置くテーブルと椅子を買おう」

 このだだっ広いリビングに何も無いのはさすがに寂しい。しばらくお世話になる身としてもテーブルと椅子くらいはあった方が助かる。

「そうだな……分かった。優希が出てるうちに適当に買っておこう」
「ん、ありがとう」

 そう言うと頭をわしゃわしゃと撫でられた。自分は昨日あんなに嫌がったくせに!仕返しか!?まあ俺はそこまで嫌じゃないけど!
 ルーを見ると満足気に笑っていたので何も言わないでおく。別に昨日怒らせたのが怖かったわけじゃない。決してない。



 ルーから予備のカードキーを預かり、早速日記を持ってイトナの部屋の階に向かう。
 部屋の扉をドンドン叩くと、しばらくして陰鬱そうな表情のイトナが出てきた。そして俺の姿を見て表情を一変させた。

「優希!!来てくれたんだね!上がって上がって!」

 こいつの部屋に上がるのは少し怖いけど……。今回は頼み事をしに来た側だ。仕方がない。



「実は梨花の日記のことで聞きたいことがあって来た」
「日記……?ああ、なんか書いてるの見たことあるような」

 問答無用でリビングの椅子に座らされ、イトナはウサギとカラフルな卵が書かれたファンシーなポッドから紅茶を淹れながら生返事をする。

「本当か!?実はその、日記に鍵がかかってて。数字4文字なんだけど心当たりがあったりしないか?」

 少し考える素振りを見せ、ああ、となんでもないことのように言う。

「じゃあ4006。それか4060かも?」

 あっさり答えるイトナに半信半疑ながら日記の数字を当ててみる。

 答えは4006。あっさり開いた。

「えっ!?なんで分かったんだ!?誕生日でもなんでもないのに。それかイトナの特別な数字?」
「んーん、ひらがなで『り』が40番目、『か』が6番目だから。梨花は日にちとか数字とか、そんな何かに特別な意味を持つような考え方しないと思うし、自分の名前だって記号みたいに捉えてたんじゃないかなーって」

 そうだっただろうか。誰よりも優しくて、なんでも受け止めてくれたあの姉が、そんな冷めた考えた方をする人だっただろうか。もしかしたらこの3年の間に変わってしまった……?

 弟の俺より梨花のことを理解している口ぶりに、なんだか落ち込んでしまう。やっぱり付き合ってたんだろうな、この2人。

 ともあれ日記の鍵の謎は解けた。あとはゆっくりできる所でじっくり内容を見たい。そうだ、また温室でも行こうかな。

「イトナ、ありがとうな!助かった!それじゃまた、」

 そう言って玄関の方に振り返った俺の眼前は、ドンッと勢いよく伸ばされた手で塞がれた。
 俺の背後は壁。恐る恐る顔を戻すと、いつの間にかとても近い距離にイトナの顔がある。

 人生初の壁ドンである。全然嬉しくない。

「ど……どうした、イトナ」
「せっかく来てくれたのにそんなに早く帰るなんて言わないでよ、寂しいじゃないか」

 イトナの笑ってるようで全く笑っていない黒目に、思わず鳥肌が立つ。

「でも、梨花が消えた理由とか、お前も知りたいだろ?」
「んー……そうでもないなあ。今は優希がいてくれるんでしょう?」

 こ、こいつ本当に梨花と付き合ってたのかよ!

「俺は知りたいんだ!分かったらそこどいてくれ!」

 イトナに力で叶わないのはもう分かりきっている。力いっぱい体を押すが、やはりぴくりとも動かない。少し情けなくなる。

「そーうだなー、じゃあ教えたお礼だけしてくれる?」
「お、お礼?」
「うん。僕はこんなに優希のこと好きなのに、優希は嫁にならないって言うでしょ。諦めるためにも最後にキスだけさせて。お願い」

 悲しそうな顔で迫ってくるイトナに、俺は意を決して頷く。

「キスだけ、だからな」

 今更キスくらい、もう濃いのを2人ともやってるし。初めてってわけじゃないし、いいか。

 ルーに散々「危機感がないガキだ」と言われていたことがすっかり頭から消え、俺は再び思い知ることになる。



 イトナには言葉が通じない。
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