女神の代わりに異世界漫遊  ~ほのぼの・まったり。時々、ざまぁ?~

大福にゃここ

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モレーノ邸 8

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「おはようございます。お…、お父さま」

「おはよう、アリス。 ゆっくり休めたかい?」

 昨夜に比べたらスムーズに呼びかけられたんだけど、モレーノ裁判官…、モレーノお父さまが思いっきり嬉しそうな顔で微笑んでくれるので、なんだか面映ゆい……。

 昨夜は呼びかけの練習を聞くのに飽きてしまった従魔たちのお陰で、早々に寝室に通してもらうことができた。

 正直な所、止め時がわからなくなっていたので大助かりだったんだけど、それはそれコレはコレ。 食事中に私のお皿からお魚を奪ってしまったことは、しっかりとお説教しておいた。

 悪びれないハクとライムを相手に説教をするのは大変だったけど、何とか“お邪魔したお家では、相手の了承を得ずに食べ物をもらわない”と約束させることができた。 

 伝家の宝刀“おやつ抜き”を抜かなくてすんでホッとしていたことを従魔たちは知らないんだろうなぁ。

「はい、ぐっすりと眠れました。
 アルバロ達はまだ寝ているのですか?」

 寝室は1人に一部屋用意されていたので、みんなの様子がわからない。 用もないのにマップで確認するのもプライバシーの侵害っぽいしね。 でも、そろそろ出かける準備をしないといけない時間だ。

「アルバロ達は庭で訓練をしているよ。
 …アリスは私にだけ口調が固いね? 令嬢としては仕方がないのかもしれないが、私はアルバロ達が羨ましいな」

 あ~、この人は王弟だよね? いくら被後見人だとしても、口調を崩すのはどうだろう…。

 微笑を浮かべてごまかそうとしたら、執事さんがお父さまの援護に回った。

「アリスお嬢さまは市井で冒険者活動をされると聞きました。 今のままの口調では、すぐに身元が特定されかねません。 これも<冒険者>としての訓練でございます」

<冒険者>としての訓練と言われては、今のままというわけにもいかないのでちょっと頑張ってみる。 昨夜に続いての試練だけど、まあ、なんとかなるか。

「そろそろ出かける時間…だよ。 アルバロ達を呼んで来ま……呼んでこようか?」

 …言い終わった瞬間の主従の嬉しそうな顔はどうだろう! こんなことでここまで喜ばれると、身の置き所に困ってしまう。 王家の…、貴族家の当主に対する口調ではないんだけどなぁ…。

「先ほどメイドを呼びに行かせたから大丈夫だよ。 ハク君とライム君は少し元気がないようだがどうしたんだい?」

「あ~…、昨夜の食事中にお行儀が悪かったから叱ったの。 拗ねてるみたい」

 いつものように私の肩に乗り、抱っこされている2匹だけど、鋭いモレーノ裁判官は雰囲気の違いに気が付いたようだ。

「そうか。 2匹はもう反省をしているんだね? だったらこっちへおいで? お菓子をあげよう」

 モレーノお父さまがアイテムボックスから焼き菓子を取り出すと、2匹は私を蹴り飛ばす勢いでお菓子を持つお父様のもとへ走っていった。

 この態度はどうなんだろうと頭を抱える私をよそに、お父さまも執事さんも慈愛に満ちた瞳で2匹を見ている。 

 ……あんまり甘やかさないで欲しいんだけど、私も結構甘い方だと思うから強くは言えないんだよね。 仕方ない。








 お父さまと一緒に冷たいミルクを飲んでいると、訓練を終えたアルバロ達が部屋に入ってきた。

「さっきここから出て行くエックハルトを見かけたと思ったのは気のせいじゃなかったんですね。 モレーノさまは行動が早い」

 ミルクを冷やす為の氷を手に入れるのに、冒険者ギルドに依頼を出していたらしい。 言ってくれたら氷くらいいくつでも出すのに。

「次にお嬢さまがお帰りになったときには、お願いしてもよろしいでしょうか?」

 心の声が聞こえたようなタイミングで執事さんに声を掛けられて“顔に出ていたのか!?”と思わず頬に手を当てると、にこやかに頷かれてしまった。

 ……しっかりと表情かおに出ていたらしい。

 次に、かぁ。 明日ここを旅立てばもう戻らないかもしれないんだけど……。 あ、ネフ村に行く約束があるからその時に寄ろうかな。

「アリス、君は王都には行かないのかい?」

「え?」

「国によって王都の趣も違うから、何かアリスの目を引くものもあるだろう。 一度は寄ってみるといい。 
 ……タイミングが合えば私もいる」

 さいば…、お父さまは最後の言葉を少しだけ照れたように言いながら視線を逸らした。  …来て欲しいって事だよね?

「そっか、お父さまは王都の最高裁判所の長官になるんだもんね。 
 なら、いつか立ち寄ってみようかな」

 言外に「私も会いたい」と伝えると、お父さまと執事さんはにっこりと嬉しそうに笑った。

 とりあえず、メニューなどの登録をする時はお父さまの領地を選ぼう♪









 護衛組は【クリーン】でさっぱりした後にメイドさんから出してもらったミルクを一気飲みして、ほんの少しだけ悲しそうな顔で私を見た。

 …ミルクにクリーンをかける前に一気飲みしたのはみんなだよね? 家の人に失礼だから、そんな顔をしないの!

 訴えるような顔で私を見る護衛組の注意を引くように、少し大きな声で提案する。

「そろそろ行こうか! 早く行って早く帰ってこよう? 今夜の準備もしたいし」

 “お別れディナー”の支度を自分たちが整えると言ってくれる執事さんとメイドさん達を説得して、少し広い部屋とキッチンワゴン・食器などは借りるけど、料理は私が用意することを納得してもらった。

 私がここでお世話になった人たちを招くので、私が作ったものでお礼代わりにしたい。  

 ……“お行儀よく”が面倒なハクとライムが、私の作ったものじゃないとイヤだ!って言ったからじゃないからね? 
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