女神の代わりに異世界漫遊  ~ほのぼの・まったり。時々、ざまぁ?~

大福にゃここ

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お引越し準備。の準備 17

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「じゃあ、このギルドに来て間もない頃からディアーナのことを?」

「ええ。冒険者時代には有能な<斥候>としてそれなりの金を稼いでいたと噂で聞いていましたから、まだ若くて健康な……、冒険者として引退するには早すぎた彼女がどんな気持ちで裏方仕事である<ギルドの受付>の職に就いているのかが知りたくて。立ち入ったことだと思いながらも聞いてみたことがあるのです」

「ディアーナは何て答えたの?」

「<斥候>も<ギルドの受付>も仕事の根本は同じようなものだ、と。自分はパーティーぼうけんしゃの為に入念な下調べや面倒な手続きなどを代行し、その結果がみんなの成功につながる。現場と事務方の違いはあるけどやりがいは同じだ、と、とても素敵な笑顔で言われて。その時から私の長い❝初恋❞が始まりました。
 初めて経験する❝片想い❞でしたが、彼女のことを深く知るたびに思いは深まり、信頼を得られていることを実感すると心が震え、笑顔を向けられるたびに幸せを実感する、とても楽しい時間でした」

 シルヴァーノさんが晴れやかに笑う横で、恥ずかしそうに、でも幸せそうに頬を染めるディアーナ。

「じゃあ、ディアーナはいつからシルヴァーノさんを男性として意識し始めたの?」

 私の質問にディアーナは拒否権を発動したのだけど、期待に満ちた眼差しで自分をじっと見つめているシルヴァーノさんに負けたのか、

「元々、シルヴァーノのことは素敵な人だと思っていたのよ? 普段はとても穏やかだけど問題を起した冒険者に対する態度は毅然として頼もしかったし、仕事にもとても誠実だし。
 でも、男性として意識したのは……。ビーチェがシルヴァーノの婚約者候補だったっていう話が出たじゃない? あの時にビーチェが『ギルドマスター夫人には容姿も大切』みたいなことを言っていたのを覚えてる? その流れでビーチェが私たちを貶そうとするたびにシルヴァーノが反論してくれて……」

 照れくさそうに話し始めた。

 ああ、うん。あの時だよね? ビーチェが自信満々に『自分は美しい』とか言ってた時。 確かあの時シルヴァーノさんは、

「『ディアーナの美しい顔に浮かぶ優しい微笑みはギルドの癒しで、内面も素晴らしい女性だ』ってべた褒めしてたね」
「『サブマスの婚期はサブマスが望んだ時』って言ったのよ!」

 ……あの時のことを思い出し、微笑ましい気持ちで言った私の言葉は同時に言われたディアーナの一言で一蹴された。

 サブマスの婚期とディアーナに一体どんな関係が?と思ったのは一瞬で、

「❝女性の幸せは結婚してたくさんの子を産み育てること❞だって言われているなかでサブマスの年齢だけをみれば、世間では❝行き遅れ❞と見なされるのよね。余計なお世話!って思うんだけど!!
 でも、あの時シルヴァーノはきっぱりと、サブマスが…、女性が望んだ時が婚期だって言った。
 女性を個として尊重してくれているのが感じられて、とっても嬉しかったのよ」

 とても幸せそうな笑顔で教えてくれる。

 確かに、生きていくのが厳しいこの世界では、時代の希望こどもを生み育てることは重要なことだろう。その考え方は一理ある。でも、それが全てではないことも確かなことだ。

 その枠組みに嵌まらないからといって、<冒険者ギルドのサブマスター>として戦う能力のある人たちをまとめ、魔物や犯罪者から人々を守る仕事に就いている彼女の生き方を軽んじるのは愚かなこと。

 ギルドの受付としていえのそとで働くディアーナが、世間の価値観に流されず、それをきっぱりと口にできるシルヴァーノさんに魅力を感じるのは当然なのかもしれない。

 微笑ましく思いながら、

「やったね、シルヴァーノさん! ディアーナは素敵な恋人……、将来は頼りになるギルマス夫人兼補佐としても、仕事中も一緒に居られるね!」

 と笑いかけると、シルヴァーノさんはいたずらっぽくウインクをしながら、

「いえいえ、彼女がギルドマスターになる可能性もありますよ。その時は私はサブマスターとして補佐を、側に居て彼女を助けられたらとても素敵だと思いませんか?」

 目だけは本気の色を浮かべて未来の可能性を語る。

 ……ディアーナ! とっても素敵な人を恋人に選んだね!!

 2人に心からのおめでとうを伝えてから、私はギルドを後にした。

 私もいつか、素敵な男性に出会って恋をするかもしれない。

 その時にどんな状況でどんな選択をしても後悔することのないように、今を楽しみながら精いっぱいに生きないとね!!

 まず、今頑張ることはお引越しの準備! ネフ村を盛り当ててくれるみんなが不自由しないように、目一杯の準備をするぞーっ!
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