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誤解・・・というより冤罪です!
しおりを挟む「“色々とご迷惑をお掛けしていますが、お力添えにいつも感謝しています”と伝えてね」
お昼ごはんに長く時間が掛かってしまったので、14時開始のオークションに間に合うように、護衛組にはここから<冒険者ギルド>へ行ってもらうことにした。
護衛組は<商業ギルド>まで送ると言って聞かなかったが、代わりに冒険者ギルドへ行く途中にある衛兵の詰め所にお使いを頼むと、しぶしぶと納得してくれた。
「クッキーをたくさん焼いたのはこの為だったのか。 バタークッキーも紅茶のクッキーも、絶対に喜ばれるぞ!」
エミルが太鼓判を押してくれたので安心してバスケットを渡す。 2つで足りるかな?
「バスケットの中にビンごとに種類を分けたクッキーか。 このビンとバスケットは渡しちまってもいいのか? 」
「うん。 何かに使えそうならそのまま受け取ってもらって、邪魔になるようなら持って帰ってきてくれる?」
護衛組の分のクッキーも別に渡すと、
「おやつ持参でオークションに参加か。 もし競り負けちまっても、腐らないで帰ってこられるな」
と喜んで受け取ってくれた。
「じゃあ、あたし達は行くけど、くれぐれも気をつけるのよ?」
「ギルマス、アリスの事を頼んだぜ?」
「オークションが終わり次第迎えに行くから、そっちが先に終わってもおとなしくギルドで待っていてくれな?」
「ギルマスの護衛の言う事をちゃんと聞いて、気をつけて行くんだぞ?」
最後の方はどんどん子供に言い聞かせるような内容になっていくけど、みんなが本気で心配してくれているのがわかるから何も言わないでおく。
「俺たちがちゃんと護衛するから安心してくれ」
苦笑するしかない私を見かねたのか、ギルマス付きの護衛の人がみんなに声を掛けてくれたけど、
「本当に頼むぞ! アリスは自分で危険を振り払おうとするクセがあるから気をつけてくれな!」
「もしもアリスがいきなり誰かを攻撃しても、それは相手が悪いんだからアリスの事をちゃんと守ってね?」
「何があっても、基本は相手が悪いと思ってまずはアリスを守ってくれ。それから事情を聞いてくれな」
どこかのモンスターペアレントみたいなことを言いだす護衛組に、苦笑して黙り込んでいた。
聞いていると、まるで私が危険人物のようだ。
「私の護衛も優秀だから安心してくれ。 普段は少し離れて護衛してもらっている者も、今回は君たちのように側で守る配置でギルドまで戻る。
アリスさんが誰かに危害を加えることがあったら周りが邪魔をしないように気を配り、もちろんアリスさんにも怪我をさせることのないように気をつけよう」
ギルマスが「万が一にもアリスさんが捕まることなどない様にする」と約束をして、やっと護衛組はギルドのある方向に走り出した。
無事に競り落とせますように!! みんなの健闘を祈りながらギルマスに向き直る。
「みんなが心配性ですみません」
「皆さんの心配は当たり前のことですよ。 大丈夫です。私が一緒にいる限り捕まるようなことにはさせません」
ギルマスは自信満々に笑って保証するが、私が誰かに危害を加えることを前提に話をしていることに気がついているのかな? ギルマスの護衛の人たちが凄く微妙な顔で私の事を見てるんだけど……。
私は誰彼構わずに攻撃するような危険人物じゃないですよーっ!?
モレーノ裁判官に別れを告げて商業ギルドへ向かって歩き出すと、マップ上に付かず離れずの距離を保ったままで後を付いてくる2つのポイントがある事に気が付いた。
赤色じゃないから敵ではないが、気になって振り返ってみると法廷兵の制服を着た2人組と目が合った。 私が気付いていることに気が付いた2人は軽く頭を下げて微笑むとそのまま後を付いてくる。
(護衛、だよね?)
(モレーノを褒めてやるにゃ!)
裁判官は何も言わなかったけど、護衛組と離れたことを心配して法廷兵を護衛に付けてくれたようだ。 微笑み返して先を急いだ。
何事もなく無事に商業ギルドに着いたので、ありがとうの気持ちを込めてギルマスにクッキーを渡すと、嬉しそうに1枚だけ食べて後は瓶ごと護衛の人に渡してしまった。
護衛の人にも渡そうと思っていたけど、まあ、いっか。
私がギルドへ着いたことを確認して、そのまま何も言わずに来た道を戻ろうとする法廷兵さんの所へ急いで駆け寄ると、法廷兵さんも慌ててこちらに向き直ってくれる。
モレーノ裁判官と法廷兵たち用に多めにクッキーを渡すととても喜んでくれたので、丁寧にお礼を言って見送った。
町中を移動するだけなのに、こんなに大事になるとは思っていなかったな……。 ちょっとだけ気疲れしてしまったのは内緒だ。
「おかえりなさいませ。 このままキッチンに行かれますか? それとも先に用意した品の確認をされますか?」
あ、美人!
ギルドの玄関をくぐると、もふもふお耳とふんわりしっぽが魅力的な狐の獣人さんが出迎えてくれた。
お腹にぽにゅぽにゅとした弾力を感じて下を向くと、
(はくのほうがかわいいよ?)
腕に抱いていたライムが心配するように言うので急いで視線をハクに向けると、大きく口を開いて今にも私に噛み付こうとしている所だった。
ハクの鼻を爪で弾き、私の肩からライムの上へ移動させながら狐の獣人さんを盗み見ると、こぶしで口元を隠しながらくすくすと笑っている。
……私が見惚れていたのにも気が付いていそうだな。 ちょっと恥ずかしい。
先に商品を見たいと伝えると、会議室に通された。
「水と審査用の食器などはキッチンにご用意しております。 ご指示いただいたものと関連しそうな商品も揃えてみましたので、よろしければご検討ください」
きれいな獣人さんの言うとおり、広い会議室の中に食品、調理器具、食器、雑貨がスペースごとにまとめて陳列されていた。
パンはマルゴさんのパンにも負けないおいしさだったので、用意してくれていた150個を全部買うことにした。予定の3倍だけど値段も手ごろだし、複製スキルのカムフラージュの為にも多めに買っておいて損はない。
漏斗を各種2つずつ、大皿50枚、中皿30枚、小皿50枚と、1枚15メレの紙を300枚、1枚50メレの紙を150枚、1枚100メレの紙を150枚と必要なものを機嫌よく選んでいると、
「おい! いつまで待たるせつもりだ!? 早く準備をしないと審査してやらんぞ!!」
いきなりドアが開き、頭ごなしに怒鳴りつけられた……。
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