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13.イトナの毒※R

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 何度か繰り返した触れるだけのキスが、次第に唇をこじ開けられて深まっていく。

 唾液が受け止めきれず顎を伝って垂れていく。
 チクッと何かが舌に当たった気がして、慌てて離れようとした頃にはもう全てが遅かった。

「んにゃ、ひゃ、ああ、」

 あっという間に体が弛緩し、崩れた体はイトナに受け止められる。

「にゃに、したんにゃ」
「ふふ、優希可愛い……。ただの蜘蛛の毒だよ。大丈夫、弱い毒だから危なくないよ。ただ気持ちよくなるだけだからね」

 全く力の入らない俺の体を、イトナは軽々とだき抱えて部屋を移動する。

 まずい。とてつもなくまずい。

 しかし俺の体は言うことを聞かず、警鐘を鳴らしていたはずの思考も段々と鈍っていくのを感じる。



 この世界に来た初日に寝た見覚えのある部屋。そうだここはイトナの寝室だ。あれ?おれはどうしてここで、ねて、いるん、だっけ……?

 さっき着たばかりのチュニックもジーンズもパンツも全て剥がされ、イトナは恍惚とした顔で俺の乳首にキスをしていた。やがてまたさっきのようにチクリと痛みが走る。
 かと思えば尋常ではないほどの痒みが走り、それでも先程から体が重たい俺はどうする事もできない。

「あっやらあっかゆい、かゆいー!」
「うん大丈夫、僕が痒いとこかいてあげる」

 そう言ってイトナはじくじくと熱を持つ乳首を丹念に舐めて転がす。
 次第に痒みは収まり、やがて言い様のない感覚が広まっていく。

「んっうあ、やら、なんかへん!たしゅけれっ」
「こんなにぷっくりしちゃって可愛い。あかーくなっちゃって可哀想だね。よしよし、気持ちいい?」

 膨張しきった2つの突起は、今まで見たことがないほど赤く大きく腫れていて、もう元に戻らないんじゃないかと僅かに恐怖を覚える。

「よくない!はなせ、も、キスらけっていったろにぃ」
「キスだけだよ。まだキスしかしてない。どこにキスするとは言ってないもん」
イトナがちろっと舌を出すと、舌の先には小さなトゲが見えた。
「次はどこにキスしよーうーかなー」
「やらあっ」

 力を振り絞りかろうじて動いた足をバタつかせると、イトナは「悪い足だ。切っちゃおうか?」と手から出した糸を太ももに括りつけて天井から吊るした。
 お尻を突き出す体勢になり、羞恥と恐怖でつい目を逸らしてしまう。

「次のキスはここにしよう」

 次にチクリと感じたのは、昨夜散々弄られた蕾だった。



「あっあっぁあーっ!は、んぅ」

 自分の喘ぎ声で意識が戻る。
 どれ程経ったのか、俺の閉じていた秘部はすでに指を3本飲み込んでトロトロになっているらしい。
 意識のないうちに触られたのだろう俺のモノは白濁の液を出し切っていて、腹に盛大に垂れ流していた。

「そろそろ僕のも入るかな。ようやく最後までできるね、優希」

 イトナは俺の足を吊るしていた糸を切り、服を脱ぎだす。

「もうはち切れそうだよ」

 俺の足を抱えて宛がったその凶悪なブツを見て、ようやく俺は覚醒した。

「やっ……!やめろ!やだ!イトナ離せ!」
「あ、起きちゃった。まあでも止められないし、ごめんね」
「やだやだ!ルー……ルー助けて!!」

 むっと拗ねた顔のイトナが長い髪を垂らして上にのしかかってくる。

「どうして優希は僕を見てくれないの!今から優希の初めてを奪うのは僕だって分かってる?」
「うう、お前なんか好きじゃない……!梨花姉ちゃんが好きなら俺に構うなよお……!」
「梨花も好きだけど、優希も好きだよ。梨花には愛してもらえなかったから。今度好きな人ができたら絶対愛してもらうまで離さないって決めてたんだ。最初は梨花に似てるからだったのに、変だね」
「愛して……もらえなかった?」
「いいからこっちに集中してよ」

