女神の代わりに異世界漫遊  ~ほのぼの・まったり。時々、ざまぁ?~

大福にゃここ

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説得するにはエサがいる

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「手足の欠けたあなた達がこのまま犯罪奴隷になったら、売られた先でいじめられちゃうかもしれないね~?」

「……………」

「もし、奴隷から開放されることがあっても、手や足がないと、とっても大変なんだろうな~?」

「………何が言いたい?」

「有益な情報1つにつき、手足を1本。 話してくれた人の治療をしてあげる」

 盗賊たちは私の言ったことを信じられないようだ。 騙されないと息巻いたり、鼻で笑ったり。

「信じられないなら、そのまま黙っていなさい。 
 でも、無くなっている手足の合計と、有益な情報はどっちが多いのかな? 私の魔力にも限りがあるし、何人の治療が出来るかはわからないな~。 
 ……情報を話すなら、早いもの勝ちよ?」

 自信有り気に微笑むと、冒険者組も笑って頷く。

「リカバーは魔力を食うからな。 でも、アリスなら、残りのアジトを話したヤツの治療くらいはしてやれるだろう?」

「もちろん。それくらいの魔力は残ってますよ」

 魔力はまだ残っている。でも、無限じゃない。限りある魔力。

「ぐっ! ウグッ!!」

 さっきの男に近づき、足とお腹のナイフを抜いてからヒールを掛けた。

「もう、痛くないでしょ? きちんと話してくれたご褒美よ」

 さて、これでまた魔力が減ったけど、盗賊たちはどうするのかな?

「…おまえ、本当にリカバーが使えるのか? どうせ嘘なんだろう? 嘘じゃないって言うなら、俺の腕を生やして証明してみせろ!」

 いかにも疑っている! といった顔で挑発する首領。 でも、そんな安い手には乗らないよ?

「あら、抜け駆け? 別におまえに信じてもらわなくても構わないけど? 他にも手足が欠けている人はたくさんいるし…。 
 ああ、兵士たちがここに着く前に話さないと、この話は無かったことになるわよ? 私の利益にならないなら、貴重な魔力を消費する意味がないもの。 不自由しながら一生を終えるといいわ」

 少し突き放すように言うと、

「ちょ、町長の家の裏にある、道具屋! そこもアジトの1つだ!」

 早速、情報提供してくれる人が出てきた。

「てめぇ! 裏切りやがって!!」

「先に俺たちを裏切ったのはてめぇだろっ! 自分だけ治してもらおうとしやがったくせに!」

 言い争いが始まりそうなので、さっさと治療をすることにした。 本当に時間が無いのだ。

「【リカバー】。 さて、あと何回使えるかなぁ?」

 情報提供者には、きちんとご褒美を。 

「俺の足、本当に生えた…!!」

 情報提供してくれた男の足が再生すると、手足の欠けた盗賊たちの目つきが変わった。

「東地区にお頭の愛人が住んでる家がある! 屋根裏にお宝を隠してるって聞いたぞ!」
「お頭しか知らない隠し場所がどこかにあるんだ! そこに値打ち物ばかり集めて隠してる!」

 我先にとアジトに関する話をしてくれる。

「へえ? 首領しか知らない隠し場所ねぇ?  おい! 腕2本ないままでどうやって飯を食うんだ? 売られた先では、今まで下に見ていたヤツに仕返しされるかもなぁ? 
 とっとと吐いて、アリスに腕を治してもらえよ! 腕2本の治療代だ、お宝差し出したって釣りがくるだろう?」

 これ以上のアジトは無いと判断したイザックは、首領の尋問をアルバロに任せ、盗賊団の正確な人数や、他の盗賊団の情報などを聞き出そうとしている。

 私がアジトのことしか聞かなかったからか、イザックの質問に素直に答えなかった盗賊たちも、

「聞かれたことに嘘偽りなく答えて。その情報の裏づけが取れたら、後で治してあげる」

 と言うと、ぺらぺらと話し始めた。 時代劇で見るような“仲間の事は死んでも売らない”といった盗賊はいないらしい。

「愛人の家の3軒右隣の家の貯蔵庫だ! 俺たちのアジトはこれで全部だ! さあ、早く治しやがれ!」

 盗賊の首領が最後のアジトの場所を吐いてすぐ、町の方角から馬の蹄の音や何かをゴロゴロと曳いている音が響いてきた。

「ちっ! 時間切れだ!  アリス、俺たちがお宝を回収するまでは、こいつらに自供されると困るんだが、なんとかできないか…?」

 自供を遅らせるだけなら、多分簡単だ。

「私たちが全てのアジトを回り終わるまで、今話したことを黙っていてくれたら後で全員を治してあげる。 途中で誰かが話したら、当然、誰も治療しない。 頑張ってね?」

「チッ!」
「その言葉忘れんなよ!?」
「騙しやがったら、地の果てまで追いかけてズタズタにしてやるぞ!」

 盗賊たちは一斉に騒ぎ始めたが、微笑みながら頷くだけで納得してくれた。 これで、お互いがお互いを見張ってくれるだろう。 後はお宝の回収だが…。

「ねえ、アルバロ。 盗賊のアジトは町の中の家屋でしょ? 素直に回収させてくれるかな?」

 下手をすると、私たちが不法侵入で捕まるんじゃあ…? 

「大丈夫だ。 こいつらの協力があるからな」

 不安交じりの質問は、どうやら杞憂だったようだ。アルバロはいつの間にか鍵束を持っていた。 

「これで理解しわからないヤツは、盗賊の一味として捕縛するだけだ」

 と不敵に笑う冒険者組。 
 
 今夜は長い夜になりそうだ。 気合を入れて頑張ろう!!
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