楽しいスライム生活 ~お気楽スライムはスライム生を謳歌したい~

杜本

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第二章

17.お嬢様とスライム

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 町に帰ってきたボク達は早速、素材の買取所に向かった。
 先に宿でゆっくりしても良かったんだけど、戦果を噛み締めてから寝たいっていうシーロの強い要望があったからね。
 ま、そう思ってたのはシーロだけじゃなかったみたいだけど!

 クリス達の興奮は覚めないまま、重くなったサイフを握りしめて宿に帰ってきた。

「はぁ~、さすがにほっくほくだったね~!」

「スラ公のおかげで素材のほとんどが持ち帰れるからな。やっぱりブラックスライム様様だぜ」

「フェリ、ニイム、二人ともありがとうな。もちろんアインも!」

「ああ」

『どういたしましてー!』

「えっと、ぼくの方こそ、ありがとうございます……!」

 みんな嬉しそうでボクも嬉しいよ!
 今日はこのまま祝杯モードかな~♪

 ――コンコンコンッ

 おや、扉のノック……。
 珍しいね、お客さんが来たみたいだ。

「はい、どなたです――おわっ?!」

 クリスが扉を開けると同時に、誰かが突撃してきた!

 な、なに?! ……って、女の子?

「ティナ! ティナじゃないか!!」

「やっと……追いつきましたわ!」

 だれだれ~? クリスの知り合い?
 仲良さそうに抱き合っちゃって、もしかしてイイヒトだったりする~?

「ティナ、久しぶりー!」

「セシリア、お久しぶりですわ!」

 クリスと再会の抱擁ほうようをしていたかと思えば、今度は女の子二人で抱き合いながらぴょんぴょんしてる。
 ハッ! この調子でいくとシーロも……。

「よう。オヤジさんの許し、もらえたのか?」

「ええ、わたくしの粘り勝ちですわ!」

 シーロとは抱き合わなかった……なーんだ。
 でも知り合いなのは確かみたいだね!

『ねーねー、ボク達にも紹介してよぉ~』

 ――ぽいーん、ぽいーん、ぽいいーん!

「きゃっ! ……ス、スライム……かしら?」

 ただのスライムじゃないよ~。
 超便利でカッコイイ、スーパーウルトラスライムのボクだよ~。

「あぁ。新しく入ったメンバーがいるんだ、紹介するよ」

 クリスがフェリをちょいちょいと手招き。

「まず、こっちの子がフェリ。まだ幼いから荷物持ちポーターとしての加入なんだけど、クラスはテイマー。それでさっきのシャドウスライムはフェリの従魔で、ニイムって言うんだ」

 次にアインに手を向け、

「彼はアイン。クラスはマジックナイトで、レベルも俺達とは釣り合ってないんだけど……本人の希望で、メンバーとして加入することになったんだ」

 最後に、飛び込んできた女の子の肩に手を置いた。

「彼女はフロレンティナ。俺達の幼馴染おさななじみで、本当は一緒にパーティーを組む予定だったんだけど……」

「お父さんが許してくれなかったのよねぇ……」

「しゃーねーわな、ティナは領主の一人娘だ。おいそれと冒険者になんかさせられるか、ってなもんだ」

「それでもわたくしは皆と一緒に冒険がしたかったんです。だから、一生懸命説得いたしましたわ!」

 はー、なるほど~。
 ふわふわした可愛らしい子だと思ったら、イイところのお嬢様だったのかぁ。

「あっ……あ、あの……」

「あら、ごめなさい! 挨拶が遅れてしまいましたわね、どうぞよろしくお願いいたしますわ」

 ためらうフェリと、全くためらわないティナ。
 ティナはフェリの手を取って握りしめ、可愛らしい笑顔を見せてくれた。

「あぅ……よ、よろしく、お願い……します……」

 ティナも亜人を気にしない人なんだね、良かった良かった。
 クリス達の故郷――イビスの風土なのかな?
 それとも単に、似たタイプが集まったってだけかもねっ!

「アインさんも、よろしくお願いいたしますわ」

「俺のことは呼び捨てで構わない」

「わかりましたわ。パーティーメンバーですものね、アイン。わたくしのことも、どうぞティナとお呼びになってくださいな」

「ああ」

 こっちも問題無いみたいだ。
 お嬢様っぽいけど、意外とおおらかなタイプなんだね~。
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