女神の代わりに異世界漫遊  ~ほのぼの・まったり。時々、ざまぁ?~

大福にゃここ

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総支配人さんは、何者?な人でした! 2

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 いつもは重厚なデスクが置かれている総支配人室にテーブルが運び込まれ、華やかなクロスとお花で飾られている。

 最近大人気で予約がいっぱいの<宿キャロ・ディ・ルーナのレストラン>への招待は、昨日の今日という急な日程にも関わらず領主ルクレツィオさんさん一家にたいそう喜ばれて、すぐに「楽しみにしている」との返事が届いた。

 だけど、ルクレツィオさん一家の分の席を用意するためには、誰かの予約を断らなくてはいけない。さすがにそれはお客さんに申し訳ないと思っていたら、

「アリスさまのアイテムボックスをお借りできますか?」

 ゆったりとした微笑みを浮かべた総支配人さんに仕事を頼まれた。

 といっても、厨房で作られた出来立ての料理を食器ごとインベントリに預かっておき、食事の際に給仕係の合図に従って順番に取り出すだけの簡単なお仕事だ。配膳などは全て給仕さん達がしてくれるので、私はただ料理を取り出すだけ。

 昨日、総支配人さんから「食事を餌にいたしましたので、アリスさまもそのおつもりで」なんて言われていたから何をすればいいのかと心配していたんだけど、この事だとわかって安心した。

 総支配人さんの頭の中では、あの話をした時から総支配人室をレストランの離れとして使うことが決まっていたようだ。これなら予約をしているお客さんにも迷惑は掛からないし、領主ルクレツィオさん一家も安心して食事を楽しむことができる。

 一家の食事の場に私が同席することになっていたのは少しだけ驚いたけどね? 私は皆さんの食事の後にルクレツィオさんだけに時間を空けて貰うつもりだったから。

 でも、婚約者の伯爵令嬢ロザリアちゃんから私の話を聞かされていた(どんな話だろう…)領主子息むすこさんの強い希望で同席することになったんだ。だったら、ということでロザリアちゃん兄妹と総支配人さんも同席することになり、とても賑やかな食事の場になった。

 ただ、話題が……。

「まだまだ幼かった妹は、アリス殿に躾ていただいて少しだけ淑女に近づくことができました。アリス殿には迷惑をかけてしまったが、あの時の出会いに感謝しています」
「嫌だわ、お兄さまったらそんな恥ずかしい話をしないで……。でも、私も本当に感謝しています」

 だの、

「この街の為に<治癒士ギルド>の改善をしてくださったこと、夫と共にわたくしも感謝していますわ」

 といった、なぜか私を褒め殺しにするものだったので今すぐ逃げ出したくなる……。

 息子さんがピカピカの笑顔で言った、

「どれもこれもとっても美味しい!! 僕はこんなにも美味しい料理を生み出すあなたを尊敬します!」

 だけが素直に受け取れるものだった。厨房からお代わり分もいっぱい預かっているから、たぁんと食べてね♪










 和やかな雰囲気の中で食事が進み、みんながドルチェに出されたミルクレープと飲み物を楽しんでいる時間、私とルクレツィオさんと総支配人さんは私の部屋で飲み物だけを手にしていた。

 ドルチェはお話が終わった後のお楽しみ。……ハクとライムだけは我関せずな顔でパクついてるけどね? まあ、ハクとライムだから仕方がないよね!

「ネフ村にダンジョンが……?」

「ええ。もしもダンジョンが出来たら、しばらくはネフ村を拠点にする予定なの。まあ、ダンジョンができると決まったわけでもないからあくまでも予定なんだけどね」

 本当はまだオフレコなネフ村近辺のダンジョン発生予定話。でも、私の計画を実現する為にモレーノお父さまが話す許可をくれた。もちろん、私自身がここしばらくのお付き合いの中で、ルクレツィオさんなら(当然総支配人さんも!)話しても大丈夫だと思ったからなんだけど。評判も悪くなかったしね。

 まずは総支配人さんに話をしていたのは正解のようで、

「その為に、私の協力が必要だと?」

「坊ちゃまにとっても決して悪くないお話だと、じいは推察致します」

「そうだな。我が領地では手が回らない部分を引き受けてくれると捉えたなら決して悪い話ではない。が、しかし……」

「アリスさまへの助力は王弟殿下モレーノさま、ひいては王家への助力となります。今回の事では王家に借りがございましょう? 借りは早く返しておかねば利息が膨らみますぞ」

 と言った具合に、私の計画を強力に後押ししてくれている。もちろん、大事な❝坊ちゃま❞の不利益にならないと判断したからだろうけど。なんにしてもありがたい♪

 その上、

「だが、最近の我が領内の事は周辺の領主たちも注目しているぞ。我が領内だけが王家とパイプを作り、問題を解決したと妬みを受けると厄介だ」

「何をおっしゃる。今回の話では領内が抱えている問題を一時的に先送りにするだけで、根本が解決するわけではございません。ここからが坊ちゃまの腕の見せ所ではございませんか。
 ……周辺の領主の反発でございますか。では、お隣と、反対側の2つ隣につきましては今回に限り、このじいが押さえて見せましょう」

「……じい! それは本気か!?」

「ええ。じいが手紙を認めましょう」

 私の計画に協力してくれることで起こる、ルクレツィオさんの不利益の一部も何とか回避してくれるらしい。

 私にとっては何かと頼りになる総支配人さんだけど、あくまでもルクレツィオさんの領地の高級宿の総支配人さんが、どうして周辺の領主さんにまで影響を持てるのかと少しだけ疑問に思っていると、

「じいは以前、貴族家継嗣専門の家庭教師だったのですよ」

 ルクレツィオさんが自慢するように、教えてくれる。

 ルクレツィオさんが総支配人さんの最後の生徒だそうで、それ以前の生徒さんたちもそれぞれ立派に跡を継いでいるらしく、この周辺の当主たちにも総支配人さんの生徒さんがいる。期間の長・短はそれぞれだけど。

 そのおかげで、直接教えていなかった貴族たちの間でも、総支配人さんの名前はそれなりの影響力をもつらしい。宿の総支配人に納まっている今でも、是非自分の継嗣の教育をして欲しい!との依頼が来る程度には。

 ……只者ではなさそうだと思っていた総支配人さん。やっぱり只者ではなかったと認識を新たにした。

 私の泊っている宿の総支配人さんは、とっても頼りになる、頼もしい総支配人さんです♪

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