楽しいスライム生活 ~お気楽スライムはスライム生を謳歌したい~

杜本

文字の大きさ
40 / 58
第二章

3.第二のストーカーとスライム

しおりを挟む
 この声、この髪、この服装! 間違いなく本人だ。
 昨日は後ろ姿しか見えなかったけど、『ダークエルフ』のお兄さんだったのかぁ。
 全体的に黒い見た目とクールな表情……まさにダーク! って感じだね。

「え、ニイムを買おうとした人?!」

「そうだ。もっとも、今回は譲り受けようと思って来たわけじゃないが」

 およ。俺は諦めないぜ的なことを言ってたけど、もう諦めたのかな。
 思ったよりもアッサリぽん。

「えーと、じゃあ今回はどのような用件で……?」

「パーティーに入れてくれ」

「……え?」

 ……え?

「お前達のパーティに俺も入れてくれ、と言ったんだ」

 ええーーー!

 や、やだなー! ボクやだなー!
 だって昨日は「売ってくれ」で、今日は「仲間に入れてくれ」だよ?
 ボクに対して並只なみただならぬ執着ってやつを感じるッ!
 これはボクの身が危ない予感ッ!!

「……志望理由は?」

「そこのスライムがいるからだ」

 とっても正直ぃ~!
 でも正直に言えば良いってもんじゃないよ?!

「クラスとレベルは?」

魔法騎士マジックナイト。レベル41だ」

「よんっ……上級職ハイクラス?!」

 クラスに就いて修行を積めば、クラスアップの試験が受けられる。
 受かれば晴れてハイクラスに就ける、というわけだけども……。

 ハイクラスに就ける人はそう多くない。試験が難しいからだ。
 それに、この黒いお兄さんはクリス達とそう変わらない年に見える。
 ダークエルフは人間より長生きだけど、若い内の見た目年齢は人間と一緒ぐらいだ。
 だからこんなに若いハイクラスは、かなり珍しいはず。

 レベルも十分に高いし……なんでそこまでして、このパーティーに?
 ボク? ボクを狙ってるんだよね?!

「俺達の平均レベルは12だ、釣り合わないよ。それに護衛費を出せるほど裕福でもないんだ。悪いが他のパーティーを……」

「護衛費などは不要だ。普通のメンバーとして入れてくれれば良い」

「……」

 あ、怪しい……怪しすぎる。
 どう考えても『報酬としてお前を貰っていくぞ!』のパターンじゃない?

 ボクががくぶるしていると、クリス達だけのヒソヒソ話が始まった。

「……どう思う?」
「ンなもん、めちゃくちゃ怪しいに決まってる」
「こ、怖い……です」
「でもさでもさ、すっごく強いじゃない! しかもタダだってさ!」
「だから怪しいんだろうが」
「明らかにニイム目当てだよなぁ……」
「隠す気も無いみてぇだな」
「ニ、ニイムは……ぼ、ぼくの……」
「でーじょーぶだって。無理やり奪う気なら昨日のうちにやってる」
「なんでわざわざパーティーに入りたがるんだろうか」
「買えないならパーティーに、ってことでしょ?」
「そんだけの理由であんな高レベルの奴がうちに来るかよ。美味い狩場にも行けないのに」
「どうしても荷物が減らせなくて、とか?」
「アホか、オメーじゃねぇんだぞ」
「でも率直だけど強引じゃない。悪い人じゃないんじゃないか?」
「そう、なん……ですか?」
「ヘンな奴には変わりないけどな」
「俺は……良いと思う。皆は?」
「まーいいけどよ」
「私も賛成! ……フェリ君は?」
「フェリ、嫌なら嫌って言っていいからな。気を遣わなくていいぞ」
「ぼくも……大丈夫、です。ニイムを、連れて行かないんだったら……」
「……そうか。よし、じゃあ決定だな」

 わー! 決まっちゃったー?!
 うぅ、まぁ良いけどさぁ……クリス達が良いならそれでも……。

「ご、ごめんねニイム。もしかして、イヤだった……?」

『ううん……良いんだ……。ああいう人には慣れてるし……ねっ」

 ボクがちょっと沈んでたのを見て、気を遣ってくれるフェリちゃん。

 大丈夫、大丈夫さ。
 ストーカーが一人から二人に増えたところで、大した差じゃないさ!

「では改めて宜しく頼む。俺の名はアイン。見ての通りダークエルフだ」

「宜しく、アイン。じゃあ詳細をこっちで……」

 フェリがパーティーに入った時と同じように、自己紹介とギルドの登録を済ませるクリス達。

 また一人、ボク達に仲間が増えた。
しおりを挟む
感想 1

あなたにおすすめの小説

勝手に召喚され捨てられた聖女さま。~よっしゃここから本当のセカンドライフの始まりだ!~

楠ノ木雫
ファンタジー
 IT企業に勤めていた25歳独身彼氏無しの立花菫は、勝手に異世界に召喚され勝手に聖女として称えられた。確かにステータスには一応〈聖女〉と記されているのだが、しばらくして偽物扱いされ国を追放される。まぁ仕方ない、と森に移り住み神様の助けの元セカンドライフを満喫するのだった。だが、彼女を追いだした国はその日を境に天気が大荒れになり始めていき…… ※他の投稿サイトにも掲載しています。

