女神の代わりに異世界漫遊  ~ほのぼの・まったり。時々、ざまぁ?~

大福にゃここ

文字の大きさ
122 / 754

盗賊団の襲撃

しおりを挟む


「「アリス?」」

 スープの為に野菜を煮込んでいた鍋とかまど、ボア肉のスタミナ炒めを炒めている途中のフライパンとかまどを、そのままインベントリに収納したのを見て、アルバロとマルタが驚きの声を上げた。

「そろそろ準備を始めましょうか? 南1kmと北1.2kmくらい先ですね」

「!!」
「エミル! イザック! 敵襲よ!」

 煮オークの鍋など、出しているものを収納しながら簡単に報告すると、アルバロは焚き火の火を小さくしてから、アイテムボックスから人形のようなものを出して座った形に置き、マルタは遅番の2人を起こすといった素早い動きを見せる。 

 私の言うことを疑わないんだな~と少しびっくりしていると、ハクがライムを銜えて私の肩に飛び乗った。

「ハク、ありがとう! ライムはハウスにいてね?」

(とーぞくたべるから、よんでね?)

(盗賊は出来るだけ生け捕りにして、お風呂代の足しにするんだよ~。殺さないようにって祈っててね?)

(わかったー。けがしないでね?)

(うん!)

 ライムをマントの下に隠すフリでハウスに入れて、ハクと鼻を合わせて頷きあったら準備完了! ……いつでも来い!

「アリス、身を屈めろ。 少し西に移動するぞ」

「はい」

 エミルが声を小さくして指示をくれる。 馬やテントはそのままだ。

「焚き火とテントはこのままにしておく。 気が付いた事を向こうに感づかれるのを遅らせるためだ。 
 馬は騒ぎになったら勝手に走り出すから心配するな。 そういう訓練を積んでいる馬だ」

「……………わかりました」

 ささやき返して、しゃがんだまま町の方角へ移動する。

(馬はちゃんとわかってるにゃ! 大丈夫にゃ!)

 エミルの言葉を疑うわけじゃないけど、それでも馬が心配だった。 でも、ハクの太鼓判があれば、安心だ♪

 マップにはゆっくり、ゆっくりと近づいてくる、盗賊団らしき赤ポイントがたくさん付いている。 向こうもしゃがむか匍匐しているのかな?

 焚き火から50mほど離れたところで止まり、身を屈めながら最終確認だ。

「南に25人、北に20人ほどですね」

「マルタとアリスは攻撃魔法の準備をしておいてくれ。マルタは南、アリスは北を。エミルは取りこぼしを頼む。向こうの攻撃が始まったら即、反撃だ。
 今回は100mをきるまではこちらからの攻撃はしない。あくまでも『襲われての反撃』だ。 
 もったいないってものあるが、情報を取る必要があるから皆殺しだけは避けるようにな」

「100mを越えても攻撃して来なかったら?」

「俺が大声で誰何すいかする。向こうは大人数で有利だと思っているだろうからな。きっと攻撃をしかけてくるだろう」

 向こうからの攻撃待ちかぁ。ストレスが溜まりそう…。 その上取り逃がしたりしたら、ストレスでハゲるかも。

(ハクは、内側に閉じ込めるタイプの結界を張れる?)

(張れるにゃよ?)

(焚き火を中心に200m四方の大きさは?)

(余裕にゃ~♪)

(じゃあ、全ての敵が焚き火から200m以内に入って攻撃を仕掛けてきたら、発動してね? あ、私たちが逃げる時には解除してね!)

(任せるにゃ!!)

 ハクと頷き合った時だ。

「「「「!!」」」」

 焚き火の側に置いてあった人形もどきに矢が撃ち込まれた。同時に北と南に松明が灯る。 マルタの馬とイザックの鳥が無事に町に向かっているのを確認してから魔法を放った。

「【ファイヤーアロー】!」
「【ウインドカッター・ダブル】!」

 致命傷を避けるために、膝の高さでウインドカッターを撃ち放つ。続けて何発か打ち込むと北の赤ポイントの2/3ほどがその場から動かなくなった。 

 マルタも魔法を連射しているが、マップ上の赤ポイントはまだ多数が動いている。もともと南の方が襲撃者が多かったので、ついでに南にもウインドカッターを打ち込んでおく。 
 後でマルタに怒られませんように…!!

