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弔い
しおりを挟むビジューでも死者の埋葬方法は大きく分けて2つ。
一般的には土葬が多く、火葬を行うのは権力者や有力者だけらしいけど、例外はある。
魔物に犯されて亡くなった人や魔物の子を孕んだ人の遺体は火葬にするらしい。 ……魔物の精を取り込んだ遺体から新たな魔物が発生するのを防ぐために。
「この布って、絹よね? 一緒に燃やしてもいいの?」
「もちろん。2人の服の代わりだからね。 ああ、帆布は畳んで体の下に敷いてあげてくれる?」
「………絹だって知ってたんだ?」
メラーニアがフランカたちを布で包み直してくれながら呆れたような声を出すけど、もちろん知ってたよ? 【鑑定】したからね。
厳密に言うと地球と同じ絹ではないけど、手触りはほぼ同じだから気にしない。
メラーニアがどうして苦笑しているのかは気になるけどね。
「………何をしてるんだ?」
「お供えの準備」
火葬の準備を整えたギルマス達はフランカたちの遺体を組んだ薪の上に移動させると、簡単な祈りの言葉が終わるなりすぐに火を点けようとするので慌てて止めた。
お別れの為に少しだけ時間を貰って、フランカたちの周りを新たな花で飾り、その上に綺麗な紙で折ったお皿を置く。
ここでは甘いものが重宝されるらしいから今まで作った甘いもの、ドライアップルやクッキーはもちろんシュガーバタートーストやたっぷりミルクのふわとろトースト、フルーツヨーグルトに生キャラメル、アイスクリームにシャーベット、プリンやゼリー、アーモンドのキャラメル掛け、そして新作の揚げパンや桃のコンポートやジャム、フローズンヨーグルトを乗せる。
どこからか生唾を飲み込む音やお腹の鳴る音が聞こえるけど気にしない。 うちの仔たちのお腹の音じゃないからね。
葉欄で作った簡単なカップにフレーバーウォーターやシチュードティーを注いでからゆっくりと手を合わせると、ハク達も私のそばに座り込んだ。
うちの仔たちがおとなしく祈りを捧げている姿を見て、ギルマス達が改めて祈りの言葉と歌を贈ってくれる。
<冒険者>という荒くれたイメージを覆すような敬虔な歌声でビジューに祈り、フランカたちの冥福を願ってくれるギルマス達に心の中で感謝をしながら、ゆっくりと、フランカたちへ最後のお別れをすませた。
「なぜ、ここまでのことをする?」
「え?」
「遺体を絹織物で包み、周りを高価な花で飾り、たくさんの食料を供えて死者を弔うのは、アリスにとっては普通のことか?」
祈りがすんだ後、メラーニアが火魔法でフランカたちを火葬する。 組んでいた薪に火が広がり、フランカたちの遺体が炎に包まれたのを見届けると、サブマスが私を振り返って厳しい声で詰問するように聞いた。
「……彼女たちを布で包んだのは仕方なく、よ。できればちゃんとした服を着せてあげたかったけど、持っていなかったの。 花で飾るのは普通だし、食べ物を備えるのも普通かな」
「身内でもないのに、ここまでのことを?」
「ここまで、って言われるほどのことはしてないよ。 お花以外はアイテムボックスに入っていたものだし」
簡単な祈りだけで埋葬しようとしていたギルマス達には私のしたことは奇異に映ったようだけど、私にとっては日本のお葬式で行うような一般的なことしかできていない。
地域差だなぁ。と思っていると、
「全てを燃やすのは勿体ないと思いませんでしたか?」
イルマが何かを言いたげに私を見る。
「とくには」
これも地域差かなぁ?と思いながら答えると、不意にギルマスが大声で笑い出した。
「イルマ、もういい。 アリスにはやましいことは欠片もないようだ。
俺も長く冒険者をしているが、こんなに世間知らずでお人好しの同業者に会うのは初めてだぞ!」
ギルマスに続いてサブマスまでもが、
「ああ、もういいだろう。 疑うだけ時間と神経の無駄だ。 アリスはこういう人間だと納得した方が話が早い」
と笑い出す。
その様子を見ていたイルマが深くため息を吐いたあと、くすくすと笑い出すと、メラーニアたちまでもが釣られたように笑い出した。
………何を笑っているのかはわからないけど、私に被害はなさそうなので放っておく。
でも、うちの仔たちまで一緒に笑い出すのはどうなの?
みんなが笑っている中で1人取り残されて、すこしだけ面白くないと思うのは、仕方がないよねぇ…?
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しんどいお話が続いておりましたが、一旦おちつきました!
しばらくは日常(?)をお楽しみくださいませ^^
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