異世界に転生したので幸せに暮らします、多分

かのこkanoko
ファンタジー
物心ついたら、異世界に転生していた事を思い出した。 前世の分も幸せに暮らします! 平成30年3月26日完結しました。 番外編、書くかもです。 5月9日、番外編追加しました。 小説家になろう様でも公開してます。 エブリスタ様でも公開してます。

悪役令息、前世の記憶により悪評が嵩んで死ぬことを悟り教会に出家しに行った結果、最強の聖騎士になり伝説になる

竜頭蛇
ファンタジー
ある日、前世の記憶を思い出したシド・カマッセイはこの世界がギャルゲー「ヒロイックキングダム」の世界であり、自分がギャルゲの悪役令息であると理解する。 評判が悪すぎて破滅する運命にあるが父親が毒親でシドの悪評を広げたり、関係を作ったものには危害を加えるので現状では何をやっても悪評に繋がるを悟り、家との関係を断って出家をすることを決意する。 身を寄せた教会で働くうちに評判が上がりすぎて、聖女や信者から崇められたり、女神から一目置かれ、やがて最強の聖騎士となり、伝説となる物語。

不倫されて離婚した社畜OLが幼女転生して聖女になりましたが、王国が揉めてて大事にしてもらえないので好きに生きます

天田れおぽん
ファンタジー
 ブラック企業に勤める社畜OL沙羅(サラ)は、結婚したものの不倫されて離婚した。スッキリした気分で明るい未来に期待を馳せるも、公園から飛び出てきた子どもを助けたことで、弱っていた心臓が止まってしまい死亡。同情した女神が、黒髪黒目中肉中背バツイチの沙羅を、銀髪碧眼3歳児の聖女として異世界へと転生させてくれた。  ところが王国内で聖女の処遇で揉めていて、転生先は草原だった。  サラは女神がくれた山盛りてんこ盛りのスキルを使い、異世界で知り合ったモフモフたちと暮らし始める―――― ※第16話 あつまれ聖獣の森 6 が抜けていましたので2025/07/30に追加しました。

貧民街の元娼婦に育てられた孤児は前世の記憶が蘇り底辺から成り上がり世界の救世主になる。

黒ハット
ファンタジー
【完結しました】捨て子だった主人公は、元貴族の側室で騙せれて娼婦だった女性に拾われて最下層階級の貧民街で育てられるが、13歳の時に崖から川に突き落とされて意識が無くなり。気が付くと前世の日本で物理学の研究生だった記憶が蘇り、周りの人たちの善意で底辺から抜け出し成り上がって世界の救世主と呼ばれる様になる。 この作品は小説書き始めた初期の作品で内容と書き方をリメイクして再投稿を始めました。感想、応援よろしくお願いいたします。

追放されたので田舎でスローライフするはずが、いつの間にか最強領主になっていた件

言諮 アイ
ファンタジー
「お前のような無能はいらない!」 ──そう言われ、レオンは王都から盛大に追放された。 だが彼は思った。 「やった!最高のスローライフの始まりだ!!」 そして辺境の村に移住し、畑を耕し、温泉を掘り当て、牧場を開き、ついでに商売を始めたら…… 気づけば村が巨大都市になっていた。 農業改革を進めたら周囲の貴族が土下座し、交易を始めたら王国経済をぶっ壊し、温泉を作ったら各国の王族が観光に押し寄せる。 「俺はただ、のんびり暮らしたいだけなんだが……?」 一方、レオンを追放した王国は、バカ王のせいで経済崩壊&敵国に占領寸前! 慌てて「レオン様、助けてください!!」と泣きついてくるが…… 「ん? ちょっと待て。俺に無能って言ったの、どこのどいつだっけ?」 もはや世界最強の領主となったレオンは、 「好き勝手やった報い? しらんな」と華麗にスルーし、 今日ものんびり温泉につかるのだった。 ついでに「真の愛」まで手に入れて、レオンの楽園ライフは続く──!

【完結】ポーションが不味すぎるので、美味しいポーションを作ったら

七鳳
ファンタジー
※毎日8時と18時に更新中! ※いいねやお気に入り登録して頂けると励みになります! 気付いたら異世界に転生していた主人公。 赤ん坊から15歳まで成長する中で、異世界の常識を学んでいくが、その中で気付いたことがひとつ。 「ポーションが不味すぎる」 必需品だが、みんなが嫌な顔をして買っていく姿を見て、「美味しいポーションを作ったらバカ売れするのでは?」 と考え、試行錯誤をしていく…

異世界転生したらたくさんスキルもらったけど今まで選ばれなかったものだった~魔王討伐は無理な気がする~

宝者来価
ファンタジー
俺は異世界転生者カドマツ。 転生理由は幼い少女を交通事故からかばったこと。 良いとこなしの日々を送っていたが女神様から異世界に転生すると説明された時にはアニメやゲームのような展開を期待したりもした。 例えばモンスターを倒して国を救いヒロインと結ばれるなど。 けれど与えられた【今まで選ばれなかったスキルが使える】 戦闘はおろか日常の役にも立つ気がしない余りものばかり。 同じ転生者でイケメン王子のレイニーに出迎えられ歓迎される。 彼は【スキル:水】を使う最強で理想的な異世界転生者に思えたのだが―――!? ※小説家になろう様にも掲載しています。

処理中です...