「【ライト】!」

 私が南にも攻撃魔法を放ったことに気が付いたマルタは、すぐさま攻撃から灯かりの魔法に切り替えた。

 明るくなると同時に走り寄って来ていた盗賊にエミルが矢を放ち、タイミングをみてアルバロとイザックが飛び出して行った。 援護の為に、弓を持っている人間の腕を狙ってウインドカッターを放つ。

 怒号飛び交う乱戦の中、アルバロとイザックは危なげなく盗賊を倒し、マルタの魔法とエミルの矢が、ハクの結界に引っ掛かって逃げ惑うヤツ等を戦闘不能にしていく。 私もウインドカッターで応戦していたが、敵の数が減り味方への被弾が怖くなったので<鴉>を抜いて飛び込んだ。

「!? 女!! こいつだっ! こいつをぶっ殺せ!!」

 盗賊団の首領らしき大柄な男が叫ぶと、残りの盗賊が一斉に私に襲い掛かってくる。 囲まれるかと警戒したがアルバロとイザックが後ろを庇ってくれた。

 腕や肩を狙っても、たまに狙いが逸れて胴を切りつけてしまうが、殺してはいない。 順調に動ける敵を減らしている。

「ッグ…!」

「イザック!!」

 首領と交戦していたイザックが急に体勢を崩したが、すかさずアルバロがフォローに入った。 首領が嫌な笑みを浮かべている……。

 アルバロが首領の両腕をバトルアックスの一振りで切り飛ばすと、残りわずかな盗賊たちの戦意は喪失し、戦闘は終了した。

「イザック!?」
「毒だ! 毒消しを!!」
「何の毒なんだ!? わたしの解毒薬では効かないっ……」

 首領の剣には強力な毒が塗ってあったようだ。 切られた傷は浅いのに、イザックは嘔吐し苦しんでいる。 エミルが首領に何の毒かを聞いているが、首領は両腕を飛ばされた痛みにのたうっていて、まともに答えない。

「【診断】っ」

 名前:イザック
 性別:男
 年齢:28歳
 状態:重態
 備考:切り傷からローリエの精製毒が侵入
   :キュア3回・ヒール

「【クリーン】【キュア・トリプル】!! 【ヒール】!」

 幸いなことに、イザックの毒は【キュア】で対処可能だった。 

 切り口から入った毒はしっかりと解毒され、傷も初めから切れていなかったように綺麗にふさがる。

「……あ?」

「イザック! 大丈夫?」

「アリス? ああ、そうか。 リカバーが使えるんだ、キュアも使えるよな…!」

「ええ、ついでに」

 アルバロにもクリーンとヒールを、私を含めたみんなにクリーンを掛けると、

「ああ、すまないな」
「ありがとう!」

 みんなはお礼を口にしたり手を上げたりして、感謝の気持ちを伝えてくれた。

 みんなの無事を確認し、ひと仕事を終えて清清しい気分だ。 

 …………盗賊たちの呻き声や泣き声が聞こえてこなければ。
しおりを挟む
感想 1,118

あなたにおすすめの小説

異世界転生日録〜生活魔法は無限大!〜

一ノ蔵(いちのくら)
ファンタジー
☆感想の受付開始しました。 【あらすじ】   異世界に転生したルイは、5歳の高熱を境に、記憶を取り戻す。一度は言ってみたい「ステータス・オープン」で、ステータスを見れることに気付いた。スキル「生活魔法∞(無限大)」を発見。その意味を知るルイは、仄かに期待を抱いた。  それと同時に、今世の出自である農家の四男は、長男大事な両親の態度に、未来はないと確信。  家族に隠れて、ステータスにあったスキルの一つ「鑑定」を使い、村のお婆(薬師)相手に、金策を開始。  十歳の時に行われたスキル鑑定の結果を父に伝えたが、農家向きのスキルではなかったルイは「家の役には立たない」と判断され、早々に家を追い出される。   だが、追放ありがとう!とばかりに、生活魔法を知るべく、図書館がある街を目指すことにしたルイ。  最初に訪れた街・ゼントで、冒険者登録を済ませる。だがそのギルドの資料室で、前世の文字である漢字が、この世界の魔法文字だという事実を知ることになる。  この世界の魔法文字を試したルイは、魔法文字の奥深さに気づいてしまった。バレないように慎重に……と行動しているつもりのルイだが、そんな彼に奇妙な称号が増えて行く。  そして、冒険者ギルドのギルドマスターや、魔法具師のバレンと共に過ごすうちに、バレンのお師匠様の危機を知る。  そして彼に会いにいくことになったが、その目的地が、図書館がある魔法都市アルティメットだった。  旅の道中もさることながら、魔法都市についても、色々な人に巻き込まれる運命にあるルイだったが……それを知るのは、まだ先である。 ☆見切り発車のため、後日変更・追記する場合があります。体調が不安定のため、かける時に書くスタイルです。不定期更新。 ☆カクヨム様(吉野 ひな)でも先行投稿しております。