 イトナは無理矢理俺の唇をこじ開けてまたあの訳が分からなくなる毒を流し込む。

「んむっ……うう、んうー!!ぷはっ」
「ふう、大丈夫。痛いことしないからね。好きだよ優希」

 そう言って、イトナは俺の体を貫いた。

「あっ……!は、はあっふ」

 指と違う、あからさまな圧迫感。痛みはないが内蔵を押し上げられる強烈な圧迫感に息ができない。

「息して優希。大丈夫怖くないよ」
「ふっふう、ふ、はあっ」

 自然と涙が溢れ、それをイトナが舐めとる。

「ゆっくり動くからね」

 内蔵が一緒に引き摺られるような、そんな怖さを感じてついイトナの背中にすがりつく。

「怖くないよ。一緒に気持ち良くなろうね優希」

 さっき散々弄り回されたポイントを中心に擦られて、自然と声が高くなる。

「あっ……あっやっ!あ、んん、ん、あっ」
「気持ちいい?優希、ちゃんと感じてる?」
「きもちっうあっはっ!きもちいいっ」

 内壁の不快感はなりを潜め、毒のせいもあってか体から余計な力が抜けて素直に快感を探ることができた。

「あっあっいいっ、あんっ!いとなっこわいぃ!」

 こんな快感知らない。奥の方から押し広げられるような、体の内側から生まれるような。

「ふふ、可愛い、ゆうき」

 そのまま快楽の波に身を任せ、そして俺は果てた。




 ふと目が覚めると湯船だった。

 まだトロトロとしたぼやけた感覚の中、誰かに背中を預け湯船に浮いているのは、先程とはまた違った快感でとても気持ちがいい。
 後ろの人物に頭をすり寄せると、ふふ、っと笑って愛おしそうに頭を撫でられた。

 これはダメになってしまう……。

 根性で微睡みから起き、後ろの人物に話しかける。

「梨花姉ちゃんに愛されなかったって、なんで」
「ええーまたその話?」
「いいから」

むう……と拗ねたような口ぶりでイトナは答えた。

「梨花はとっても優しい気配がしたから、僕達はみんな惹かれたんだ。愛に飢えてる獣ばっかりだからね。だけど、梨花は3年経っても誰にも心を開かなかった。優しくしてくれるけど、それだけ。結局僕の花嫁ってことになったのは半年前くらいだったかな?やっぱり相手を作らないとこの世界では花嫁は危険だから」

 そこまで言ってぎゅっと俺を抱きしめる。甘えるように、安心するように。

「花嫁の世代交代は50年毎で、僕ら年頃の男達から花嫁の相手になる種族が選出されるのは10年毎なんだ。梨花がもし10年早く、もしくは10年遅く来てたら僕は梨花にも、代わりに来てくれた優希にも出会えなかったんだよ。今考えると耐えられない。寂しくて死んじゃってたかもしれない」

 そういうシステムがあって花嫁は大切にされるのか。年頃とは被らなかった40年間の人達や、選出外の種族には花嫁は宛てがわれない。なんとも嫌な仕組みだ。

「梨花は、梨花はきっと誰のことも愛さない。たぶん何年経っても僕のことを愛さない。心も体も許してくれないし子供もずっと生まれない。でも優希は愛してくれる気がして、だから」

 抱きしめる力が強くなってきた。そろそろ痛いぞ、お前馬鹿力なんだから。

「お前が強行手段に出た訳は分かったよ。最悪な手段だったけどな。それにしてもあんまり人の姉ちゃんのこと悪く言うなよ。俺のことは愛してくれてたんだから」

 少なくとも3年前までは。

「優希、優希も僕のこと愛してくれないの?」

 微かな声で、死にそうな声で俺の肩に顔を埋めたイトナが言う。
 情緒不安定すぎるだろ、タッパはでかいくせに。

「やめろって言っても無理矢理されて、それで愛せなんて言われても正直分かんねえよ」

 肩の所で項垂れる気配がする。

「まあでも、俺のことすごく気遣ってくれたのは分かったし、ここまで愛されたこともなかったから……嬉しい感情はある。」
「……優希?」
「旦那とか相手とか花嫁とかよく分かんないけど、まあ、これからイトナのこと愛せるように努力するってことでいいか?」

「……いい。ありがとう」

 そう言ってグスグス泣き出すイトナ。なんだか調子乗ってやらかした大型犬を躾してる気分だ。いやこいつ蜘蛛だけど。

 大型犬、で思い出した。


 今何時だ!?やばい!またルーに怒られる!
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