貴族令嬢、転生十秒で家出します。目指せ、おひとり様スローライフ

ファンタジー
第18回ファンタジー小説大賞にて奨励賞を頂きました。ありがとうございます! 貴族令嬢に転生したリルは、前世の記憶に混乱しつつも今世で恵まれていない環境なことに気が付き、突発で家出してしまう。 前世の社畜生活で疲れていたため、山奥で魔法の才能を生かしスローライフを目指すことにした。しかししょっぱなから魔物に襲われ、元王宮魔法士と出会ったり、はては皇子までやってきてと、なんだかスローライフとは違う毎日で……?

【完結】旦那様、どうぞ王女様とお幸せに!~転生妻は離婚してもふもふライフをエンジョイしようと思います~

魯恒凛
恋愛
地味で気弱なクラリスは夫とは結婚して二年経つのにいまだに触れられることもなく、会話もない。伯爵夫人とは思えないほど使用人たちにいびられ冷遇される日々。魔獣騎士として人気の高い夫と国民の妹として愛される王女の仲を引き裂いたとして、巷では悪女クラリスへの風当たりがきついのだ。 ある日前世の記憶が甦ったクラリスは悟る。若いクラリスにこんな状況はもったいない。白い結婚を理由に円満離婚をして、夫には王女と幸せになってもらおうと決意する。そして、離婚後は田舎でもふもふカフェを開こうと……!  そのためにこっそり仕事を始めたものの、ひょんなことから夫と友達に!? 「好きな相手とどうやったらうまくいくか教えてほしい」 初恋だった夫。胸が痛むけど、お互いの幸せのために王女との仲を応援することに。 でもなんだか様子がおかしくて……? 不器用で一途な夫と前世の記憶が甦ったサバサバ妻の、すれ違い両片思いのラブコメディ。 ※5/19〜5/21 HOTランキング1位!たくさんの方にお読みいただきありがとうございます ※他サイトでも公開しています。 【無断転載・AI利用禁止 / No Unauthorized Use or AI Training】 本作品の無断転載・複製・AI学習利用を禁じます。 Unauthorized reproduction or use for AI training is strictly prohibited. © 魯恒凛 / RoKourin

死に物狂いで支えた公爵家から捨てられたので、回帰後は全財産を盗んで消えてあげます 〜今さら「戻れ」と言われても、私は隣国の皇太子妃ですので〜

しょくぱん
恋愛
「お前のような無能、我が公爵家の恥だ!」 公爵家の長女エルゼは、放蕩者の父や無能な弟に代わり、寝る間も惜しんで領地経営と外交を支えてきた。しかし家族は彼女の功績を奪った挙句、政治犯の濡れ衣を着せて彼女を処刑した。 死の間際、エルゼは誓う。 「もし次があるのなら――二度と、あいつらのために働かない」 目覚めると、そこは処刑の二年前。 再び「仕事」を押し付けようとする厚顔無恥な家族に対し、エルゼは優雅に微笑んだ。 「ええ、承知いたしました。ただし、これからは**『代金』**をいただきますわ」 隠し金庫の鍵、領地の権利書、優秀な人材、そして莫大な隠し資産――。 エルゼは公爵家のすべてを自分名義に書き換え、着々と「もぬけの殻」にしていく。 そんな彼女の前に、隣国の冷徹な皇太子シオンが現れ、驚くべき提案を持ちかけてきて……? 「君のような恐ろしい女性を、独り占めしたくなった」 資産を奪い尽くして亡命した令嬢と、彼女を溺愛する皇太子。 一方、すべてを失った公爵家が泣きついてくるが、もう遅い。 あなたの家の金庫も、土地も、働く人間も――すべて私のものですから。

最安もふもふ三匹に名前をつける変な冒険者ですが、この子たちの力を引き出せるのは私だけです ~精霊偏愛録~

Lihito
ファンタジー
精霊に名前をつける冒険者は、たぶん私だけだ。 うさぎのノル、狐のルゥ、モモンガのピノ。三匹とも最安の契約で、手のひらに乗るサイズ。周りからは「手乗り精霊で何ができる」と笑われている。 でも、この子たちへの聞き方を変えるだけで、返ってくる答えはまるで違う。三匹の情報を重ねれば、上位の精霊一体では見えないものが見える。 上位パーティが三度失敗した大型討伐。私は戦わない。ノルに地中を、ピノに上空を、ルゥに地上を調べさせて、答えを組み上げる。 ——この世界の精霊の使い方、みんな間違ってませんか?

スキルが農業と豊穣だったので追放されました~辺境伯令嬢はおひとり様を満喫しています~

白雪の雫
ファンタジー
「アールマティ、当主の名において穀潰しのお前を追放する!」 マッスル王国のストロング辺境伯家は【軍神】【武神】【戦神】【剣聖】【剣豪】といった戦闘に関するスキルを神より授かるからなのか、代々優れた軍人・武人を輩出してきた家柄だ。 そんな家に産まれたからなのか、ストロング家の者は【力こそ正義】と言わんばかりに見事なまでに脳筋思考の持ち主だった。 だが、この世には例外というものがある。 ストロング家の次女であるアールマティだ。 実はアールマティ、日本人として生きていた前世の記憶を持っているのだが、その事を話せば病院に送られてしまうという恐怖があるからなのか誰にも打ち明けていない。 そんなアールマティが授かったスキルは【農業】と【豊穣】 戦いに役に立たないスキルという事で、アールマティは父からストロング家追放を宣告されたのだ。 「仰せのままに」 父の言葉に頭を下げた後、屋敷を出て行こうとしているアールマティを母と兄弟姉妹、そして家令と使用人達までもが嘲笑いながら罵っている。 「食糧と食料って人間の生命活動に置いて一番大事なことなのに・・・」 脳筋に何を言っても無駄だと子供の頃から悟っていたアールマティは他国へと亡命する。 アールマティが森の奥でおひとり様を満喫している頃 ストロング領は大飢饉となっていた。 農業系のゲームをやっていた時に思い付いた話です。 主人公のスキルはゲームがベースになっているので、作物が実るのに時間を要しないし、追放された後は現代的な暮らしをしているという実にご都合主義です。 短い話という理由で色々深く考えた話ではないからツッコミどころ満載です。

【完結】辺境に飛ばされた子爵令嬢、前世の経営知識で大商会を作ったら王都がひれ伏したし、隣国のハイスペ王子とも結婚できました

いっぺいちゃん
ファンタジー
婚約破棄、そして辺境送り――。 子爵令嬢マリエールの運命は、結婚式直前に無惨にも断ち切られた。 「辺境の館で余生を送れ。もうお前は必要ない」 冷酷に告げた婚約者により、社交界から追放された彼女。 しかし、マリエールには秘密があった。 ――前世の彼女は、一流企業で辣腕を振るった経営コンサルタント。 未開拓の農産物、眠る鉱山資源、誠実で働き者の人々。 「必要ない」と切り捨てられた辺境には、未来を切り拓く力があった。 物流網を整え、作物をブランド化し、やがて「大商会」を設立! 数年で辺境は“商業帝国”と呼ばれるまでに発展していく。 さらに隣国の完璧王子から熱烈な求婚を受け、愛も手に入れるマリエール。 一方で、税収激減に苦しむ王都は彼女に救いを求めて―― 「必要ないとおっしゃったのは、そちらでしょう?」 これは、追放令嬢が“経営知識”で国を動かし、 ざまぁと恋と繁栄を手に入れる逆転サクセスストーリー! ※表紙のイラストは画像生成AIによって作られたものです。

積みかけアラフォーOL、公爵令嬢に転生したのでやりたいことをやって好きに生きる!

ぽらいと
ファンタジー
アラフォー、バツ2派遣OLが公爵令嬢に転生したので、やりたいことを好きなようにやって過ごす、というほのぼの系の話。 悪役等は一切出てこない、優しい世界のお話です。

処理中です...